マップギャラリー投票ページ

ユーザー様からご応募いただいたマップとストーリーマップを公開しています。
今回もたくさんのマップが集まりました。皆様のお気に入りのマップは見つかりましたか?
たくさんのご応募ありがとうございました。
マップ部門
M01温泉水の起源を環境同位体で追跡—プレートの沈み込みを通じた超深層水循環—
筑波大学 生命地球科学研究群
地球科学学位プログラム
安達 郁哉 氏
人々に愛される温泉。その温泉水の多くは天水が地下に浸透し、流動する過程で熱や成分を獲得したものとされる。一方で、一部の温泉では天水とは異なる成分(非天水成分;化石海水、プレート脱水流体など)が混合している可能性が指摘されてきた。天水と非天水は、水の水素・酸素同位体比の関係を分析することにより区別される。これまでに、中部地方周辺の温泉を対象とした現地調査・室内分析とともに、非天水成分の同位体比形成を記述する数値計算モデルを開発し、GIS を活用した検証を実施した。温泉水に混合している非天水成分の起源を推定すると、プレートから脱水した流体が存在することが示された。本マップは、近年にオープン化が進む地球科学的な GIS データを活用し、降水およびプレートの同位体マップを作成するとともに、温泉と地殻現象との関係を可視化したものである。温泉水を利用した研究は、地殻現象の理解に貢献することが期待される。
M02Twinmotion® への地形取込ツール Height Map Clipper
株式会社 建設環境研究所
技術本部 高度情報対策室(Sophistication of Information Tactics)室長 ・ 理事
野村 大祐 氏
EPIC 社の Twinmotion® は、高品質な VR、3D 景観モデルを容易に作成できるソフトウェアです。しかしながら、ArcGIS で加工した GeoTIFF 等の地形データを Twinmotion® へ取り込むためには、PNG への変換、縦横サイズの整数値への調整など、いくつかの加工手順を経る必要があります。また、取込後のスケールについては元データとは異なるものとなり、現実のスケール判断が難しくなります。(株)建設環境研究所は、これからの加工をワンステップで行い、かつ取込後のスケール補整のための情報を自動計算する「Height Map Clipper」を開発し、無償で公開しています。
M03氷のルーツをたどるならまちのかき氷と都祁の氷室
奈良大学 文学部地理学科
平松 大輝 氏
過去と現在の、奈良のかき氷文化について取り上げました。
まずは、復元氷室と都祁氷室神社に焦点を当て、その地理的背景を考察しました。都に近いこともあり『日本書紀』に始まる都祁の氷室がある奈良盆地と大和高原における標高分布図を作成し、都祁氷室の地表面温度、復元氷室および氷室神社の日射量を解析しました。その結果、復元氷室は大和高原の山間部で、標高が高く冷涼な気候にあり、氷の保存に適した場所であることが明らかになりました。
次に、現在のならまちで提供されているかき氷と、ブランド氷「大和氷室」について調査しました。「大和氷室」は、奈良市唯一の製氷業者である日乃出製氷様によって製造されており、澄んだ美しさと口どけの良さが魅力のブランド氷で、周辺の多くのかき氷店に卸されています。ならまちにはかき氷店 9 店舗が密集しており、それぞれのおすすめメニューや、各店舗ならではの特徴をマップ化し、奈良のかき氷文化の多様性と魅力を紹介しました。
M04東日本大震災からの復興事業により,どれだけ地形が改変されたのか?
大阪公立大学大学院 工学研究科
杉本 賢二 氏
東日本大震災の発生から 14 年が経過し,住家の再建や交通インフラの整備が概ね完了した.被災地域では,低地の嵩上げや高台市街地の造成,街区再編など,土地区画整理事業を活用した大規模な復興事業が広範囲で実施され,それにより津波浸水リスクは大きく低減した.一方で,地形改変による環境や生態系,景観など様々な影響が懸念されているため,多角的な観点から復興事業による地形改変を定量評価することが重要である.本研究では,震災直後および現在の標高情報である DEM を用いた標高差分により,特に地形改変が顕著であった復興土地区画整備事業区域における地形改変量の推計を行った.その結果,津波被害が甚大であった陸前高田市や女川町,南三陸町の区域で地形改変の度合いが大きく,とりわけ陸前高田市では 2000 万 m³を超える大規模な改変があったことが明らかになった.
