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データの可視化が導く青山商事の店舗戦略

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データの可視化が導く青山商事の店舗戦略

青山商事株式会社

全国規模の店舗展開を支えるエリア分析基盤
ArcGIS によるデータ可視化と業務効率化で、出店戦略とDX推進を加速

青山商事株式会社(以下、青山商事)は、「洋服の青山」「SU IT SQUARE」などのビジネスウェア事業を展開する大手小売企業である。「持続的な成長をもとに、生活者への小売・サービスを通じてさらなる社会への貢献を目指す」を経営理念に掲げ、全国規模で店舗展開を進めている。近年はレディースアイテムやビジネスカジュアル、オーダースーツの強化に加え、DX 推進にも注力。Z 世代向けの新コンセプト店舗「AO +(アオヤマプラス)」の出店など、デジタル技術を活用した新たな顧客体験の創出にも取り組んでいる。

こうした事業拡大の中で、店舗ごとの商圏や売上データを迅速かつ的確に分析し、出店・退店戦略の精度を高めることが重要な課題となっていた。従来は営業部門からのエリア分析依頼に対し、Excel ベースで個別対応していた。そのため、作業負担や情報共有の限界が顕在化していた。そこで、ArcGIS を導入し、データドリブンな経営判断を支える基盤構築に踏み切った。

店頭ディスプレイ

青山商事では、全国に広がる店舗網の運営にあたり、各店舗の商圏や売上データを分析する業務が不可欠であった。従来は営業部門からの依頼ごとに、店舗周辺の顧客情報や地域別売上を Excel で集計・分析し、紙媒体で結果を共有していた。しかし、依頼のたびに個別対応が必要なため、分析作業の負担が大きく、SQL やパッケージソフトなど専門的なスキルも求められていた。さらに、紙ベースの情報共有では、部門間の連携や迅速な意思決定に限界があり、データの活用範囲も限定的だった。
加えて、中期経営計画においては新規出店によるシェア拡大が重要なテーマとなっており、出退店の精度向上に向けた「売上予測モデル」の開発が急務となっていた。膨大な店舗データを効率的に分析し、好調・不調エリアの把握や対策エリアの選定をスピード化することが、事業成長の鍵となっていた。

ArcGIS 導入のきっかけは、従来行っていた店舗ごとの顧客データを抽出・コーディングし都度分析を行うという一連の作業を効率化するためであった。そこで、ジオコーディング(住所などの情報を地図上の座標に変換する技術)をバッチ処理できるサーバー構築を検討した。複数の GIS ソフトを調査した結果、ArcGIS のジオコーディング機能の優秀さ、アウトプットのビジュアルの美しさ、Web アプリによる情報共有のスムーズさ、そして汎用性の高さが評価され、採用に至った。
Arc GIS は、地理情報を基にデータを可視化・分析できるプラットフォームであり、店舗情報や売上、商圏などの多様なデータを地図上で直感的に把握できる。これにより、従来の紙媒体や Excel ベースの分析から脱却し、データドリブンな経営判断を支える環境を構築することが可能となった。

① 店舗商圏・売上データの可視化
ArcGIS 導入初期には、営業部門から依頼の多かった店舗商圏と町丁目単位の売上データの可視化を実施した。従来は店舗ごとに個別対応していた分析を、 ArcGIS によって全国で一括して実施できるようになった。地図上に自社・競合店舗情報をプロットし、売上データを格納することで、エリアごとの状況を直感的に把握できるようになった。

② データ精査と UI 改善
膨大なデータを扱う中で、地図上で個人情報が特定されないように注意を払い、見やすさ・使いやすさを重視した UI (ユーザーインターフェイス)設計にも力を入れた。可視化したデータが多すぎるとユーザーが混乱するため、データの精査や色合いの調整にも苦労した。年度別に結果を表示する機能や、ラベルの付け方・重なりの工夫など、利用者が直感的に情報を得られるよう細部まで配慮した。

③ Web アプリによる情報共有
ArcGIS の Web アプリを活用し、分析結果を社内でスムーズに共有できる環境を整備した。従来の紙媒体中心の共有から脱却し、リアルタイムで情報を伝達・共有できるようになったことで、営業部門・開発部門間の連携が強化された。利用方法の説明もサイト内に設置し、GIS 初心者でも迷わず活用できるよう工夫した。

Web アプリによる商圏・売上データの情報共有
Web アプリによる商圏・売上データの情報共有

ArcGIS 導入により、エリア分析・データ可視化の作業負担が大幅に減少した。従来は依頼ごとに個別対応していた分析業務が効率化され、営業部門・開発部門の現状把握スピードが向上。店舗ごとの商圏や売上データを地図上で直感的に把握できるようになったことで、出店・退店戦略の精度も高まった。
また、Web アプリによる情報共有の仕組みが整備されたことで、部門間の連携が強化され、データドリブンな意思決定が可能となった。作業時間の短縮やコスト削減といった定量的な効果も現れている。さらに、出店戦略に関わる売上予測モデルの検証も進められており、効果的な出店に向けた意思決定の精度向上にも寄与している。
GIS は、地図上にさまざまな情報を重ねて表示・分析できる技術であり、店舗運営やマーケティングにおいて、エリアごとの状況把握や戦略立案に不可欠なツールとなっている。

今後、青山商事では ArcGIS を活用した出店戦略のさらなる高度化を目指している。特に、出店に関わる売上予測モデルの発展に注力し、効果的な出店につなげるための検証トライアルを実施中である。また、業態に縛られずグループ企業全体での有効活用も視野に入れている。 ArcGIS の導入は、青山商事のDX推進とデータ活用の高度化を支える基盤として、今後も重要な役割を果たしていく。

プロフィール

マーケティング部副部長 平澤 勉 氏 マネジャー 新井 公貴 氏

マーケティング部副部長 平澤 勉 氏
マネジャー 新井 公貴 氏

掲載日

2026年1月16日