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モバイル GIS、GPS を活用した 樹園地管理システムの開発

水土里ネットとっとり(鳥取県土地改良事業団体連合会)

 

効率的な現地調査によるデータベースの整備をモバイル GIS によって実現

樹園地に関する水土里情報システムを起点とした一連の現地調査業務と、デスクトップ管理ツールを利用した樹園地帳票作成システムを開発した。

二十世紀梨
二十世紀梨

 

イントロダクション

水土里ネットとっとりは、土地改良事業 を適切かつ効率的に行うこと等を目的として、市町村、土地改良地区等が自主的に設立した協同組織である。近年は多様なニーズに応え、農村地域の生活環境の整備、土地改良施設維持管理のための 施設情報整備も実施している。

そのような背景の中、水土里ネットとっと りは平成 23 年度より、県、市町村(農業委員会、再生協議会含む)、NOSAI、JA 等へ鳥取県版水土里情報システムを提供している。

平成 24 年 2 月、NOSAI から「平成 24 年 度から実施する樹園地台帳の作成に当たり、水土里情報と連携できないか」という問い合わせをきっかけとして、樹園地台帳管理システムの開発が始まった。

 

業務背景とシステム概要


現地調査システムフロー

鳥取県は二十世紀梨の産地として知られ、全国一の収穫量を誇り世界中に輸出されている。 これまで、NOSAI では樹園地の管理を紙の台帳によって行ってきたが、更新が簡単にできないことから情報が古くなっ てしまい、結果として情報の確実性に欠けてしまうという課題を持っていた。水土里ネットとっとりはこれらの課題を解決するために、自身が保有する樹園地に関する情報とモバイル GIS, GPS を活用したシステムを連動させた調査システム及び、デスクトップ PC 上で動作する管理用の GIS を用いた樹園地帳票作成ツール の作成を、モバイル GIS の活用経験が豊富なアジアプランニング株式会社と共に行った。

今回、水土里ネットとっとりが開発したシステムは大きく分けて、現地調査のためのGIS ツールと、樹園地を管理するためのツールの二つに分けることができる。 以下、それぞれのツールについて概要を紹介する。

1.樹園地の現地調査ツール

現地調査用のツールを使用する流れは、まず管理端末となるデスクトップ PC 上で ArcGIS for Desktop を用いて調査用データを切り出し、それを ArcPad の動作するモバイル端末へ流し込み現地調査を実施し、そのデータを再度管理端末へ取り込むというものになる。 ArcPadのインストールされたモバイル端末には GPS が内蔵されており、GPS 座標を利用した現在地の確認やオルソ航空写真による現況確認ができるようになっている。現地へ到着後の調査業務は、まず樹園地の区画を GPS と ArcPad 上の図を用いて定義し、その後植栽状況を入力していく。 植栽状況は、樹園地内で GPS の軌跡から半自動でそれぞれの樹体の位置情報を取得し、属性情報を入力していく仕組みとなっている。


樹園地帳票の出力例

2.樹園地の管理ツール

現地調査によって得られたデータは 樹園地の区画及び、その樹園地内に存在する樹体のデータ群からなる。樹園地の管理ツールはデスクトップ PC 上で動作する ArcGIS for Desktop をカスタマイズすることで作成されている。

管理ツールには樹園地の検索機能の他、帳票のレイアウトや、帳票に表示する属性項目を指定するためのツー ルが組み込まれ、ユーザ自身が容易に帳票を定義・出力することが可能と なっている。

 

期待される効果

平成 24 年 5 月より、実際のシステムは運用開始され現地での調査業務が始まった。 業務は平成 24 年現在、調査業務は継続中であるが以下のような効果が期待されている。


調査作業イメージ

  1. 水土里情報とモバイル GPS の利用により、対象となる樹園地へ案内人なしに辿り着くことができる。
  2. モバイル GPS 画面にて、オルソを表示した状態で現地調査できる。
  3. 水土里情報システム上で現地調査した結果が確認できる(園地, 樹体)。
  4. 樹体の位置及び樹種、樹齢等をデータベース(台帳)管理することになる。

 

 

まとめ


大栄スイカのハウス

平成 24 年 5 月より、実際のシステムは運用開始され現地での調査業務が始まった。業務は平成24 年現在、調査業務は継続中であるが以下のような効果が期待されている。

また、水土里ネットとっとりと NOSAI が進めている、農地筆と県内市町村すべての水田台帳データとのマッチングが平成 24 年度末に完了予定である。このデータを活用して、農地筆に水田台帳データを取り込み、戸別所得補償に係る現地調査へ利用するためのシステム開発への成果の利用も期待されている。

プロフィール


水土里ネットとっとり 坂本氏、山本 氏
アジアプランニング 上原 氏 (写真右より)



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資料

掲載日

  • 2013年7月29日