ビッグデータと GIS
ビッグデータとは
ICT(情報通信技術)の進展、IoT(Internet of Things)の浸透により、ビッグデータの収集、蓄積、処理、解析、可視化が容易になり、個々の顧客のニーズに即したサービスの提供や業務運営の効率化などが実現可能になってきています。我々の日常生活のあらゆるところで、常にビッグデータは収集され、活用されています。
「ビッグデータ」は、一般的には、Volume(データ量。数十テラバイトから数ペタバイトの範囲となることが多い)、Variety(多様性。データタイプとデータ源の範囲が多様で複雑である)、Velocity(入出力速度。リアルタイムなど高頻度で入出力される)の 3V でよく定義されます。近年では、3V に加えて、Veracity(正確さ)またはValue(価値)を含み 4V と呼ばれることもあります。
ビッグデータの活用例
| 業種 | 活用例 |
|---|---|
| 流通・小売 | 検索サイトでの検索履歴に応じた広告の配信 ソーシャルメディアの書き込みを分析しマーケティング施策に利用 クレジットカードの決済情報による不正利用の検知 購買履歴に応じたクーポンの発行 |
| 製造 | 過去の修理データから故障可能性の高い部品を抽出し、予防的なメンテナンスによりコスト削減 |
| 交通 | 交通系 IC カードの利用履歴から出店計画や立地評価 プローブデータから安心安全への取り組み |
| 医療 | カルテや投薬情報の統合管理でコスト削減 感染症の流行範囲の予測 |
| 防災 | 過去のデータから地震の被害予測や防災計画の策定 |

位置情報付きのビッグデータ
ビッグデータの中に緯度経度や住所、郵便番号などがあれば、それらを処理することで位置を特定し、地図上で表現することができます。自動車のナビゲーションシステムから取得したプローブ情報(走行履歴)やスマートフォンの GPSなど、位置情報が付いているビッグデータは多数あります。また、ポイントカード会員の購買履歴(購買店舗の位置)など、位置情報を付与できるビッグデータも数多くあります。
GIS での可視化と活用例
位置情報付きのビッグデータは、GIS 上で空間的な解析を行い、可視化することができます。

たとえば、プローブ情報を GIS で処理・解析することで、地理的観点を加味した傾向分析の結果を得ることができます。交通量と急減速件数を比較し、急ブレーキがたくさん踏まれた箇所を抽出することで交通事故危険箇所を予測し、可視化するようなことが可能です。

ニューヨーク市では、タクシーの乗車日時・場所、下車日時・場所、乗車客数、運行距離などを含む 1 億 7000 万レコードにもおよぶビッグデータから、乗車ポイントの傾向分析を行い、イベント時や時間帯ごとの最適なタクシー配車を検討する、というような試みが行われています。

他にも、スマートフォンの GPS の位置情報を GIS で処理することで人の行動履歴を可視化することができ、帰宅困難者対策に使われています。
ビッグデータと位置情報、ビッグデータと GIS の関係はより密接な関係になり、今後も数多くの分野での活用が期待されています。
ArcGIS とビッグデータ
ArcGIS でも、ビッグデータを分散環境で処理可能な「ArcGIS GeoAnalytics Server」、ビッグデータから洞察を得ることができる「Insights for ArcGIS」など、ビッグデータへの対応を進めています。ArcGIS を使うことで、既存の BI*ツールではグラフや表でしか表現できなかったビッグデータを、空間的に解析し地図上で可視化することができるようになり、新たな知見を得ることも可能になります。
*BI=Business Intelligenceの略。業務システムなどから蓄積される企業内の膨大なデータを、蓄積・分析・加工して、企業の意思決定に活用しようとする手法
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