ESRIジャパン株式会社

ArcGIS による送変電地図情報システムの再開発

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ArcGIS による送変電地図情報システムの再開発

中部電力パワーグリッド株式会社

送変電業務の核となる GIS プラットフォーム

  • 送変電業務に必要な地図、故障系統、LLS(落雷位置標定)、土砂災害予測などの情報を一元管理
  • いつでも、どこでも、PC・スマホからリアルタイムに必要な情報へアクセス可能

中部電力パワーグリッド株式会社(以下、中部電力PG)は、2020 年(令和 2 年)4 月に実施された発送電分離により、中部 5 県(愛知県、岐阜県、三重県、長野県、静岡県富士川以西)を供給区域とする一般送配電事業会社として、中部電力株式会社から分社化して誕生した。

同社では以前から送電地図情報システムを送電設備管理システムのサブシステムとして運用してきた。2023 年(令和 5 年)4 月にサーバーが保守期間の終了となり、リプレイス対応が必要だった。また、専用端末である送電 MIT(Multiple Information Terminal:多機能情報端末)で稼働している落雷位置標定システム(以下、LLS)および土砂災害予測システムも 2022 年(令和 4 年)4 月にリプレイスの検討をする必要があった。そのため、地図情報システムと LLS および土砂災害予測システム等の統合を目的に、送変電地図情報システム(以下、送変電 GIS)として再開発を行い、2021 年(令和 3 年)10 月より運用を開始した。

システム概要(新旧業務比較)
システム概要(新旧業務比較)

送電地図情報システムは、2012 年(平成 24 年)4 月より運用されてきたが、サーバーの保守期限が近づいており、新しいシステムへのリプレイスの検討を始めた。また、送電 MIT も 2022 年に廃止が計画されており、LLS と土砂災害予測システムも移植する必要があった。その他にも業務において紙の印刷物が多く利用されていたことから、必要な情報が分散し情報収集に手間がかかっていた。新たな送変電 GIS の再開発では、これらの課題を解消する必要があった。

送変電 GIS で採用する GIS パッケージを決定するために、複数の候補を評価した。

採用にあたり重視した点として「オフライン機能」「オープン性」「保守・運用性」が挙げられ、最終的に ArcGIS が採用された。送変電 GIS では、オフライン機能が必須条件だったが、ArcGIS は基本機能として標準実装されており、また、ArcGIS はオープン性を重視した開発思想であるため、各種 API や SDK が公開されている。そのため、開発において特定の一社に縛られず、ベンダーロックインになる可能性が低いことも評価された。

再開発に伴い、既存機能を新システムに置換しつつ、既存システムの効果も維持することが期待された。利用者目線では、操作パフォーマンスの向上は最重要条件である。既存システムは Java アプレット方式を採用していたが、新システムでは Web 方式を採用することで、起動時間の高速化と操作パフォーマンスの向上を図った。また、これまでバラバラだった落雷位置、土壌雨量指数、故障系統などの情報を収集する手間を削減するため、送変電 GIS に必要な情報を 1 つに統合し、PC やスマートフォンからアクセスできるようにした。

従来の送電地図情報システムには業務用 PC、LLS や土砂災害予測には送電 MIT、故障情報は紙媒体、と使用するデバイスも異なり、情報も一元化されていなかった。今回の再開発により各システムが送変電 GIS として統合され、特に利用者に対して多くの効果を生むことになった。業務用 PC と社用スマートフォンのどちらからでもシステムにアクセスが可能となり、使用デバイスの制限がなくなった。一つのデバイスで一元化された全ての情報にアクセスでき、かつリアルタイムで情報を取得できる効果は大きい。

これにより、これまで紙で運用していた地図も廃止となり、経費削減に繋がった。

また、サーバーの実行方式を変更したことで起動時間が大幅に短縮され、操作パフォーマンスも格段に向上したことで操作中の利用者のストレスも解消された。

「送変電 GIS により業務が大きく改善されました。故障・保守業務に関する情報は送変電 GIS に集約されていますので、今では屋外の現場にスマホだけ持っていけば事足ります。現場では大いに役立っています」と同社システム部の宮口氏は述べる。

連携システムと地図機能
連携システムと地図機能

小河氏はさらに今後の展望を次のように述べた。「送変電 GIS により情報が一元化され、使用デバイスの制限もなくなり、導入効果も出てきました。ただ、まだ社員が使いこなしているとは言い難い状況です。送変電 GIS の効果をみんなが理解して、もっと利用して欲しいと思っています。また、送電部門における工事や伐採、境界の特定など多くの業務で行政機関が公開している法令情報の確認が必要です。現在、Web GIS で法令情報を公開する行政機関が増えています。これらの法令情報を送変電 GIS の一つのレイヤーとして取り込むことができれば、当社と行政機関の確認業務が効率化され、双方にとってメリットがあると考えています。今後、送変電 GIS を通じて、各団体との連携を進めていければと考えています。」

プロフィール

システム部 技術システムグループ 小河 大輔 氏(左)、宮口 直樹 氏(右) 飛騨電力センター 送電課 田中 秀典 氏(中央)

システム部 技術システムグループ
小河 大輔 氏(左)、宮口 直樹 氏(右)
飛騨電力センター 送電課
田中 秀典 氏(中央)

中部電力パワーグリッド株式会社

導入協力企業

株式会社中電シーティーアイ
組織名株式会社中電シーティーアイ
 住所 〒461-0005
愛知県名古屋市東区東桜1-1-1
アーバンネット名古屋ネクスタビル
掲載日

2023年1月30日