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ゲームの世界でもGISを活用 -PSP©専用ゲーム「ニッポンのあそこで」制作現場で-

株式会社 ソニー・コンピュータエンタテインメント

 

制作ディレクターの地図に対するこだわりに応えた地図作成機能と作成スキル

日本全国が3次元ミニチュア化され、持ち運びできる“動く地図帳”として利用できるだけではなく、地図をエンターテイメント化したソフト制作にGISを活用

「ニッポンのあそこで」とは

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「ニッポンのあそこで」
http://www.jp.playstation.com/scej/title/nippon/

株式会社ソ二ー・コンピュータエンタテインメントからPSP(プレイステーション・ポータブル)用ゲームソフトとして2008年5月1日に発売されました。

宇宙から日本にやってきた宇宙ネズミ「ナビッチュ」と「絶叫マシンを調査せよ」など様々な課題を3Dで描かれる日本列島を調査しながらクリアしていくというもので、各地の著名な建造物などをコレクションすることにより3Dのミニチュア日本ができあがります。

大きな特徴は単なる地図ソフトではなく、ユーザがベースマップとなっている国土地理院発行の2万5000分の1地図と国際航業株式会社に作成依頼した3次元コンテンツ上に、遊びながら独自に様々なアイテムを地図上に載せていくという新しい感覚です。

地図へのこだわり

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イルミネーションも再現したこだわりの夜景

以前から地図を見るのが好きだった制作ディレクター西沢氏が今回のゲームに対してこだわったのは、地図をデジタル化し地図が表示されているものを持ち運ぶことだけではなく、実際に電車や飛行機などが地図上で動くこと。更に、そこに描かれている背景としての地図がよりリアルに表現されることでした。ゲームの中では実際に自動車や電車だけでなく船も走り、飛行機も飛んでいます。今回は実用ソフトを作ることではなく、ゲームとして地図上で遊ぶソフトを作ることがコンセプトにあったのです。
GISをよくご存知の方々には、日本全国の地図データ、しかも3次元表示まで行うデータの容量をお考えになるとある程度ご想像いただけるかと思いますが、地図だけでも大容量となってしまいます。地図作成において一番苦労されたのはデータ容量を大きくしないことでした。
PSPは携帯ゲーム機であるためにソフトは、家庭用ゲーム機で利用され
るようなDVDではなく、DVDに比べるとデータ容量の少ないUMD(R)(Universal Media Disc)というシングルCDより少し小さい直径6cmのメディアを採用しています。容量が1.8GBであるため、UMDへいかにしてコンテンツを格納するかが課題でした。前述の通り今回は実用ソフトではなく、ゲームであるため地図だけではなく、ゲームのプログラムなど他のものも格納しなければなりません。

“動く地図帳”作成

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今回、地図データ作成を行った国際航業株式会社のデータ作成担当の車氏は以下のように語ります。
今回はArcInfoと3DAnalystを活用しデータ作成を行いました。やはり大容量のデータをいかにより小さな容量に抑えるかが一番苦心した点です。1億2千万点ある標高データの処理に当たり、必要な精度を確保しながら、しかも2次メッシュのタイル単位で、更にシームレスなデータを作成しました。そのために、手動で処理をしていてはかなりの時間を要するため、Pythonというスクリプ卜言語によりデータ加工処理を全自動化し効率アップを図りました。
また、前述のように、西沢氏には地図をできるだけ忠実に表現したいとの思いをお持ちのためそれに応えるべく、数値地図25000のデータについても、そのまま適用するのではなく、道路や河川にも幅を持たせた形で作成を試みましたが、やはり容量を抑えるにはシンプル化するしかありませんでした。ただ、人工の海岸線などは精度を保ちつつ、かつ間引きつつ表
現できるようにするには試行錯誤が必要でしたが、ArcGISのジオプロセッシング処理により高度な加工を行うことができました。
これらのデータ処理、編集処理はArcGISなくして実現はできませんでした。

まとめ

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「ニッポンのあそこで」は、制作段階において地図の実用ソフトということをコンセプトにはおいていませんが、我々が日常GISに触れている中でも必要とされる機能は用意されています。
国際航業株式会社製の地図データベース“PAREA(パレア) ”を採用し、PAREA-Roadの60万件以上の施設データが収録されているため、ランドマーク的な建物やコンビ二などが表示されるほか、住所検索や駅の検索機能が用意されています。また「PlaceEngine」が搭載されているためGPSのセットがなくともWi-Fiへの接続ができれば、自分の現在位置を取得できます。
またPSP専用カメラを利用することで連動して写真も地図と関連付けて保存することができ、ちょっとした旅ログの作成にも使えます。更に、ソーシャルマッピングサービス「PetaMap(ペタマップ)」に完全対応し、最新のクチコミ情報やグルメや生活関連などのオフィシャル情報にアクセスできるなどプレーヤー同士のコミュニティ参加も楽しめるようになっています。
その他に、ゲーム上で名所旧跡や神社仏閣、郷土料理、天然記念物などの地物アイテムを集めたり、自分で収集したお気に入りの店舗情報なども地図上に載せていくことができ、オリジナルマップを作成していくこともできます。
このゲームのように、地図をモバイル端末で見ながら、現地調査に出かけデータの取得を行ったり、その情報をネットワーク上で配信・共有するという仕組みは、GISが利用されている官公庁、大学、民間企業の業務の中でも様々な業務で行われていることです。実際にコンシューマー市場の中で、しかもゲームという手軽に楽しめる環境の中で実現されたのが、「ニッポンのあそこで」というわけです。

プロフィール


制作ディレクター 西沢 学 氏



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資料

掲載日

  • 2009年1月1日

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