標高データ
標高とは
登山中に「標高 800m」といった標識を目にするなど、標高という言葉は私たちの普段の生活に広く浸透していますが、具体的に標高とは何の数値を指しているのでしょうか。

一般的に地理において、標高はある特定の地点を基準とした高さのことを指します。日本ではこの基準を東京湾の平均海面(標高 0m)と定義していますが、海面は波があり固定されていないため、実際には東京都千代田区永田町の国会前庭洋式庭園内にある日本水準原点標庫からの高さを基準に測量して標高を求めています。
地形(地表の高低や起伏)を GIS で表現するためには、この標高データが必要です。ここでは、GIS において使用される標高データのデータモデル、また、その表現方法や入手方法について紹介します。
GIS における標高データモデル
GIS において標高データを利用する際、よく耳にするのが DEM(デジタル標高モデル)、DTM(デジタル地形モデル)、DSM(デジタル サーフェス モデル)、そして TIN(不規則三角形網)といった、標高のデータモデルの名称です。データモデルによって標高データの範囲や格納方法が異なるため、目的や用途などによって適切に使い分ける必要があります。
DEM、DTM、DSM
まず、GIS における標高のデータモデルはラスター データとベクター データに分類することができます。ラスター データ形式のデータモデルでは、連続的に並んだセルの 1 つ 1 つに標高値を格納し、DEM、DTM、DSM がこれに該当します。
3 つの中で最も代表的な DEM は、建物や樹木などを取り除いた地表面の高さを表示するデータモデルです。日本では、国土地理院が提供する「基盤地図情報(数値標高モデル)」という DEM データが広く利用されており、これは航空レーザー測量や写真測量によって得た標高データをメッシュ(5m、10m 単位などの方眼)で区切り、その中心点の標高値を抽出したデータです。
これに対して DSM は、建物、樹木、橋などの高さを含めた標高値を表示するデータモデルのことを指します。地表面だけでなく、その上に存在する地物の高さを加味した標高データが必要な場合は、DSM データを入手する必要があります。

DTM はよく DEM の類義語として扱われますが、DEM が標高データを包括的に表す用語である一方、地表面のみの標高であることを強調する用語として DTM が使用される場合があります。
TIN

標高のデータモデルの中で、DEM、DTM、DSM とデータの格納方法が大きく異なるのが TIN(不規則三角形網)です。TIN はベクター データ形式の標高の表示方法で、等高線(後述)や DEM などの標高データの頂点(ポイント)のセットを結んでできる不規則な三角形によって構成されています。これらの三角形は地形が平坦なエリアでは大きく、また、地形の変化が激しいエリアでは小さくなるため、地形状態の変化(たとえば、山頂や斜面の末端、尾根、谷底、くぼ地など)を特定したい場合などに活用できます。ArcGIS では ArcGIS 3D Analyst を使用して等高線や DEM データから TIN を作成することが可能です。
GIS における標高データの表現方法
GIS で標高データを扱う上でデータモデルの理解に加えて重要な要素が、入手した標高データをどのように可視化するか、つまり標高データの表現方法です。標高を GIS で表現する方法にはさまざまな種類があり、目的や用途によって適切な表現方法を選択する必要があります。以下では、代表的な表現方法を紹介します。
等高線
一般的にもよく知られている標高の表現方法に等高線があります。等高線は標高が等しい点の集まりを結んだ線のことを指し、5m、10m、50m などの一定の間隔で連なって表されます。GIS においては、一般的にベクター データ(ラインまたはポリゴン)で等高線を作成します。等高線で標高を表現することで、たとえば等高線の幅が広いほど傾斜がなだらかというように、地形の傾斜を読み解くことができます。国土地理院「数値地図(国土基本情報)」などからあらかじめ等高線として提供されているデータを利用する以外に、ArcGIS では DEM などから等高線を作成することも可能です。

陰影起伏図

陰影起伏図とは、ある方向から光を当てたときに地表面に生じる陰影を再現したもので、地形の起伏を立体的に表現したい場合などの利用に適しています。ArcGIS では DEM などから簡単に陰影起伏図を作成することができます。
高度段彩図
高度段彩図とは、標高値を高度の段階ごとに分け、その段階ごとに色付けを行う表現方法です。色を付けることで、より直感的に地形の高低やその間隔を把握できるようになります。高度段彩図と前述の陰影起伏図を重ねてさらに見やすくしたものを陰影段彩図と呼びます。

3D 表示

ここまで標高データの平面的な表現方法をご紹介してきましたが、もちろん Z 値である標高値を使ってデータを立ち上げ、3D 表示をすることも可能です。3D 表示を行うことで、標高データの立体感がより増し、視覚的な効果を高めることができます。
標高データの入手方法
GIS で利用するための標高データの主な入手先は以下のとおりです。
無償の標高データ
- 国土地理院「基盤地図情報(数値標高モデル)」
10m、5m(一部地域のみ)メッシュ単位の標高データ
有償の標高データ
- 国土地理院「数値地図(国土基本情報)」
- 国土地理院「数値地図」
250m、50m、10m、5m(主要平野部のみ)、2m(中越地方のみ)メッシュ単位の標高データ
※現在では更新は行われていません。 - ESRIジャパン「ArcGIS Geo Suite 地形」
基盤地図情報(数値標高モデル)と数値地図(国土基本情報)をデータソースに使用し、ArcGIS ですぐに使えるようにした全国シームレスの標高、陰影起伏、等高線データ
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