M05統計からみた「中受」の地域差―区市町村別公立中学校在籍者比率の地図化
京都産業大学 文化学部
桐村 喬 氏
私立を中心とする中学校受験(中受)は,近年,大都市圏を中心に広がりを見せています。今回は,国勢調査と学校基本調査のデータから,区市町村別に 2020 年の公立中学校在籍者比率を求め,中学校受験の地域別の状況を地図化しました。公立中学校在籍者比率が低い地域は,多くが私立(・国立)の中学校在籍者比率が相対的に高い地域です。東京大都市圏では,23 区の都心部と西側,さらにその西側の地域,川崎市や横浜市など神奈川県の東京都寄りの地域で低く,京阪神大都市圏でも,京都市など大都市圏の中心都市とその間の地域を中心に低くなっています。二大都市圏以外の地域では,県庁所在市を中心に低くなっており,私立のほか,国立大学の附属校が立地する地域でも低くなっています。そのほかのほとんどの地域では,95 %を超える値になっていて,大部分が公立中学校に進学している状況が読み取れます。
M06for FUTURE まちづくり創学研究
まちづくり創学研究者
岩場 貴司 氏
まちづくり創学の必要性
まちづくりと聞くと、とかく行政や不動 産開発を行う事業者の役割と思う方もい るかもしれませんが、行政や事業者側の 問題だけではなく、そこに住む人・働く 人・訪れる人・街の歴史・環境等々、さ まざまな要素が複雑に絡み合って成立す る活動であると思うわけです。そして、 SDGs が目指す「誰一人取り残さない(no one left behind)」社会の実現という 視点に立った時、こうした多様な要素を 可視化し共有できる情報インフラとしての 仕組みと SDGs ×まちづくりを推進する 目的で“まちづくり創学”( 仮称 ) といっ た産官学連携の研究分野が必要であると考えています。
M07長野県岡谷市の鳥獣被害対策~簡単操作の投稿アプリ と 簡単リアルタイム更新の市民公開マップ~
長野県 岡谷市 産業振興部農林水産課
小口 直伸 氏
岡谷市の鳥獣目撃マップは、市内で見かけた野生動物の情報を誰でも簡単に投稿・確認できるウェブマップである。イノシシやカモシカなどの出没情報をリアルタイムで共有し、地域住民の安心と気づきの向上に役立てている。小学生でも迷わず使えるよう、シンプルな画面構成とした。投稿アプリと参照マップを分けることで、個人情報を公開せずに運用している。職員は簡単な操作で公開用データを作成・更新できるため、目撃情報のこまめな更新が可能である。このマップは国や県への報告とも連携しており、市民と市役所が情報を円滑にやりとりできる仕組みとして活用されている。
M08未利用財産利活用プラットフォーム ―鹿児島の未来をつなぐ Future Impact―
株式会社 地域科学研究所
片野 裕貴 氏
鹿児島県をはじめとした全国の「地方」では、急激な人口減少が進んでおり、学校施設をはじめとした公共未利用財産の発生が課題になっています。これらの課題に対して、総務省を中心に「公共施設マネジメント」が進められているものの、公共未利用財産の活用にはその地域のビジョンを含めた地域住民への説明や連携も欠かせません。一方、特に設立間もない民間企業は事業拡大に向けた拠点を求めていても、コストの問題からなかなか事業拡大の機会を持てずにいます。
そこで弊社では、公開されている統計等情報を加工するとともに、鹿児島県内の公共未利用財産(特に学校施設)の利活用事例を調査し、事例紹介・マッチングプラットフォームとして整備しました。これにより「公共未利用財産を起点とした地域の活性化」を実現します。
