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津波対策として標高情報を市民へ公開・被害想定へ活用

豊橋市 防災危機管理課

 

行政内部での汎用デスクトップ GIS の活用による市民サービス向上への取り組み

東日本大震災後、市民から標高情報の問い合わせが急増。 市民の不安を解消するため基盤地図情報から標高図を作成、市ホームページで公開。

 

イントロダクション

豊橋市標高図(葉割図)
豊橋市標高図(葉割図)

豊橋市は愛知県の南東部に位置し、南は太平洋、西は三河湾に面している。東海地震に係る地震防災対策強化地域(平成 14 年)、東南海・南海地震防災対策推進地域(平成 15 年)に指定されている。平成 15 年の豊橋市の調査では東海・東南海連動地震における豊橋市の被害想定は、最大震度 6 強。津波は太平洋沿岸で 6 m、三河湾沿岸で 2 mと想定されていた。

 

導入の経緯

東日本大震災では豊橋市には津波被害は無かったが、地震後市民から、三河湾沿岸にも津波は襲来するのか、自分の家は津波に襲われる可能性はあるのか、自分の家や職場は安全な場所にあるのか、もし津波から避難する場合どの方向へ逃げればよいのか、といった標高に関する問い合わせが急増した。防災危機管理課では都市計画図や標高早見表を使用して対応したが、住民の標高への理解がすすまない、職員の時間がとられるなどの課題があった。そこで市民への公開を目的とした豊橋市のわかりやすい標高図を作成し、2011 年 7 月にホームページで公表した。

 

標高図の作成

標高データは国土地理院のホームページから基盤地図情報をダウンロードし、5 mメッ シュの標高点の図化を行った。標高は 8 ラン ク(~2 m、~4 m、~6 m、~8 m、~10 m、~20 m、~50 m、50 m以上)に分割され、見やすいように色分けを行った。さらに道路、建物、鉄道、地名などの必要な要素も地図上に表示した。市域が広いため地図は 7 分割された。

 

公開と市民の反応

豊橋市標高図
豊橋市標高図(※)

 

作成した地図は市ホームページで PDF ファイル形式で公開を行った。(http://www.city.toyohashi.aichi.jp/bousai/hyoukou.html
用紙サイズは、拡大してみることができる A0 版と、市民が個人で印刷するための A4 版が準備された。公開後、この標高図ページは豊橋市の Web サイトでページビュー 3 位になり、市民の標高への関心 の高さがうかがわれた。また葉割図ごとに A3 サイズに印刷しラミ ネート加工したものを、市内の公民館、窓口センターなど 80 か所に配布したり、地域で実施した津波対策の説明会で標高図を用いて地形の特色や主な施設の標高、避難する方向、場所について説明を行うなどの活用を図った。

市民からは

といった反応があった。

その後標高図は以下のような目的でも使用された。

 

今後の活動

ラミネート加工された地図(A3サイズ)
ラミネート加工された地図(A3サイズ)

津波対策の取り組みが継続される限り、標高図とそこに重ねたデータは非常に有効なツールとなり続ける。現在、被害予測調査の結果と標高図を重ね合わせ、以下のような検討が行われている。

危機管理監の部屋に掲示された様々な防災マップ
危機管理監の部屋に掲示された様々な防災マップ。
リクエストに応じて様々な地図が自製され情報の 共有がされている。

また、自主防災会からの依頼により、さらに細かい標高区分けによるマップの作成も行うなど、庁内だけでなく、市民への情報伝達でも積極的に活用している。

平成 24 年 8月 に内閣府から発表された南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等及び被害想定では豊橋市の多くの地域が震度 7 と想定された。津波の高さの予測もそれに伴い今までの予測を上回る。今後は国レベルの被害想定から詳細な市レベルの被害想定、アクションプランの策定へと落とし込まれていく。現在はそのための現状把握、内部資料の作成をすすめており、震度分布や液状化危険度、津波の浸水分布図など様々なマップが GIS を使って作成されている。GIS による可視化は国の情報を課内で共有し上層部や庁内各課に理解してもらうのに非常に有用である。今後とも「判断」をするために非常に有効なツールとして庁内利用の促進を図るとともに、そのための人材育成も行っていきたい。

※ この地図は、国土地理院が提供している基盤地図情報のうち、写真測量を基に作成した5mメッシュの標高点を図化 したものです。この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の基盤地図情報を使用しました。(承認番号 平23情使、第37号)この地図は、豊川市長の承認を得て、同市発行の都市計画図を使用しました。(承認番号 豊川市指令第13号)

プロフィール


佐藤 実 氏 政策グループ主査



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資料

掲載日

  • 2013年7月29日

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