課題
導入効果
KBC アドバイザーズは、データに基づいて顧客のビジネスに最適な不動産の管理と運営をサポートする企業である。KBC のプラットフォームは、一等地の物件を中心に入居者、家主、投資家のニーズに対応している。KBC アドバイザーズの社内スタッフや社外の顧客にとって、視覚的に商業用地の空室状況や立地を示すことは非常に重要である。
KBC アドバイザーズのロケーション・インテリジェンス・チームは以前、既存の資産と用地を追跡するため、手作業でのプロセスを導入していた。この手順では、外部のアプリケーションからデータを収集し、ファイルをエクスポートした後、データを別のシステムにアップロードして視覚化していた。
しかし、この方法だと膨大な時間がかかり、またシステム間でデータを移動する際のエラーを避けるために集中力が必要だった。
そこで、KBC のロケーション・インテリジェンス・チームは ArcGIS Data Pipelines を導入し、ArcGIS と外部アプリケーションとのシームレスなデータ統合システムを構築した。これにより、データの精度が向上し、プロセスが自動化され、時間の節約と効率化を実現した。また顧客や不動産仲介の専門家が必要とするデータをより効果的に提供できるようになった。
ロケーション・インテリジェンス・チームは従来、対象地域と物件のレポートを作成し、プロジェクトや商談を確認後、情報を出力していた。その後、GIS アナリストが、ArcGIS Pro を使って物件の座標をプロットし、ArcGIS Online 上で顧客も閲覧可能な空き物件レポートを公開していた。
しかし、外部アプリケーションと ArcGIS 製品のシステム連携がなかったため、手作業が多く、非効率でエラーも発生していた。そのうえ、公開されたデータはすぐに古くなり、情報の抽出は週に何十回も行うため、GIS チームは効率的なデータの視覚化作業を必要としていた。特に、物件の空き状況に関するデータは、スプレッドシートで管理されており、リアルタイムのデータに基づいていなかったため、最新のステータスがシステムに反映されていなかった。これにより、顧客に提供する情報が正確ではなかった。KBC アドバイザーズは、こうした状況を踏まえて、データの精度向上とプロセスの自動化を実現するためのソリューションを求めていた。
担当のドラム氏は、これらの課題を解決するために模索した結果、外部アプリケーションと ArcGIS の統合を支援する革新的なソリューションである ArcGIS Data Pipelines を知り、すぐに採用を決めた。
ArcGIS Data Pipelines は、データの取り込み、変換、更新を効率化し、ArcGIS Online でのデータ統合を便利にするアプリである。ドラム氏によれば、ArcGIS Data Pipelines は異なるシステムをスムーズに連携させることはできるが、媒介となるデータストレージサービスが必要であった。Microsoft 社の Azure Blob Storage は ArcGIS Data Pipelines でサポートされる入力データソースであり、ArcGIS Online と外部アプリケーション間の媒体として使用された。
ドラム氏と GIS アナリストのチームは、2023 年(令和 5 年)の後半に ArcGIS Data Pipelines の使用を開始し、Azure Blob Storage コンテナとの接続を確立してからすぐに利用が拡大した。ArcGIS Data Pipelines は使いやすく、学習期間も短いため、導入がスムーズであった。クラウドストレージコンテナとの接続も簡単で、Microsoft Azure の担当者と協力して導入を開始した。プロセスは自動化され、スケジュールに従って実行される。また ArcGIS Online では数時間ごとにデータが更新され、最新の情報が一日中反映される。
主要なデータ取り込みソフトウェアとの直接接続による視覚的な利点を示すダッシュボード
KBC アドバイザーズの GIS マネージャーであるローソン氏によると、ArcGIS Data Pipelines を使うことによって業務がスムーズになり、時間を節約でき、ロケーション・インテリジェンス・チームの日々の業務に多くのメリットをもたらした。ローソン氏は、チームが以前使用していた手作業のプロセスに時間を費やす代わりに、データ更新が手作業なしで ArcGIS Online に反映されると説明する。
平日の決まった 4 つの時間帯で実行される
データパイプライン
データがリアルタイムで反映されることで、ユーザーに最新の情報を提供できる。ドラム氏は、ArcGIS Data Pipelines のおかげでスピードと信頼性が大幅に向上したと言う。特にスケジューリング機能は非常に重要であり、最新データの可用性を確保するのに役立っている。 Azure Blob Storage の定期的な更新にかかる時間はわずか 7 分で、その直後に接続された ArcGIS Data Pipelines が自動的に起動し、ArcGIS Online 内のフィーチャサービスを更新する。更新にかかる時間は合計で 20分未満である。ロケーション・インテリジェン ス・チームはスケジューリング機能のおかげで、繰り返し行う作業ではなく、より複雑な分析や成果物の作成に集中できるようになった。
データの精度もArcGIS Data Pipelines によって向上した。また、スキーマが一致し、データが正しく整形され、変換エラーの修正に時間を費やすことがなくなった。データ入力時にエラーが発生した場合は、ArcGIS Data Pipelines が察知して修正し、正確になったデータは ArcGIS Online に反映される。データ更新機能により、データ入力を複数のソースやユーザーに依存する必要がなくなり、人的ミスや手作業に費やす時間がほぼなくなった。これにより、GIS アナリストがデータ更新に費やす総時間の平均 75% を節約できるようになった。データの移動は自動化されているため、もはや心配はない。この時間の節約により、GIS アナリストはデータの修正や更新ではなく、ロケーション分析や顧客へのサービス、カスタム・アプリケーションの構築に集中できるようになった。
KBC アドバイザーズのチームの目標はスピードと正確さであるため、引き続き ArcGIS Data Pipelines を使いながらスピードをさらに上げることを考えている。
ArcGIS 以外のシステムで追跡された KBC クライアントの不動産要件が、最終的なダッシュボードに
必要な機能を構成するために、結合、マージ、変更されている