M09歴史地名から見る日本
株式会社東京地図研究社
ジオ・コンテンツグループ
荒松 拳 氏
日本各地には、山や川、海、平野などの自然環境に由来する多様な地名が存在し、地域の風土や暮らしと深く結びついてきました。「谷」「島」「岳」などの語を含む地名は、周辺の地形をよく表しており、自然環境に関する手がかりとなります。本展示「歴史地名から見る日本」では、人間文化研究機構および H-GIS 研究会が整備した歴史地名データ(『大日本地名辞書』(明治 33 年)、『旧 5 万分の 1 地形図』(明治 29 年~昭和 10 年)等を基に緯度経度付きで構成)を用い、自然を表す地名をその属性ごとにティーセンポリゴンを生成し、土地被覆図のように可視化しました。属性の集まりや分布、連なりから、その地域の自然と人々の関わりを読み取ってみるのはいかがでしょうか。
M10被災者情報共有マップ ― GIS を活用した迅速な避難と災害復旧・復興―
富山大学
土屋 泰樹 氏・福田 大悟 氏・
安江 健一 氏・佐伯 淳 氏
災害時の課題に、迅速な被害情報の把握や避難所の運用状況が挙げられる。特に富山県防災危機管理センターへのヒアリングでは、被災情報や避難所の不足物資の情報が不足していることから、適切な支援を行えていないことが分かった。そこで、私たちのグループは ArcGIS Dashboards を用いて被災者情報共有マップを作成した。このマップによって、迅速な被害情報や復興施設、被災者の支援ニーズを可視化し、これらの災害によって発生する課題を解決することができる。情報は被災者の方々が、ArcGIS Survey123 で作成した災害情報のフォームから災害状況や復興施設の位置情報・支援ニーズを投稿し、入力した情報は作成したマップに自動で集計・反映される。情報収集においては位置情報を用いて、デマ情報を防ぐための工夫を行った。作成したマップでは、地図だけでなく災害情報サイトを閲覧できようにした。本報告は富山大学で開講された 2024 年度「地域デザイン PBL」の授業成果を元にしている。
M11神戸都心周辺部における人身事故に関する定量的分析
兵庫県立大学
會田 安優奈 氏・川向 肇 氏
大学の講義の一環として、ArcGIS Online を利用し、神戸市中心部の交通事故の中でも人身事故の発生状況をオープンデータを活用して分析したところ、飲食宿泊施設が多い、JR 三ノ宮駅北側の繁華街地区で多いという傾向が確認された。
そこで、人身事故の発生数に影響する要因を ArcGISPro を利用し、予備回帰分析を行ったところ、宿泊飲食業の事業所数などと強い相関が確認された。その結果を報告する。
従来この種の予備的回帰分析を行うためには、ArcGIS からデータを SAS などの統計解析ツール用にエクスポートしたうえで分析する必要があったが、最新の ArcGISPro では、ジオプロセシングツールにより変数間の多重共線性の問題についても、自動的に明らかにされるようになっており、分析における効率化につながっていることを体感した。
あわせて、JMP を利用し各変数のパラメーターの推計結果についても紹介する。今後は、地理空間的加重回帰分析についても実施する予定である。
M12GIS 空間解析による生物の生息適地モデルの正確性の考察 ~モンゴル国のシベリアマーモットの営巣適性地推定を事例に~
酪農学園大学
環境リモートセンシング研究室
田口 洋翔 氏
