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事例

国際協力プロジェクトで採用された ArcGIS Online の効果

玉野総合コンサルタント株式会社

 

約 100 万棟に及ぶ建物現況調査はいかにして遂行できたのか

概要

玉野総合コンサルタント株式会社(以下、玉野総合コンサルタント)は名古屋市に本社を置き、まちづくりをはじめ、道路・橋梁・河川・砂防・港湾・上下水道・ランドスケープなどの調査・計画・設計・施工管理・維持管理を行う総合建設コンサルタントである。
玉野総合コンサルタントでは、2018 年(平成 30 年)にグループ会社の日本工営株式会社(以下、日本工営)および独立行政法人都市再生機構(以下、UR)との共同事業として受託した独立行政法人国際協力機構(JICA)の技術管理プロジェクト、「ヤンゴン都市開発管理プロジェクト」を実施した。このプロジェクトの目的は、「ミャンマー国の基礎建物調査を実施し建物利用現況図を作成することにより、ゾーニング規制をはじめとする都市開発に関する基礎的な環境整備を図る」ことである。目的達成のためには、実質半年間という限られた期間に、約 100 万棟もの建物現況調査を完了する必要があったが、クラウド型の ArcGIS Online の採用でほぼ計画通りの期間で成果を上げることができた。

課題

プロジェクト対象地域のヤンゴン市は、人口約 500 万人を擁するミャンマー連邦共和国最大の都市である。同市の気候的特徴として、雨季と乾季が明確に分かれることが挙げられる。プロジェクトの成功には約 100 万棟の建物現況調査を、雨の影響を受けず効率的に調査が行える乾季の間(およそ半年間)で終わらせることが不可欠であり、そのために必要な機材・人員の配置、システムの考案をする必要があった。

ArcGIS 採用の理由

本プロジェクトで日本工営および UR と共同企業体を組むにあたって、玉野総合コンサルタントからは兼ねてより海外、とくにミャンマー国における業務経験が豊富な内田氏に白羽の矢が立った。内田氏は、まず社内の GIS 担当である黒岩氏と協力し、プロジェクトの諸条件の整理と社内外の最新技術情報の収集を進めた。その結果、汎用性やコスト面、システム間連携や安定稼働性を考慮し、独自にアプリを構築するのではなく、ArcGIS Online を採用することとした。

プロジェクト実施体系図
プロジェクト実施体系図

課題解決手法

ワークショップの様子
ワークショップの様子

手始めに ArcGIS Online の利用環境の整備および利用アプリの選定を行った。アプリの選定では ESRI ジャパンのコンサルティングサービスを利用し、実際の業務フローを検討しながら選定を進めた。ArcGIS Survey123 の導入も検討したが、建物用途のサブタイプの設定やあらかじめ入力されていたデータの編集等、利用したい機能の要件を絞り込むことができる ArcGIS Collector を選定した。
現地での「建物現況調査」は調査員 34 名を 2 名ずつ 17 チームに分けて実施した。日本からの専門家の現地滞在期間が限られていたため、調査員への直接の指示や管理は基本的に現地スタッフが行えるようにした。現地スタッフの雇用にあたっては、日本工営の専門家および現地法人のノウハウを活用して経験豊富な人材を集めた。なお、タブレットのようなデバイスを利用した調査を行う際に IT リテラシー等が問題になることがあるが、募集に応じた調査員の大半は大学を卒業したばかりの若者であったため、アプリやデバイスの利用で問題が発生することはなかった。また、GIS を使用する作業は現地で行う調査と、机上での入力作業に分けられた。机上で入力する作業には ArcGIS の利用経験があるオペレーターを採用し、GIS の操作に慣れた状態からスタートすることができた。

現地調査の様子
現地調査の様子

現地調査の実施前にはワークショップ形式のトレーニングを実施した。ここでは調査員間の認識を合わせることを徹底するとともに、実際に現地で入力を行ってシステム操作方法を習得した。また、調査開始後も事務所にて毎週ミーティングを実施し、調査の進捗状況の確認や、調査中に発生した課題を全調査員に共有することで、業務の最適化を図りつつ調査員のケアを行った。
現地調査の進捗管理には ArcGIS Dashboards を活用した。このアプリを利用することで、チームごとの進捗状況が管理できるようになり、調査が進んでいる地域と進んでいない地域を地図上に可視化することができるようになったほか、調査計画の立案が容易となった。

効果

ArcGIS Online を導入したことにより、従来のような紙ベースの現地調査票をデータ化する手間がなくなり、現地調査を進行しながら GIS データも作成できるようになった。さらに、週次ミーティングを通じて、人材育成や工程管理を適切に行うことができた。また、クラウド環境を活用したことで GIS の習熟度によって現地と机上で役割分担して円滑に更新することが可能となった。基本的な設定を日本国内で行い、作業箇所ごとの色味の変更等は現地で行うといった連携ができたのも本プロジェクトを早期に始動する上で重要であった。

システム構成図
システム構成図

今後の展望

この案件をきっかけに、社内においては現地調査における効率化を目的とした単なる ICT 技術の導入ということだけでなく、業務を変革する視点でも ArcGIS Online の活用が有効であるとの認識が広がった。
すでに国内外の他業務においても現地調査アプリが利用され始めている。今後は活用できる人材をさらに育成していき、ArcGIS Online を社内の DX 推進の起爆材としたいと考えている。

実際に利用したアプリ

実際に利用したアプリ

実際に利用したアプリ
実際に利用したアプリ

プロフィール


海外プロジェクト部都市計画課
      内田 主税 氏(右)
DX推進室 黒岩 剛史 氏(左)



関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2021年1月6日

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