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活用法

海洋生物保護におけるGISの活用

 

GISを利用した持続可能な漁業資源の管理 

           

            

1992年に大西洋カナダ沖の魚類資源量を表したマップ

   地球は表面の71%が海で覆われているが、その中でカナダは世界で1番長い海岸線と、世界で2番目に広い大陸棚を保有する国である。そのため、海洋環境はカナダで大きな役割を果たしている。カナダ国民の約20%は沿岸部に居住しており、多くの人々が海と密接した生活を送っているのだ。

   カナダの海洋は、多くの仕事と経済活動を生み出しているが、国連の推定では現在、世界の約75%の漁業資源は乱獲の状態にあるという。特にカナダの東部に位置する、ニューファンドランド(Newfoundland)とラブラド―ル(Labrador)では、膨大な魚の乱獲が起こっており、気候変動と同時に生態系や漁業資源量に影響を与えていると考えられている。この様な海洋環境の状況を踏まえ、タラなどの海底魚の収穫が規制され、現在までに、40,000件以上もの漁業関連の雇用が失われていると言う。

   カナダのメモリアル大学(Memorial University)の地理学部ではGISを学術的、そして実用的な側面から教えており、GISを利用した研究は気候変動が植生物に与える影響、海洋絶滅危惧種の保護、海底地形の分析、そして石油やガスの埋蔵量の調査まで、幅広く行われている。

   GeoCodプロジェクトは、メモリアル大学による2年間に渡る研究プロジェクトで、カナダ北西部の海洋魚の生息量と分布を、GISを使って可視化するものである。

   カナダの水産海洋省では、水産資源量の状態を知るため、数十年に渡り、データを収集している。GeoCodプロジェクトで集積されたデータベースは、海面温度、塩分濃度、栄養素、などの海洋データ、生態データ、そして海面温度、生物生産力などのリモートセンシングデータなどを含む。これらのデータを、GISを使って解析する以前は、空間的側面を持たない統計手法を用いていたが、プロジェクトの責任者達は、GISを活用することにより見えてくる漁業関連データの空間的側面が更に精密な調査結果に繋がると考えた。

  これまで、漁業分野での意思決定には主に統計データが使用されてきたなが、GIS技術は活かされてこなかった。しかし、GISの空間解析機能を活かすことで、漁業資源の包括的な分布地図などを作成し、統計データの包括的な理解に繋げることが出来るようになった。カナダの水産海洋省でも、従来の統計データの分析にGISを活かすことで緻密な漁業データの分析が可能になり、更に実用的な分析結果を得られる様になったのである。

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掲載種別

  • 活用法

掲載日

  • 2012年9月23日