生物種の生息適地の予測は、動植物の保全や地域の土地利用を考えるうえで欠かせない重要な情報の一つである。私たちは GIS 手法を用いてモンゴル国のキーストーン種として知られるリス科齧歯類のシベリアマーモット (Marmota sibirica) の営巣適正地を事例に、生息地予測モデル (Habitat Suitable Index) を構築した。解析には既存の巣穴の位置情報と数値標高モデル (DEM) から計算した標高、傾斜角度、傾斜方位や植生図などの空間情報を利用した。更に現地検証として巣穴のカウント調査を行い予測の精度と実際の営巣状況との差を求めた。
M13まちの機能届いてる?〜岐阜市の交通・商業と立地適正化計画のズレ〜
岐阜大学 社会システム経営学環
都市ダイナミズム分析研究室
今野 圭梧 氏・本田 晴香 氏・
奥岡 桂次郎 氏
岐阜県岐阜市を対象に、都市機能(商業・教育・行政施設の分布、人口分布など)と公共交通(鉄道・路線バス、シェアサイクル)の空間的整合性を GIS を用いて分析した。
立地適正化計画の誘導区域と、交通利便性・商業施設分布などの現状を重ね合わせ、計画との「ズレ」を明らかにすることを目的とした。
分析の結果、公共交通の利便性と居住誘導区域・都市機能誘導区域との間に空間的なズレが見られ、シェアサイクルも十分に活用されていない現状が明らかになった。このことから、現状の公共交通を最大限に活用しつつ、交通・商業の実態を踏まえた立地適正化計画の再検討が必要であることが示唆された。
M14ガソリン価格の冒険: 20 年の変動を追う
岐阜大学 社会システム経営学環
都市ダイナミズム分析研究室
藤田 真央 氏・奥岡 桂次郎 氏・
野口 峻矢 氏
近年、国際情勢やエネルギー政策の変化により、ガソリン価格は大きな影響を受けています。特に、原油価格の変動や地政学的リスク、そして電気自動車 (EV) の普及が進む中で、ガソリン価格は乱高下しています。このような背景から、2005 年から 2025 年までの日本全国のガソリン価格の変動を地図で分かりやすく示し、各地域の価格の動きを詳しく分析しました。経済的な要因や政策の影響についても考案し、ガソリン価格の歴史的な変動とその背景を理解する手助けになることを目指しています。
M15令和 6 年能登半島地震 復興まちづくり支援マップ
東京都立大学
荒木 笙子 氏・福田 崚 氏・
前山 倫子 氏・益邑 明伸 氏
「令和 6 年能登半島地震 復興まちづくり支援マップ」は、復興まちづくり支援を目的としたウェブ地図です。どなたでも、簡単に、PC やスマホなどで被害状況、被災後の空中写真などが表示できます。発災 2 週間後の 2024 年 1 月 14 日から一般に公開し、順次情報の追加・更新、機能の追加を行っています。 被災直後から、各行政機関、民間企業、団体、学会、研究者等が、能登半島地震に関する情報を GIS データとして公開しています。それらを重ねて見ることができます。また、GIS データになっていない情報についても、独自に位置情報を付加するなどして公開しています。現地調査・視察時のガイドのツールや被災地における調査結果の共有のプラットフォームなどとして利用できます。
M16避難所を中心とした地域での太陽光発電活用―災害時の電力需給分析―
横浜国立大学大学院
都市イノベーション学府
鄭 智允 氏・稲垣 景子 氏
