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事例

統合型森林資源情報システム。モバイル機器の利用によりフィールド作業が効率的に

バージニア州森林局

 

統合型森林資源情報システム

森林保全業務におけるコスト削減を目指したバージニア州森林局。
エンタープライズ GISを導入した効果とは。

イントロダクション

バージニア州森林局は州内に1,500万エーカー以上ある森林を監督している。森林保護及び維持のため、森林局は州内の森林データを収集し、それを基にマッピングを行っている。森林局は2,600万ドルの実行予算を持ち、272人の専任スタッフを抱える。

 

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バージニア州には21の州有林がある。州森林局は州を3つの地域にわけ、
各地域に分署および林務官を置いている。林務官は州有林だけでなく、
州内の私有林の調査や森林保護、保全に関する助言なども行う。

同局は、業務の生産性を向上する為に最新テクノロジを利用しエンタープライズGISを確立する必要性を感じていた。そこで森林局は、技術だけでなく空間サービスの経験も豊富な土木測量企業のティモンズ・グループ社と契約し、「統合型森林資源情報システム(IFRIS)」という空間情報を持つエンタープライズ情報システムの構築に着手した。そのシステムの第1段階は、2006年に稼働したArcGIS Serverを基にしたエンタープライズWebポータルであった。ユーザはIFRISを使い、空間的、時間的な活動を把握し、戦略目的や補助金の割り当て、そしてコスト分配の観点から費やされた時間を計測することができるようになった。

 

課題

同局は第2段階として、エンタープライズGISをフィールド業務にまで拡張し、作業者が屋外現場にいながらにして日々の業務に必要な機能やGIS機能にアクセスできるようにしたいと考えていた。

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植生群をデジタル化し、色分けした分類マップとして表示したIFRIS Web。
ArcGIS Serverで作られ、複数のジオデータベース編集ツールを提供する。これにより
林務官は、植生群やそれに関連する項目をデジタル化することができるようになった。

要件としては、作業者が屋外で作業時間と成果を把握し、植生観察、水質調査、山火事の発生や森林地集落など森林に関連した活動を地図化できるようにエンタープライズGISアプリケーションをデザインする必要があった。このプロジェクトによる同局のゴールは、エンタープライズGISに格納するためのフィールド データを正確に、定期的に獲得することだけでなく、フィールド作業者の作業に従来かかっていた時間と費用を削減することでもあった。

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IFRIS Mobile(右)は現場のユーザにGPSのポイントや様々なフィーチャの
属性を集める簡単なインタフェースを提供する。ArcGIS Mobile(左)は、
道案内やフィーチャ確認のためのマップを提供するのに使われる。

解決策

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ボタン一つのシンプルな操作で、データをモバイル
ユニット(IFRIS Mobile)からサーバ(IFRIS Web)
に、またサーバからモバイルユニットに同期する
ことにより、モバイルユーザに詳細な
フィードバックを提供する。

ティモンズ・グループ社がデザインしたモバイルソリューションは、GPS機能を統合しており、フィールド スタッフはEsri社のArcGIS ServerとArcGIS Mobileソフトウェアを使うことができる。すべてのフィールド スタッフは全員、ArcGIS Mobile、SQL Server® Compact、そして .NETCompact Framework 2.0を実装したTrimble® GeoXM™というPDAを持つこととなった。作業者はGeoXMを使用し、GPSの座標情報付きの品目整理フォームで害虫発生などの属性を分類することにより、フィーチャのデータを収集した。GISのWebサービスにより、GPSデータやそれに関連する属性をモバイル機器からIFRIS Webサービスへ転送できるようになった。モバイルスタッフはそれにより、フィールドにおけるすべての検査過程を簡単に記録できるようになった。また、タイムシートの情報を登録し、終えたばかりの観察や調査業務を確認できるようになった。アップロードされたフィールドデータやフィーチャはすぐにIFRIS Webサービスを使って見ることが可能となり、新規に同期されたフィールド データを一覧表示するWebサービスにより、ユーザは素早くフィールドで集めたデータを確認できるようになった。

ArcGIS Mobileの技術により、フィールドスタッフは素早く簡単にデータを収集し、森林データの種類や格納場所などの重要な記述ができるようになった。ArcGISMobileには、地図作成機能とGPSを統合したフォームベースのデータ収集アプリケーションを作成する機能があるからである。ArcGIS Serverで開発されたモバイルマッピングサービスは、林務官やフィールド作業者にとってアップロード過程がスムーズで、作業の詳細がわかるものだった。

 

結果

作業者は、自分たちが終えた業務内容を見直し、オフィスに戻ることなくタイムシートに作業時間を適切に記載することができるようになった。このシステムにより書類作成作業までもが減り、13種類の書類が廃止となった。現在では地域ごとの監督者は、部署のプロジェクトの詳細をモニタリングし、優先順位の高い地域への人員の振り分けなどの調整を素早く行うことができるようになった。また、このシステムはバージニア州の空間エンタープライズプラットフォームにも採用され、作業者は全州規模の高解像度デジタルオルソ画像やベースマップ、その他空間サービスに素早くアクセスできるようになった。
州森林局のモバイルソリューション実施により、3年以内に投資額の52パーセントにあたる利益を上げることが期待されている。

プロフィール




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資料

掲載日

  • 2011年1月1日