事例 > 最高のワインづくりは地理情報に基づく農園経営から

事例

最高のワインづくりは地理情報に基づく農園経営から

シャイト・ヴィンヤード

 

農園管理に ArcGIS を情報ハブとして活用

イントロダクション

ブドウ栽培に適した土地とは
ブドウ栽培に適した土地とは、刈り取りに必要な
最低 14 度の傾斜があり、9 月に十分な日差しが当たり、
南向きであることだ。このマップは、3 つの要素すべてを
表し、最適な地区を表している。マップは、数値標高
モデルとArcGIS for Desktop を使って作成された。

シャイト・ヴィンヤード(※)(元々はモントレー農園として知られる)は 1972 年カリフォルニア州モントレー郡で設立された。事業は着実にその規模を拡大し、今では 1 万 7,000 平方 km という広大な土地に10か所のブドウ畑を所有し、29 種類のワイン用のブドウを栽培している。

モントレー郡は、モントレー湾の海洋性気候の影響とサリナス・バレーのユニークな地形により、食物の生育に適した季節が国内で最も長く続く地域だ。ブドウが木に生っている時間が長く、ゆっくりと熟すため、最高の味わいが生み出される。この恵まれた環境で育つブドウのさらなる品質向上と、広大な農園の効率的な管理のため、 ArcGIS を情報バブとした統合型農園システムが構築された。

※ヴィンヤードとはワイン用のブドウを生産する農園のこと

導入経緯

GIS を初めて導入したのは、1998 年にタイラー・シャイト氏がサブメーター GPS でワイン畑全体を測量したときにさかのぼる。この時は ArcView を使い、ヘイムズ・バレー ヴィンヤードで詳細な灌漑システムと凍結層のマッピングが行われ、ワイン畑として利用している各エーカーあたりの土壌統や、一般的な地理的エーカーと農園の各ブロックあたりを比較した場合のブドウの木の本数差などが分析された。それから 11 年後の 2009 年、最新の GIS がシャイト・ヴィンヤードに持ち込まれた。これをきっかけに、様々なシステムの中心に ArcGIS を据えた統合型 GIS による農園運営が開始された。 

導入方法

「ArcGIS は、精密農法オペレーションのバックボーンである」と農園で GIS スペシャリストとして働くジョナサン・ヴォエヴォダ氏はいう。今日 GIS は、データ管理、収穫分析、植林に適した場所の選定、農場内のデータ収集に利用され、灌漑の必要条件の決定や社内の情報ポータルとして活用されている。「空間データの宝庫で、的確な時期にかつ効率的に、情報に基づいた決断を行うことができる。農園経営の情報ハブとして ArcGIS を利用することで、農園で働く誰もが同じデータを参照し、各部署の業務を包括に把握し、適切な対応をとることが可能になった。」その言葉の通り、様々なシステムと連携して ArcGIS が活用されている。

農業機械追跡システム

シャイト・ヴィンヤードでは、ジオフォース社(テキサス州コッペル)が提供する農業機械の追跡システムを導入している。このシステムは ArcGIS と統合されており、GPS などを利用して、1 分毎に生成された農業機械の位置情報レポートをトラッキングデータとして 15 分間隔で ArcGIS for Server に送信している。また、ブドウ畑のインフラを元にジオフェンスを設置し、GIS を使ってインフラ設備をブロックレベルで追跡することも可能だ。(ジオフェンスとは、特定の場所を取り囲む仮想的な境界。位置に基づくサービスを利用する際、ジオフェンス上を行き来することで自動的に通知が生成され、サーバーに送信される。)