災害時の広域停電の経験から,地域内の再生可能エネルギーを活用した電力自立の重要性が高まっている.三重県には災害時にも「備えるコンセント」を介して電力受給できる小規模太陽光発電所が約 237 か所あり,本研究では,この電力を近くの避難所で地域住民が使用することを想定し,避難所を中心とする地域ごとに災害時の電力需給バランスを分析した.需給バランス推計結果のマップ化(視覚化)により,地域のエネルギー自立に貢献する既存システムの充足度を確認できた一方で,不足エリアが明らかになった.特に,地震・津波・土砂災害リスクや孤立可能性のある集落で,災害時の自立性向上が求められており,これらの地理的分布状況も確認した.今回の分析とマップは,近隣の避難所間の連携や,新たな設備導入を考える基礎資料となると考える
M17伊豆沼と宮島沼の空から数えるマガンたち ~冬から春へ、伊豆沼・内沼と宮島沼~
酪農学園大学
東一 匠哉 氏・小川 健太 氏
渡り鳥であるマガンは、秋にロシアから南下し、北海道を中継地点として東北地方の湿地で越冬します。春になると再びロシアへと戻り、このような季節的な移動を毎年繰り返しています。湿地はマガンにとって重要な中継地や休息地であり、その保全状況は生態系の豊かさを示す重要な指標となります。こうした背景から、マガンの個体数を正確に把握することは、保全活動にとって欠かせません。宮島沼と伊豆沼・内沼は、国際的にも重要な湿地としてラムサール条約に登録されており、多様な水鳥の生息地となっています。酪農学園大学環境空間情報学研究室では、ドローンを用いた空撮により、マガンの個体数カウントを行っています。本作品では、両沼で撮影した空撮画像を ArcGIS Pro で一枚の地図としてつなぎ合わせました。
M18平均寿命と健康寿命の地域差とその要因
慶應義塾大学 経済学部
松本 直樹 氏・河端 瑞貴 氏・直井 道生 氏・森岡 渉 氏・今中 雄一 氏
高齢化社会を迎え、今後の医療費の増大が懸念されている。平均寿命には地域差があることが知られているが、健康寿命や平均寿命と健康寿命の差(不健康な期間)の地域差に関する研究はほとんど見られない。今後の医療費を削減し、国民生活の質を向上させる上でも、不健康な期間の短縮が重要になると考えられる。そこで本研究では、平均寿命と健康寿命、および平均寿命と健康寿命の差の地域格差を明らかにし、その地域要因を分析することを目的とする。対象地域は全国とし、平均寿命は厚生労働省のデータ等、健康寿命は介護保険データを基に計算した 0 歳時健康余命、40 歳時健康余命、65 歳時健康余命に基づく健康な期間の平均年等を用いる。空間単位は市町村または二次医療圏とする。分析の結果が、不健康期間短縮を目指す国や自治体等の参考になることを期待する。
M19信濃おおまち みずのわプロジェクト『みずの音ナビ』~長野県大町市の「水」への強い思いを GIS で具現化したい~
いであ株式会社
国土環境研究所 環境技術部
垂 秀明 氏 ・安間 智之 氏
「みずの音ナビ」は、長野県大町市を対象に水路網図のほか「男清水」「女清水」などの水スポット、文化財、水を活かした特産品開発事業(かき氷・カクテル)の取扱店をデータベース化した WebGIS アプリです。
今後も多くの情報を蓄積していく予定です。
地図データベース以外にも、北アルプス国際芸術祭 2024 期間中には、芸術作品の位置を表示するとともに、水スポットを巡るスタンプラリー企画でベースの地図アプリとして利用しました。
GPS と連動して現在いる場所を把握しながら、スタンプラリーのスタンプを得ることができる水スポットを探し、スタンプをゲットしたり、WebAR を使った「水スポットの説明付きフォトフレーム」で楽しんでもらうなど、大町市内外の人に大町市の「水」に親しんでもらう地図アプリとして利用してもらいました。(開発アプリ:ArcGIS Experience Builder、開発期間:2 か月。初めてでも出来ました!)
