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地下情報デジタライズ ちかデジ®

ジオ・サーチ株式会社

 

スマートフォン 1 つで掘削現場の情報を地図に統合し、
掘削データを一元管理:建設 DX の入口に!

概要

ジオ・サーチ株式会社(以下ジオ・サーチ)は、インフラの老朽化、自然災害の被害を抑えることを通じて人の命と暮らしを守ることを理念としており、2023 年(令和 5 年)9 月現在国内に 12 拠点、海外に 2 拠点を構えている。空洞や構造物の劣化といった地下に潜む危険を「見える化」するスケルカ技術を開発し、インフラの老朽化対策・低コスト化を実現している。「見えない地下を診る」ことで、人々の命と暮らしを守ろうと熱い志を持ったメンバーが集うジオ・サーチは日々新しい技術と共に進化している企業だ。

地下インフラの工事は道路を掘削して行う。工事前に埋設物位置状況を確認する試掘(しくつ)などもあり、いずれも交通の妨げにならないように迅速に行う必要がある。しかし、現場では手書きで記録しているため人為的なミスが起こりやすい。また、作業が終わった後に埋め戻してしまうと配管の状況は分からなくなる。手書きした記録を現場から戻ってオフィスで清書する作業にも時間と労力がかかっていた。そこでスマートフォン 1 つで試掘状況を簡潔に 3D デジタル化できる技術と、その情報を地図で管理するように GIS を連携させた Web アプリ「ちかデジ」を開発した。

課題

従来は試掘した現場の状況を手でスケッチし、情報を黒板や野帳にまとめていたため記録ミスが発生し、実際の配管状況と現場記録との整合チェックに時間がかかっていた。また、現場からオフィスに戻りスケッチの清書やデータの整理に多くの時間を要していた。さらに、工事竣工時の測量の場面でも、掘削穴に人が入るための安全管理が必要であった。このようにして多大な労力と時間をかけて作成した竣工図などが活用されずに、同じところを掘削してしまうなどの無駄な作業も生じていた。この掘削現場の実態を改善するため、現場で作業が完結し、使いやすく、配管や地下の情報が地図上に集められるデジタル化された仕組みを探求していた。


「ちかデジ」アプリの画面

ArcGIS 活用の経緯

同社は、既に社内で地下の陥没予防調査の計画や収集した地下のデータに全社員がアクセスできるプラットフォームとして ArcGIS Online を活用していた。社内で活用していた ArcGIS の技術がまさに掘削工事のデジタル化であり、労働時間の削減に大きく寄与する技術であることに気づいた。クラウド型 GIS である ArcGIS Online を通じて、現場にいながら掘削に関する情報をすぐに地図に紐づけることができる機能は画期的だった。また、スマートフォン 1 つで動画を撮影し、必要な情報を簡単にクラウドにアップロードできる機能も大きな魅力であり、費用を抑えて手軽にデジタル化でき、DX の入り口となることも評価された。

ArcGIS 採用の理由

同社は、既に社内で地下の陥没予防調査の計画や収集した地下のデータに全社員がアクセスできるプラットフォームとして ArcGIS Online を活用していた。社内で活用していた ArcGIS の技術がまさに掘削工事のデジタル化であり、労働時間の削減に大きく寄与する技術であることに気づいた。クラウド型 GIS である ArcGIS Online を通じて、現場にいながら掘削に関する情報をすぐに地図に紐づけることができる機能は画期的だった。また、スマートフォン 1 つで動画を撮影し、必要な情報を簡単にクラウドにアップロードできる機能も大きな魅力であり、費用を抑えて手軽にデジタル化でき、DX の入り口となることも評価された。

課題解決手法

同社は、以下の図のように「ちかデジ」を構成した。

「ちかデジ」の投稿アプリでは掘削結果の投稿と確認ができる。担当者がスマートフォンを用いて現場の状況を撮影し、その動画を投稿すると、ArcGIS Online にすぐにアップロードされ、そのデータを、社内システムを使用して 3D データ化し、再び ArcGIS Online にアップロードする。

その後、現場の担当者は ArcGIS Online からデータをダウンロードできる仕組みだ。この仕組みは、ArcGIS Online で「データ」「ユーザー情報」「セキュリティ」の管理機能を活用している。そして社内側の管理用アプリでは担当者が投稿したデータの管理と 3D データを作成する社 内システムとの連携を行う。

また、担当者は ArcGIS Online のダッシュボード機能を使用して掘削したデータをマップ/写真/表/グラフなどで表現しながら一元管理することができる。

説明書なしでユーザーが直感的に操作できるようにユーザーインターフェイスを整えることや、社内システムと ArcGIS Online の仕組みを連携させる部分を ESRIジャパンと開発しながら進めた。

 


「ちかデジ」サービスフロー

効果


試掘現場の撮影

2024 年から建設業界では労働基準法の改正にともない、働き方改革が必須となる。そのような背景の中、ArcGIS が搭載された「ちかデジ」を使用することで、従来スケッチや手書きでの入力に約 60 分かかっていた現場の作業が約 5 分に短縮され、データの整理やスケッチの清書など、現場から戻って 1 日から 2 日かかっていた作業も行わずに済むようになった。実際に仕事の効率が 50% あがったというユーザーの声もあり、労働時間の削減のために導入する企業が増えている。

さらに、政府広報オンラインでも「ちかデジ」の取り組みが紹介され、「ちかデジ」について 開催したウェビナーも新聞で取り上げられるなど外部からも大きな注目を浴びている。

今後の展望

現在、地下情報の不足によって耐震化や減災事業に遅れが発生している。また、掘削時に集められた地下インフラの配管データや情報がその後使われていないという問題も挙げられている。

同社は、「ちかデジ」を通じて、各地で取得している地下状況の点のデータや埋設管の線のデータを ArcGIS Online に蓄積することで正しい地下の地図を構築していくことを目指している。地上の情報が正確であるように、地下の情報も精緻化・可視化することで耐震化・減災事業を促進し、人の命と暮らしを守っていきたいと、ジオ・サーチメンバーは意気込む。

最近では、土木分野にとどまらず、考古学分野においても遺跡の発掘調査時の記録アプリとして活用されるなど、顧客の増加と共に新しい使い方も広がっている。

これまで ArcGIS を活用してきた中で、情報を地図に紐づけることで新しい世界が見えることがわかった。さまざまな課題に対して、同じ地図を眺める人が最適に判断できる地図の力に注目が集まっている。多くの人が GIS に集約された情報やその分析結果を可視化することの価値に触れられるよう、同社は「地下の見える化」をこれからも推進していくことを考えている。


ダッシュボードの画面

プロフィール


新規事業開発部
事業化推進グループメンバー


関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2024年1月29日