課題
導入効果
チュニジアテレコムは、北アフリカの東部に位置するチュニジア最大の通信事業者であり、国内の通信インフラ強化に努めている。設立以来、ICT の利用促進と革新的な通信製品およびサービスの開発など業界に積極的に貢献している。これには、固定ブロードバンド、モバイル音声通話、データサービスが含まれる。固定およびモバイルネットワーク全体で 700 万人以上の加入者を抱えており、24 の地域オフィスと 160 の直営店、100 のフランチャイズ店、13,000 以上の独立販売拠点を通じて顧客にサービスを提供している。
チュニジアテレコムは、市場シェアのさらなる拡大、業務フローの簡素化、カスタマーエクスペリエンスの向上を目指している。しかし、固定ブロードバンド顧客のライフサイクル(サービス認知・購入・利用する一連のプロセス)においては、手動処理が多く、顧客対応チームと技術チーム間のサービス品質保証契約(SLA)や運用品質保証契約(OLA)も存在していなかったため、納品や修理に多くの時間がかかっていた。
チュニジアテレコムは、これらの課題を解決するため、ArcGIS Enterprise を包括的なシステムとして導入した。ArcGIS Enterprise を導入することで目的に応じた Webアプリケーションや地図の作成、デスクトップおよびフィールドモバイルアプリケーションの利用が可能となった。特に、ArcGIS Workforce、ArcGIS Field Maps などのアプリケーションを活用することで、業務の効率化と顧客サービスの向上を図った。
チュニジアテレコムは ArcGIS を導入する前に、まずは主要なパフォーマンス指標と顧客が製品やサービスを利用する際に感じる不便や問題点を定義した。これにより、顧客のライフサイクル全体での手動処理の削減と、フロントラインと技術チーム間の SLA および OLA の確立の必要性をあらためて認識した。
次に、注文処理とサービス依頼のタイムラインの改善に取り組むため ArcGIS Enterprise を基盤として、カスタムアプリ「タグティア(Taghtia)」を開発した。このアプリは、顧客が利用申し込みをすると即座にサービス提供の可否を判断できる。またこのアプリのポイントは、顧客の位置情報を一意に識別するために開発した顧客位置識別子システム「マイアドレス(MyAddress)」がサービス提供プロセス全体を通じて使用されている。顧客が苦情を申し立てることができる機能も備えており、その情報がオペレーションチームに即座に共有される。そしてその解決状況がダッシュボードで確認できるようになった。
さらに、ArcGIS Workforce を活用することで、設置や修理のワークフローを簡素化した。これにより、チームは新規注文情報、顧客の苦情内容、修理などの項目を迅速かつ容易に作成、発行、追跡、更新、照合することができるようになった。
ArcGIS Enterprise の導入により、チュニジアテレコムは以下の目標を達成した。
このように、同社はカスタマーエクスペリエンスと業務効率を向上させ、顧客満足度の向上を実現した。また、ArcGIS Workforce を活用することで、チームは地域内のすべての作業の状況と進捗をダッシュボードで簡単に監視できるようになった。これにより、業務の効率化と顧客サービスの向上に寄与した。
チュニジアテレコムは、今後も ArcGIS Enterprise を活用し、業務の効率化と顧客サービスの向上を図っていく。特に、顧客のライフサイクル全体での手動処理の削減と、フロントラインと技術チーム間の SLA および OLA の確立を継続的に進める。また、新しいサービスやアプリの導入を通じて、カスタマーエクスペリエンスの向上を図る予定である。さらに、データ分析と可視化の業務にも活用し、業務の最適化と意思決定の迅速化を目指している。