M20酒造好適米『山田錦』産地におけるスマートフォンによるスクミリンゴガイ被害確認システムの構築と Spatial Analyst による分析
兵庫県立大学
中根 滉大 氏・川向 肇 氏
本ポスターは、水稲などに深刻な被害をもたらす外来種スクミリンゴガイの発生状況を、スマートフォンと GIS を活用して可視化・共有するシステムの構築を目的とした卒業研究の成果である。スマートフォンで撮影された被害圃場の画像から位置情報と被害画像を取得し、Web アプリを介してオンサイトで記録・集約するシステムを開発した。収集された位置情報と撮影方向の情報から ArcGIS Pro により被害圃場を特定し、IDW 法を用いて空間補間を実施。その結果に基づき、地図上にコンターを作成することで、マップとして可視化した。その結果、被害の集積地区を特定化できた。農家や関係機関において、迅速な被害状況の把握・共有できる環境を整備することで、効率的な被害拡大防除や広域的な対策への展開が期待される。
M21まあるい 地形 と 山手線
ファインマップ株式会社 GIS
真優美 咲都葵氏
山手線は、東京で最も利用者が多く、最も有名な鉄道路線の一つです。東京の主要駅全てを繋いでいます。
世界で最も利用者数の多い駅(ランキング 1 位)である新宿駅も山手線沿いにあります。山手線を利用する人は、月間定期券利用者と乗車券利用者の 2 種類に分かれます。上の地図は、駅名の意味と 1 日乗車券利用者数を示しています。
山手線の最初の駅は品川で、1872 年に開業しました。
下の中央の地図は、山手線の各駅の開業日を示しています。
右下の地図は、東京エリアの地質図と山手線を比較したものです。古い時代では、ほとんどのエリアが水域で覆われていたことがわかります。
M22子どもと一緒に風水害リスクマップを作ろう! in Itoshima ~まちあるきを通して地域の危険箇所を学ぶ~
九州大学大学院
湊 姫 氏
風水害をはじめとして, 将来を担う子どもたちに対する防災教育は, 単なる知識の伝達にとどまらず, 「自助・共助」の意識を涵養し, 災害時における的確な判断と行動力を育成する上で極めて重要です。そこで、福岡県糸島市をフィールドとして小・中学校において防災学習を実施し, その一環としてまちあるきを行いました。まちあるきを通して児童・生徒から 800 枚以上の地図を収集し, その情報を Arc GIS を用いてハザードと重ね合わせたリスクマップの作成を行いました。実際にまちを歩いて災害の危険箇所を確認することは, 地図や教科書だけでは実感しづらい危険を自分の目で見て体験し, 避難場所や通学路の安全性を自ら確認することで, 防災を「ジブンゴト」として考える力が育まれます。
M23風倒木発生リスクに基づく道路交通網の脆弱性評価
木更津工業高等専門学校
島﨑 彦人 氏・佐久間 東陽 氏・
吉澤 陽介 氏
地球温暖化の影響により,強い勢力の台風は,今後も増加傾向にあると予測されています.このことから,台風の接近・通過にともなう暴風により生じる風倒木に起因した,風倒木災害の激化が懸念されています.
風倒木災害の未然防止策や被害軽減策を検討するうえで,風倒木の発生リスクを事前に予測・可視化した地図は重要な基礎資料となります.我々は,「風倒木は耐風性能の低い樹木に暴風が作用して発生する」との考え方に基づき,樹木の耐風性能や風向・風速に影響を与える自然素因データから,千葉県房総半島の風倒木発生リスクを予測しました.さらに,予測した風倒木発生リスクと道路交通網データを重ね合わせて分析し,風倒木発生リスクが高い地点を通過する道路区間を特定しました.この成果は,風倒木に起因した道路交通障害の未然防止と被害軽減のための実地調査地点や適正な森林管理を優先的に行うべき地点の絞込みに貢献します.
M24「真夜中のGISELLE act-2 あと一歩,キミに踏み出せたなら」
株式会社 GEOJACKASS
代表取締役社長 大友 翔一 氏
近年,宇宙開発の発展に伴い,人工衛星データの利用が急速に拡大している.特に,人工衛星が撮像した夜間光の強度と,国内総生産,雇用,人口,教育水準などの様々な経済・社会指標との間に強い相関関係があることが明らかになってきた.また,国や都道府県等の行政区域に従属せず,かつ単一の指標として利用可能であることから,夜間光は都市を表徴する代理変数として有用性が高いと言える. 一方,不動産の販売価格や賃料は,様々な要素が複雑に絡み合うため価格予測が難航する.ただし,その価格は築年数や専有面積,あるいは築年数以外では,物件の立地している都市性そのものに強く影響を受ける.そこで筆者は,これまでの研究成果に基づき,夜間光を用いた不動産価格予測コンペに参加した結果,部門賞優勝となった.「GISELLE」はその際に開発したライブラリである.夜間光を用いた不動産価格予測の可能性を感じていただければ幸甚の至りである.
