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事例

ArcGIS サイトライセンス導入による授業・研究での利用拡大

北見工業大学

 

自治体が抱える問題への取り組みや地域の産官学連携を深めるための GIS 勉強会など、地域に根ざした取り組みにも積極的に参加

概要

北見工業大学は、北海道北見市にある日本最北の国立大学で、工学部のみの工業系単科大学である。2017 年には、組織再編により地球環境工学科、地域未来デザイン工学科の 2 つの学科となり、学術的な知識だけでなく、寒冷地の環境に適した研究や、オホーツク海の産業に関する研究など、地域に密接した研究が行われている。
2000 年から河川の流域解析の研究で ArcGIS が利用されてきたが、授業や他の研究でも GIS の利用ニーズがあったことから、2017 年組織再編のタイミングで、授業でも研究でも利用ができる ArcGIS サイトライセンスを導入した。
また、大学での GIS 利用が活発化してきたことで、近隣自治体が抱える問題に関する研究での利用や、産官学の連携による GIS の利用促進を目的とした勉強会など地域に根ざした取り組みに積極的に関わっている。

課題

早川教授
早川教授

北見工業大学 社会環境工学科 河川・水文学研究室の早川教授は、降雨が時間経過で河川へ流出する水量や栄養分の変化を把握する流域解析の研究を行っている。降雨から河川へ流出するまでには、地形や地質、植生などが複雑に影響することから、地点毎の流量が大幅に異なる。そのため、より正確な流域解析をするにはこのような条件を考慮した計算を行う必要があった。

ArcGIS 採用の理由

流域解析の計算には、米国で開発された高度な解析モデル HEC-HMS を利用することとし、そのモデルを実行するため 2000 年に研究用として ArcGIS Desktop を導入した。また、ArcGIS は海外の研究者との GIS データの受け渡しにおいても、世界で広く利用されていることもあり、研究データのやり取りがスムーズに行えることも導入理由の一つとなった。

導入手法

早川教授の研究においては、ArcGIS Desktop で作成した地形、地質、植生などの情報を元に、米国の解析モデルを利用し、降雨から河川に流れるまでの水量を解析する。さらに解析結果を ArcGIS に再び取り込むことで、視覚的にも流量を把握することが容易になった。また、この解析手法を用いることで、流域の水量だけでなく、これまで把握が難しかった河川中の栄養分であるチッ素やリンなどの量の変化も見えるようになってきた。
早川教授が ArcGIS を利用して以降、学内の他の研究でも GIS が利用できそうとの声が聞かれるようになった。また、大学を卒業した学生が GIS を使っていることもあり、GIS が就職にも役立つことがわかり、2008 年には早川教授が受け持つ授業の中で GIS を使うこととなった。授業では、河川の流域開発を題材にして、土地利用を変えることで、水量や環境にどのような変化があるかシミュレーションを行った。

藻琴川地形解析
藻琴川地形解析

2017 年には、学科再編のタイミングで、高度な GIS 利用人材の育成を目的に、地球環境工学科環境防災工学コースと地域未来デザイン工学科社会インフラ工学コースの 2 つで GIS の授業を新設した。授業や研究での GIS 利用の要望が増えてきたことをきっかけに、授業でも研究でも利用ができる ArcGIS サイトライセンスを導入した。

効果

ArcGIS サイトライセンスを導入したことにより、新設した GIS の授業で ArcGIS を使え、研究でも必要なライセンスを十分に配布できるようになった。

・自治体が抱える問題への取り組み

マテリアル工学科の宇都准教授の研究室では、博士課程の工藤氏が中心となり、北見地方を流れる常呂川において検出される大腸菌の汚濁源を解析する研究に ArcGIS が使われている。研究では、大腸菌の主要な発生源を野生動物、家畜、畑地(堆肥)、都市部のヒトの活動として、常呂川水系のメッシュ毎に大腸菌の負荷量を推計している。メッシュ別の情報元として、国土数値情報の土地利用 3 次メッシュ(森林、農用地、建物用地)、並びに河川データ、また政府統計の国勢調査と農林業センサスから地域別の人口や家畜の飼養頭数に関するデータを入手した。
大腸菌の汚濁源から常呂川へ流出を計算するモデルは、産総研が開発した化学物質の暴露評価と対策評価に利用される AIST-SHANEL を利用した。ArcGIS は、分散していた情報の管理と集約、さらには AIST-SHANEL の解析結果を地図上に表示するところで利用している。
本研究により汚濁に強く影響する地点や天候などの解明、さらには自治体での適切な対策に活かされることが期待されている。

常呂川流域の大腸菌濃度
常呂川流域の負荷源
常呂川流域の大腸菌濃度(上)と負荷源(下)

また、他のさまざまな分野の研究においても ArcGIS が利用されるようになった。社会環境工学科では、“釧路市の津波避難可能構造物を考慮した避難可能範囲の検討”、“GIS に基づく市街地道路の路面モニタリング”、“道東地域の観光行動データをベースとした電気自動車の充電施設などの検討”、また横断的な研究ユニットによる“H28 年北海道豪雨災害の被災地調査”など、地域に根ざした研究への利用が拡大している。

・産官学での連携

北見工業大学では、オホーツク総合振興局管内の自治体、大学、そして網走市を中心に GIS の導入支援を行っている益村測量設計株式会社とともに、オホーツク地域での GIS 普及を目的に 2016 年から連携して活動している。この取り組みの中で汎用性のある GIS をさまざまな業務で利用してもらえるように、ArcGIS を使って基礎的な利用方法の講習を行っている。

今後の展望

大学で導入したサイトライセンスを利用して、これまで GIS を利用していなかった研究でも ArcGIS を気軽に使えるようになり、農業分野ではロボットトラクターの研究で作業運行管理や圃場データベース作成といった新しい利用が見込まれている。水環境分野では藻場の生育環境把握、環境・防災分野では水・物質循環や社会情勢を考慮した流域シミュレーターの構築の研究といった、より高度な GIS の利用に取り組んでいる。
また、ArcGIS の利用が広まることで、自治体の GIS データを研究で利用し、さらには研究結果を自治体に活用してもらえるような産官学の連携と、そのためのスムーズなデータ連携を行えることが期待されている。

プロフィール


右から
大学院工学研究科 博士後期課程 工藤 祥久 氏
社会環境工学科 教授 早川  博 氏
マテリアル工学科 准教授 宇都 正幸 氏
マテリアル工学科 4年 齋藤  剣 氏



関連業種

関連製品

導入協力企業

組織名益村測量設計株式会社
住所北海道網走市新町1-7-14
電話番号0152-44-7335
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資料

掲載日

  • 2018年2月21日

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