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事例

ArcGISサイトライセンスを活用したGIS教育

大阪経済大学 情報社会学部

 

新学科設立に伴い GIS 教育を開始し ArcGIS サイトライセンスを導入
基礎から応用までのカリキュラム構築とゼミでの GIS 活用の事例を紹介

概要

授業風景
授業風景

大阪経済大学 情報社会学部では、現代社会の様々な問題を発見・分析・解決する能力を備えた人材の育成に取り組んでいる。

情報社会学部の草薙教授はかねてより、これら諸問題の分析と解決には GIS 教育が重要であると考えていた。そして 2007 年、ArcGIS 製品の利用人数増や機能拡張への対応と費用などを考慮して、ArcGIS サイトライセンスを導入した。その結果、情報社会学部の全教員と全学生が授業やゼミで GIS を利用できる環境が整った。

現在、学生達は日々「データマップ」作りに取り組んでいる。草薙教授のゼミ生は、外部コンテストにも参加して、優秀な成績を修めているという。ここでは、草薙教授が考える GIS 教育の重要性とその取り組みについて紹介する。

背景

草薙教授は、2002 年に NHK で放送された「データマップ日本再生の手がかりを探る」を見て、今では当たり前となった「データマップ」という言葉に惹かれるとともに、その表現力と説得力に大きな刺激を受けたという。

草薙教授は、2003 年度から 1 年間、大阪経済大学からアメリカ合衆国のイリノイ大学に留学した。大阪経済大学ではその頃、新学科開設に向けた「空間情報処理科目」の検討が行われていたこともあり、草薙教授が米国内における GIS 分野に関する動向調査を担った。その結果、ユーザ数の多さと関連情報の豊富さ、利用可能な地図データの多さ、また企業や行政でも幅広く利用されていることから、ArcGIS を授業で利用することになった。

導入経緯

帰国後は、 GIS を活用した授業体制を整えていった。まず、2004 年度よりゼミのテーマを「IT を活用した地域経済情報の分析」とし、ゼミでの ArcGIS の利用を開始した。2005 年度には、ArcGIS による分析を盛り込んだ多くの卒業研究が一定の成果を上げたことで教育効果を確信し、授業開講へつながっていくこととなった。
2006 年度からは、ゼミのテーマを「データマップ;デジタル地図を通して世界を見てみよう」に変更した。それと平行して学部向けの授業として、2006 年秋学期から「空間情報処理論」を、2007 年度より「空間情報処理実習」を開講して、授業でも GIS を使った実習を取り入れるようになった。
ちょうどその頃、国土交通省国土政策局が「国土数値情報ダウンロードサービス」という Web サイトを開設して、良質の地図データを無償で提供してくれたことも追い風となった。

現在では、学部 2 年生から「空間情報処理基礎」および「空間情報処理応用」、大学院で「空間情報処理特論」の講義・実習を受講することができ、ArcGIS を用いた空間情報分析の基礎から応用までを幅広く学ぶことができる。
授業で様々な空間情報分析の理論と技術を学びながらゼミを受講することで、現代社会の様々な問題に対して GIS を使った卒業研究につなげていく。

GIS 教育の重要性

地理情報システムを利用した空間データに関するデータベース整備や、空間データ分析による企業や自治体経営の効率化は、情報社会分野における重要な応用分野の1つであると草薙教授は考えている。

当該科目では、空間データの考え方や地理情報システムの仕組みを理解し、現実の地域とデータを対象とした分析を行うことで、より深い利用の理解と実践的な問題処理能力を養うことを目的としている。最終的には卒業研究において、その集大成となる論文を完成させる。

コンテストへの参加

2014 年度から、3 年生ゼミのグループ課題として、公益財団法人 統計情報研究開発センター主催の「G-Censusプレゼンテーション資料作成コンテスト」に参加している。コンテストでは「G-Census」という統計 GIS ソフトを使用するが、ArcGIS で培った処理・解析の技術と経験が強みになっている。2014 年度は奨励賞 3 グループ、2015 年度は優秀賞 1 グループと奨励賞 4 グループの受賞実績をもち、GIS を卒業研究で使用する上でのモチベーションに繋がっている。

地図作成で苦労した点を学生に尋ねたところ、チーム内のコミュニケーションを図ること、指標を決めてデータを探すこと、時間外でも PC に向かって努力したといった点が挙げられた。ゼミ生達は、このコンテストでの成果を就職活動における履歴書の執筆や資料提出などに生かすことが出来ているとのことだ。

卒業論文

草薙ゼミの卒業論文のテーマは多岐にわたる。共通テーマである「データマップ」を活用するものであれば、研究テーマは自由としているためだ。例えば、「廃藩置県以降の日本の人口分布の移り変わり」(図 1 )、「難波駅周辺におけるコインパーキングの分布」(図 2 )をはじめ、日本 100 名城の立地、聖地巡礼ビジネス、お笑い芸人に関する出身地別分析など、学生自身が興味を持てるテーマを見つけてきて卒業論文に繋げるのが基本であり、分野はきわめて幅広い。過去の卒業論文については、ぜひ草薙教授の HP よりご覧頂きたい。

図 1 : 旧国別にみた 1930 年から 1947 年にかけての人口増加の割合
図 1 : 旧国別にみた 1930 年から 1947 年にかけての人口増加の割合

図 2 : コインパーキングの料金と商業施設との関係
図 2 : コインパーキングの料金と商業施設との関係

今後の展望

「近年アプリ、データとも大変充実してきていることもあり、特にゼミ教育で目覚ましい成果が出てきている。また学部内でも、社会学系の現地調査や情報科学の応用分野での利用が検討されており、ArcGIS の利用がますます広がっていくだろう」とのことだ。また、クラウド環境で利用できる ArcGIS Online については、応用分野の広がりと使いやすさという点で大きな可能性を感じると評していただいた。

ゼミ教育に関しては、学生の自由な発想から生まれるアイデアを見るのが楽しみであり、そこから新しい刺激や学びを得ることができる。例えば、アイデアの内容が全く専門外であっても、関連する文献や資料を学生と一緒に調査するなど、自身の研究にも広がりがでているとのことだ。どんなに無謀なアイデアであったとしても形にしていきたいと、今後の GIS 教育について楽しそうに語って頂いた。

プロフィール


情報社会学部 教授 草薙 信照 氏



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資料

掲載日

  • 2017年3月23日

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