M25スキー場圧雪 × RTK GPS 感覚的だった積雪深を可視化 !! 新米オペレータ田村颯一の挑戦
酪農学園大学 実践 GIS 研究室
田村 颯一 氏
気候変動の影響により世界中の多くのスキー場がかつてない雪不足や急激な融雪に直面し、限られた雪をいかに効率的に管理していくのかが大きな課題となっている。私は新米オペレーターとして働く中で、「どこに、どれだけ雪があるのかわからない」という現場の課題を日々実感してきた。 これまで圧雪作業は熟練者の経験と感覚に頼っており、積雪の偏りや変化に対応するには長年の経験が必要だった。そこで、市販で買える比較的安価な RTK GPS(DG-PRO1RW)を圧雪車に設置し、取得した高精度位置情報を GIS で解析。積雪深の空間分布を「見える化」することで、斜度や地形ごとの雪の動きを把握しやすくなったことにより熟練オペレーターの暗黙知を形式知として共有することを可能にした。 こうした現場に立ち、働きながら自らの手で課題を掘り下げ、技術と想いをつなぐ未来を守る新たなアクションは、技術継承の難しさや人材不足といった課題に対する実践的な解決策であり、スキー場の持続可能な未来を支える重要な一歩となるだろう。
たくさんのご応募ありがとうございました。
ストーリーマップ部門
S01福井豪雨デジタルアーカイブ
福井県立大学地域経済研究所(青木 和人 氏)、
福井新聞社(嶋本 祥之 氏)、
福井県立大学(山口 正人 氏・岩崎 日向 氏・
小響 駿人 氏・中森 智紀 氏)
2004 年 7 月に発生した「福井豪雨」は、福井県内に甚大な被害をもたらしました。発災 20 年を迎えるにあたり、福井県立大学の学生たちは、福井新聞社の協力を得て、被住民の証言や報道写真を収集・編集し、地方の災害記憶を若い世代にも閲覧しやすいデジタルアーカイブとして、ArcGIS StoryMaps 上に記録・公開した。
阪神淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害は. 大手メディアが繰り返し、災害記憶を伝えるが、地方災害はその災害記憶の伝承が大きな課題となっている.
そのため、本プロジェクトでは、災害を直接経験していない若い世代が、地方災害の記憶と向き合い、地域の人々との対話を行い、災害記憶の伝承を行った。
また、本取り組みでは、証言や記録を ArcGIS StoryMaps 上に配置することで、空間的・時間的に災害が理解でき内容となっており、防災教育の教材としても高い活用価値がある。この取り組みは NHK 福井放送局や福井新聞など多数のメディアにも取り上げられ、広く地域社会に注目されている。
本取り組みは、ArcGIS StoryMaps による地域災害伝承という新たなモデルを構築したものであり、今後の継続的な展開が期待される。
S02岩手・大船渡山林火災被災状況マップ
株式会社 読売新聞東京本社 編集局写真部
上甲 鉄 氏
2025 年 2 月 26 日に岩手県大船渡市で発生した大規模な山林火災について、読売新聞のカメラマンや記者が撮影した現場の被災状況を即座にマップに埋め込み、刻々と変化する火災の延焼状況を速報する報道コンテンツとして、読売新聞オンライン
( https://www.yomiuri.co.jp/ )を通して公開しました。
S03歩こう!熊野古道 DIGITAL MAP
株式会社 読売新聞東京本社 編集局写真部
伊藤 紘二 氏