経験値に基づく労働力の振り分け
労働者の経験値を初級、中級、上級のレベルに
分け、各レベルに応じて作業する区画を分ける
ことで、事故や非効率性の減少が見られた。

生産高の管理

農園ではさらに、AgCode 社(ミネソタ州グレンウッド)が提供する従業員と生産高の管理システムを導入している。このシステムでは、農園、地区、ブロックレベルでの経費と生産高の追跡や、班、個人単位での変数をトラッキングすることができる。紙ベースの生産記録を廃止し、直接データベースに農地ごとの生産データを取り込み ArcGIS へ送信することで、効率の悪い部分をほぼリアルタイムに見つけ出し、調査し、必要な時に修正できるようになっている。  

地質データベースの活用

アメリカの農務省 自然資源保全局が運営している地質データベースであるWeb地質調査も活用している。このサービスは、特定のエリアに関する土壌タイプや適する農作物の情報を提供する、国内の地質調査情報に関して唯一信頼できる情報元といえる。またシャイト・ヴィンヤードでは、植えつけに適した標高に関する地質マップレイヤー情報を分析し、そこに植えるのに最適なブドウの根と栄養系の組み合わせの検討に役立てている。

水分量のモニタリング

地中の水分量をモニタリングするため、農園内の特定のエリアに中性子プローブを導入している。各プローブから収集したデータを GIS に追加し、全栽培工程における土壌の水分量をラスターマップに反映させている。この土壌の水分量マップは、現在開発中の灌漑 GIS インフラの一部としても利用する予定だ。また、測候所、土壌の水分量マップ等の灌漑データ、リモートセンシングデータの統合も計画している。これにより、アプリケーションとしてさらに動的かつ正確な灌漑過程のモニタリングが可能になる予定だ。

病害虫対策

病害虫対策には、ArcGIS for Mobile プラットフォームを利用し、様々な病害虫目撃データ分析手法の試みを行っている。生育期を通して定期的にブドウを観察し、農園内での害虫、病害、白カビの発生・目撃個所をモバイルで記録し、GIS データとして送信している。データを分析することにより、病害虫の駆除など、ブドウへの影響を最低限に抑えるための迅速な行動と決断が出来るようになった。

農園の様子
農園の様子

栽培方法管理

シャイト・ヴィンヤードでは、ワインメーカーのニーズに応じて通常とは違った栽培方法を採用している区画を設けている。この区画での栽培方法は毎年変わるため、その管理にも GIS が使われている。区画で収集されたデータはGIS データとして格納され、品質の良かったブドウを再現する際に活用される。また、データは農園のすべての社員が閲覧できるようになっている。

導入効果

「業務を GIS 中心で構築することで、様々なソースから重要なデータを統合できるようになった。GIS 導入前に多くの時間をさいていた不要な作業を取り除くことができ、業務の効率化に大きく貢献している」と農園管理官であり GIS 技術者であるグレゴリー・ゴンザレス氏はいう。「農園で働く誰もが GIS プラットフォームを通して同じページを閲覧することで、書類業務やデータ入力の二度手間、車両の運転時間と燃料の節約、混乱や矛盾の回避などを実現している。同様に、生産高と質の維持管理、新たな試みへの挑戦といった極めて重要な課題に取り組む時間が生まれた。ブドウに接する時間を増やすことで知識を増やし、ブドウの品質をより高めていく努力を続けていきたい。」

今後の展望

シャイト・ヴィンヤードでは、リアルタイムデータストリーミング機能を提供する ArcGIS GeoEvent Processor for Server に期待を寄せている。「ジオインフラ構築を続けていくうえで、私たちの資産管理計画に丁度良い製品だ」とシャイト氏は語る。「農業機械の移動をトラッキングできるだけでなく、使用時間についても管理できるので、スケジュール管理や機器使用を総合的に評価することができる。また、農業機械の最大限の効率化と生産性を確保するために、ArcGIS Tracking AnalystArcGIS Network Analyst エクステンションの導入を検討中だ」


関連リンク

関連業種

関連製品

掲載日

  • 2013年11月26日

Copyright© 2002-2017 Esri Japan Corporation. All rights reserved.
トップへ戻る