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危機管理対策・対応の鍵は Web GIS による情報共有

 

GIS は、ここ数年、緊急事態の際の状況認識の向上、特に備えと対応における重要なツールとして位置づけられてきている。緊急時、的確かつリアルタイムな状況把握は、人命救助における意思決定に不可欠である。意思決定者は、情報に基づく決定を行うにあたり、適切な時に意味ある情報を入手し分析する必要がある。GIS は、一つのプラットフォーム上に複数のデータセットをマッシュアップしたり表示したりする機能があり、意思決定に必要なデータを簡単に特定することができる。

GIS の有用性は、2009 年に始まったアメリカ合衆国国土安全保障省 科学技術総局主導のバーチャルUSA(vUSA)イニシアチブのプロジェクトにおいて、幾度となく実証されてきた。プロジェクト成功の主な要因は、危機管理担当者がデータを最大限に活用できるように、リアルタイムに情報を可視化するための状況認識プラットフォームやアプリケーションの構築に GIS を利用していることである。これまでに、国内 30 州、数百におよぶ市や郡、様々な政府機関が本プロジェクトに参画している。GIS 利用の広がりは、このバーチャルUSAプログラムが大きく貢献してきたといえる。一方で、今日、GIS が担う役割は大きく変化してきている。

2014 年頃から、GIS は国土安全保障や危機管理対応における無くてはならない技術として位置づけられてきた。Web GIS の広がりと相まって、Web マップフォーマットの利用が大きな変化をもたらしているからだ。危機管理の専門家は、効率的な方法で情報を入手、共有、分析、利用するための機能を手に入れたのである。

キャップストーン-14 が GIS の有用性を証明

2014 年、アメリカ中部地震コンソーシアム「キャップストーン-14」の訓練が実施された。これは、アメリカ南部、中西部に位置するニューマドリッド地震帯における壊滅的な地震を想定した訓練で、国家安全保障省の科学技術総局(DHS S&T)と全米情報共有化協会(NISC)が支援し、リアルタイムな情報共有、準リアルタイムな状況認識、広域連携(8 州(12 自治体)、420 郡)をはじめ45の企業・NPO 法人・政府機関の相互支援の調整を目的に実施された。

参加者に課せられた課題は、様々な方法で各機関が保有する必要な情報を共有し、活動の調整方法を理解することである。Esri社とビジネスパートナーである G&H International Services による技術的なサポートのもと、計画担当者は、シームレスに組織間のデータを利用できる相互運用ネットワークを構築した。これにより、多数のシステムからのデータ統合、2,500 件以上のデータセットの共有、13,000 件以上の警戒情報の作成、様々な相互支援要請への対応が実施された。

各州の GIS スペシャリスト、Esri社と G&H のスタッフで構成された技術チームは、相互支援に必要なリソースを検索できるパッケージツールをはじめとした、連携や協業の向上を図るための各種アプリケーションを作成した。Collector for ArcGIS を20 郡以上に配布し、リアルタイムな状況レポートをまとめられる仕組みの構築も行った。

キャップストーン-14 の後、国家緊急事態管理協会(NEMA)は、訓練時に運用テストを実施したリソース管理システムである共済支援システム(MASS)を正式に採用した。現在、同協会では 50 州全てにおける相互支援の向上を目指し、共済支援システムのアップデート版となる危機支援コンパクトシステム2.0の構築を行っている。さらに別の取り組みとして、全米情報共有化協会が、国内での情報共有機能や手法向上の取り組みを進めている。このように、相互支援や情報共有といった面で鍵となるのが、Web GIS や Web マップ形式を利用できる GIS である。

ArcGIS Online は、様々なシステムに格納された情報を統合する相互運用プラットフォームまたはハブとして利用される。ArcGIS Online で共有される Web マップは、各データセットを Web サービスとして参加者全員に共有できる。参加者は、ArcGIS Onlineにアクセスすることで、Esri社のWeb GIS プラットフォームで提供されたツールを様々な方法で利用可能となり、結果、連携や意思決定が大幅に改善されるのである。

キャップストーン-14 は、国土安全保障コミュニティにとって GIS の有用性を実証した点で大きな成果であり、それは他の多くの訓練やプロジェクトにおいても例外ではない。2015 年 6 月、全米情報共有化協会は、キャップストーン-14 から得た教訓を地域レベルで実施するためのプロジェクトを実施した。これにより、同協会は、課題が発生した地域組織から地域の消防、危機管理団体、司法機関、その後市や郡などの地方行政機関というように、順を追って危機管理対策や対応への課題を特定、マップ化、対応することができるようになった。独自のポリシーや手順を持つ多くの組織同士の取り組みは様々な課題を浮き彫りにしたが、ここでも GIS が課題解決に大きな役割を果たした。「ArcGIS Online は様々な行政組織間の相互運用プラットフォームとして機能した」とジェームスシティ郡の危機管理担当であるケイト・ヘイル氏は GIS を評している。

情報共有が危機管理対策・対応の鍵

米国バラク・オバマ大統領の「情報共有と国家戦略、安全防護対策」の冒頭で、「私たちの国家安全保障は、正しい情報を適切な人々と、適切な時期に共有する能力に依存している」と述べている。2001年のアメリカ同時多発テロからハリケーン カトリーナやハリケーン サンディーといった自然災害にいたる多くの大規模災害が浮き彫りにしたように、実用的かつ信頼性があり、タイムリーな情報の欠如は、不要な苦しみや必要以上の物的損害、人命の損失を生み出す。

情報共有の重要性はどれだけ誇張してもし過ぎることはない。情報共有のパイプ役である GIS の実績は、
緊急対応、ビジネス計画、公衆衛生、犯罪分析、その他のどのような状況であろうと、出来事への備え、対応、復旧、復興のために極めて重要なテクノロジーであることを表している。今までは GIS の活用が推奨されてきたが、今は活用すべき技術として広くひろまりつつある。

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  • 危機管理


掲載日

  • 2017年7月26日

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