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事例

図面情報(CADデータ)とGISを融合した高圧幹線ガス導管設備管理

大阪ガス株式会社

 

高圧幹線ガス導管特有の大縮尺CAD図面をGISと融合、導管設備台帳や工事情報と連携

ArcGISのCADデータ互換性、業務データベースとの親和性を活用し、
GIS基盤であるMAPシステムと融合した高度な設備管理をWebGISで実現。

概要

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図-1 CAD図面とGISを融合した高圧幹線の表示

大阪ガスは近畿2府4県約700万戸の利用者に都市ガスを供給しており、管理する導管総延長は59,000kmに達する。その導管網の動脈に該当する高圧幹線に関しては、ガス設備の中でも特に重要なものであり、保安管理レベルも高度なものが求められる。また、高圧幹線は、通常の導管網とは異なり面的な広がりで管理するよりも、個別のパイプラインとして線的(パイプラインに沿った形)に管理する必要がある。 この管理方法の考え方の違いもあり、従来から大阪ガスで普及していた面的な導管管理である導管MAPシステムとは別に、1/200竣工図面の集合体として、CADを利用したファイリングシステムとして管理されてきた。
一方同社では2003年MAPシステムのArcGIS化が実現、さらに2008年のバージョンアップを経て、WebGISを利用した業務連携型の高度なGISプラットフォームが実現している。高圧導管の保全を担当する幹線エンジニアリングチームは2008年のArcGISバージョンアップをターゲットにGIS(MAPシステム)と高圧幹線の図面管理システムの融合を進め、現在では全エリアにおいてCAD図面とGISを融合した高圧ガスパイプライン設備管理を定着させている。(図-1)
高圧幹線設備は大まかに、パイプライン本体と、4~8km間隔で設置されるステーション設備(遮断バルブや整圧設備を有する施設)で構成される。現在GISとして管理されているのは、パイプライン本体、パイプライン近辺での第三者工事の管理の2点であり、さらに今後ステーション設備の管理、パイプラインの防食管理業務支援にシステムを拡張する計画が進んでいる。

システムの目的

システムの目的は以下のようになる。

  1. 既存の中低圧向けMAPシステムとGISプラットフォームを統合することで、高圧、中低圧ガス管の管轄部署の情報共有が可能になり、連絡・調整業務が円滑化する。
  2. CAD図面を直接GIS上に貼り付けることにより、従来個別の図面でしか確認できなかった情報を周辺地図情報と合わせて見ることができ、現場状況把握の質が向上する。
  3. 設備、工事等の台帳システムとのリンクにより、台帳・地図双方向の連携が実現し、設備情報へのアクセスが大幅に効率化する。
  4. CADをGISに貼りこむことで高圧導管の位置が正確に座標管理でき、従来道路縁等の地物からのオフセットにより相対管理していた導管位置を、将来的には正確な絶対位置座標管理とすることができる。

システム構成

大阪ガス既存のArcGIS ServerによるGIS基盤をそのまま横展開したWebGISとして利用している。GIS画面は既存MAPシステムの画面設計をそのまま用いており、中低圧導管から高圧導管まで共通の画面インターフェイスで利用することができる。システム構成は図-2のようになる。

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図-2 システム構成

CAD図面のGIS化

システム化にあたり最大の課題は位置座標を持たないCAD図面のGIS化である。導入時にCAD図面への位置座標付与が必要な竣工図面は、総延長567km、図画数約3,400枚に及び、高コストな作業となることが予想された。しかし高精度RTKGPS測量(FKP方式)により、3,400枚すべての図画に対して最低2点、位置座標を付与し、標定作業を行なった結果、比較的安価にCAD図面を地図(GIS空間)に貼り付けることができた。
ちなみにFKP方式はZ値(高さ)も計測可能なので、得られたデータから管路の3次元データを構築することも可能である。
竣工図面はArcGISと親和性の高いAutoCADベースであったため、GISへのインポート作業については標準的な機能で実現可能であった。

GIS上の地図表現の工夫

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図-3 図画を用いた検索インターフェイスと台帳連携

GISに貼り付けたCAD図面をどう表現するかに関して、当初はガス管平面図レイヤのみをCAD図面から抽出して地図に載せる案等があったが、図面イメージをそのまま貼り付ける方法をとった。これは最も手間のかからない方法であるが、それ以外のメリットとして以下が上げられる。

    1. 図面そのものの詳細表示は読み取れなくても竣工図面そのままのイメージが貼り付いている方が状況を読み取りやすい。
    2. 元の図面を検索インターフェイスとして使える。(図-3)

スケールマスク(縮尺に応じたデータの表示/非表示の切り替え)を適切に用いることで視認性のよい地図を提供できる。

業務システムとの連携

高圧幹線データはもともと文字ベースの設備台帳データを持っており、今回のシステム開発ではGIS管理に適合したデータベースにチューンナップしている。各種検索は台帳側を入口としても、地図側を入口としても行なえるよう設計し、ユーザの利便性を図っている。(図-3)
設備台帳のみならず、第三者工事(導管近傍のガス以外の工事)を管理するシステムとの連携も図られており、事故ゼロが使命の高圧幹線維持管理業務に貢献している。

システム開発および管理コストの削減

大阪ガスにおけるWebGISを中心としたGIS基盤をそのまま利用することにより、単独開発よりも安価なGIS連携システムの構築が可能である。同じレベルの機能を実現するGIS開発の負担が少ない分、業務システムへの効率的な投資が可能となる。(システム開発は株式会社オージス総研)

建設部門との連携によるCALS運用の実現

竣工図CADデータは工程上流にあたる高圧幹線建設現場から上がってくるもので、同社では保全・維持管理業務を想定したデータの一貫運用(CALS)が進んでいる。古いCAD図面はGPS測量作業による標定を行なったが、現在では建設段階の座標付きCADデータをそのまま活用することが標準化されている。これによって建設/保全の業務引継ぎの効率化・コストダウンが実現した。

広がる利活用の可能性

すでに幹線業務の基幹部分にGISは活用されているが、さらに各種業務課題解決のため検討が進められている。
特にガス管の絶対位置座標管理による図面管理コスト、現場対応コストの削減は大きな課題である。
図面管理に関しては、オフセットによる設備の相対位置管理をGPS利用による絶対座標管理とすることが究極の目標となる。従来は導管周辺状況が変化するたびに図面修正を行なってきたが、徐々に図面管理手法を合理化してゆくことが課題となる。また、第三者工事の際にガス管の位置を正確に特定する作業が、絶対位置座標管理とGPSの併用で大幅に効率化する可能性もある。
これらの課題の解決により今後の高圧ガス導管の保安レベルのさらなる向上が期待される。

プロフィール


導管事業部 導管部
幹線エンジニアリングチーム
(左)広岡副課長 ( 右)桝田マネジャー 



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資料

掲載日

  • 2011年1月1日

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