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事例

ツキノワグマの目撃情報の投稿アプリとマップ公開

秋田県 生活環境部 自然保護課

 

住民の安全安心な生活のためツキノワグマなどの野生動物の
出没情報の公開に ArcGIS Online を活用

概要

白神山地
白神山地

秋田県には、1993 年(平成 5 年)に世界遺産に登録された白神山地や十和田八幡平国立公園をはじめとした豊かな自然環境が維持され、その中で数多くの種類の野生動物が生息している。秋田県生活環境部自然保護課(以下、自然保護課)は、秋田県内にある自然公園や温泉などの調査・管理、またそこに生息する野生動物に関する調査や被害対策に関わる業務を担っている。
近年、ツキノワグマを始めとする野生動物が人里や生活道路など、ヒトの生活圏に出没し、住民からの目撃情報の報告が増え、ときには人身被害も発生している。
自然保護課では、住民への注意喚起や農作物被害・人身被害防止のため野生動物の出没情報の把握とその情報公開を行う「野生動物情報投稿アプリ」と「秋田県野生動物情報マップ」を公開した。

課題

ツキノワグマ

ヒトの生活圏へのツキノワグマの出没は、作物への被害だけでなく、人身被害も発生することから、メディアでも取り上げられ、住民の関心が高い課題である。
県内での目撃情報は、住民から秋田県警に報告され、その情報を自然保護課が集約し、地域別の目撃件数として、県のホームページ等で公開してきた。目撃の場所やタイミングによるが、目撃してから自然保護課に報告が届くまで 1 週間の時間を要することもあり、その時点ではクマが目撃地点から離れていることが多く、住民への注意喚起としては十分ではなかった。自然保護課では、被害を未然に防ぐ対策として、住民に対して出没情報を迅速に公開することが必要だと感じていた。

ArcGIS 採用の理由

自然保護課では、クマの目撃情報を住民がすぐに把握できるよう、2017 年(平成 29 年)から目撃報告があった地区単位でマッピングし、オンラインマップとして県のホームページで公開してきた。しかし、当時使っていたマップでは、検索機能や地図の表示機能、日本語入力機能が十分ではなく、別のオンラインマップのサービスを検討することになった。また同時期に目撃情報の精度と、情報の即時性を向上させるため、これまで警察への報告をしてこなかった住民からも広く情報を集める方策も検討した。
検討の時期に ESRI ジャパンから ArcGIS Online の提案を受け、必要な機能を実現できることが分かった。住民からの目撃情報は、 ArcGIS Online に附属する現地調査アプリ ArcGIS Survey123 で住民がインターネットを通じて投稿することで収集できる。また、費用については、導入初年度に自治体向けの利用支援プログラムを活用することで抑えることができ、先に実績を作ることで翌年度の予算をスムーズに確保することができた。

課題解決手法

野生動物情報マップ
ArcGIS Online の導入初年度に当たる 2018 年(平成 30 年)には、住所や地図上の任意の地点から半径最大 10km 範囲の出没情報の検索機能、目撃や人身被害の種別によるシンボル設定、スマホ対応などを取り入れた。また目撃対象の獣種については、作物等へ被害をもたらすことから、ツキノワグマ以外にもニホンジカとイノ シシを追加した。目撃地点を示すシンボルは獣種毎に切り替え、さらに住民への注意喚起のため、直近 2 週間の目撃情報はシンボルに赤枠を追加、人身被害はより目立つシンボルに切り替える工夫を行った。また、2017 年までに蓄積してきた目撃情報は旧マップから KML 形式で出力したファイルを ArcGIS Online にインポートすることで、すぐに表示することができた。

周辺の野生動物の出没・目撃情報マップ
周辺の野生動物の出没・目撃情報マップ

野生動物情報マップ(PC版)
野生動物情報マップ(PC版)

 

野生動物情報投稿アプリ

野生動物情報投稿アプリ
住民から目撃情報を投稿してもらう際の入力項目については関係者で検討を重ねた。これまでの目撃情報の報告書には数多くの項目があるが、住民に投稿してもらうには負担が大きいため、項目を必要最低限まで絞り込んだ。最終的な目撃情報の入力項目は以下の通りとなった。

・ 種別(*)
・ 場所(地図で指定)(*)
・ 日時(*)
・ 獣種(*)
・ 個体の大きさ(成獣・幼獣)
・ 頭数
・ 目撃の状況
・ 写真など
(*)は必須項目

投稿された情報に誤った情報があった場合は、自然保護課職員が適宜削除している。

野生動物の目撃情報を投稿する「野生動物情報投稿アプリ」と新たな「秋田県野生動物情報マップ」は、2020 年(令和 2 年)
4 月より正式に公開された。

効果

「野生動物情報投稿アプリ」の公開後には、住民への周知のため秋田県庁のホームページや自然保護課が関連するイベントでのチラシ配布や、各メディアへの情報提供を行い、地元の新聞やニュースでも新たなクマ対策の取り組みとして紹介された。
住民以外にも、隣県から今回の取り組みについての問い合わせもあった。
2020 年 10 月 31 日現在、目撃情報は秋田県警察本部に報告のあった約 880 件に加えて、アプリ経由の投稿が約 200 件あった。その中には写真を添付した報告や、これまで報告が少なかった地域からの投稿も見受けられた。マップについても年々住民への認知度が高まり、自然保護課へ自分の目撃情報もマップに掲載してほしいとの問い合わせもあった。

今後の展望

自然保護課では、クマの出没に対する注意喚起として秋田県野生動物情報マップで目撃情報の見える化をしてきたが、これまでに蓄積してきた情報を活用し、ヒトとクマが遭遇する頻度を減らし適切な距離を取るための方策を検討していく。次の取り組みとして新たにクマの出没地点の環境やその分布に関する分析を開始する予定である。この分析によりクマの市街地出没までの移動経路を把握し、クマが市街地へ入り込まないような対策につなげて行きたいと考えている。

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掲載日

  • 2021年1月6日

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