2024 年 7 月、熊野古道伊勢路を含む「紀伊山地の霊場と参詣道」が世界遺産に登録されて 20 周年を迎え、三重県主催のウォーキングイベントが開催された。全国から集まった参加者たちと共に伊勢神宮から熊野速玉大社までの道のりを読売新聞中部支社のカメラマンが同行し 14 日間に分けて約 170km 歩いて撮影。鎌倉時代からの重厚な石畳、「庚申(こうしん)さん」と呼ばれる石仏やほこら、道半ばで倒れた巡礼者の供養碑、コケやシダに覆われた峠道に残る光景など、記録した写真を ArcGIS の StoryMap で3Dマップと連動させ、熊野古道を疑似体験できる見せるサイトを作成し、読売新聞オンラインで公開した。
S04東海スケッチ
株式会社 読売新聞東京本社 編集局写真部
伊藤 紘二 氏
きらびやかな屋台行事が国連教育・科学・文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録されている岐阜県高山市の「高山祭」や 300 年余続くとされる三重県熊野市の世界遺産・七里御浜海岸で開催される「熊野大花火大会」、色とりどりの紅葉が美しい愛知県豊田市の「香嵐渓」など、読売新聞中部支社のカメラマンが撮影した東海 3 県(愛知・岐阜・三重)の季節の風景や伝統的な祭りを ArcGISのStoryMap でマップと連動させて見せるサイトを作成し、読売新聞オンラインで公開した。
S05「地下鉄サリン事件 30 年 ~3・20 あの朝、何が~」 「オウム真理教とは ~凶行に走らせたもの~」 「証言 ~あの日の記憶から~」
株式会社 読売新聞東京本社 社会部
大重 真弓 氏
2025 年 3 月 20 日に地下鉄サリン事件の発生から 30 年となるのに合わせて、事件の詳細やオウム真理教のなり立ち、後継団体の現状について、事件を知らない若い世代にもわかりやすく伝わるよう、ビジュアル化した。相互リンクによる 3 部構成としている。
「地下鉄サリン事件 30 年 ~3・20 あの朝、何が~」では、日本の中枢の霞ヶ関駅を狙った犯行だったことが視覚的にわかるよう、東京メトロへの取材や確定判決を基に、分刻みで犯行の流れや被害の拡大が浮かび上がる「動く路線図」を作成。当時の緊迫した様子を伝えるため、警視庁への情報公開請求で入手した警察無線音声も再生できるようにした。
「オウム真理教とは ~凶行に走らせたもの~」では、教団の関与した事件を一つずつ簡潔に伝えつつ、教団が地下鉄サリン事件へと向かう経緯を丁寧に描いた。読売新聞が保存する当時の報道写真をふんだんに盛り込んだほか、公安調査庁による再発防止処分など教団を巡る最新の動きも報じた。
「証言 ~あの日の記憶から~」では、読売新聞に載せた証言集をまとめた。上九一色村など、証言者が関係する地点を地図上に落とし、顔写真をクリックすると読売オンライン上のインタビュー全文に飛ぶようにして、視覚的に読者を引きつける工夫を凝らした。
S06みちのく潮風トレイルを歩く ~岩手県山田町船越半島~
アジア航測株式会社 東北インフラ技術部
地域創生課 鈴木 太郎 氏
青森県八戸市から福島県相馬市までの太平洋沿岸をつなぐ、全長 1,000km を超えるロングトレイル、みちのく潮風トレイル。
今回、そのうちのリアス海岸エリアを代表する、岩手県山田町の船越半島のトレイルルートをご紹介します。
地形の起伏を視覚的に表現した赤色立体地図(開発:アジア航測株式会社)を用いて、現地の風景とトレイルルートの起伏を臨場感たっぷりにお届けします。
船越半島の大自然やトレイルの魅力を、3D のストーリーマップでお楽しみください。
S07Yumeshima-NOW
株式会社 読売新聞大阪本社 編集局写真部
原田 拓未 氏
2025 年 4 月に開幕した大阪・関西万博。2023 年 4 月に起工式が行われたが、建設の遅れや費用の問題が叫ばれた。会場が海に浮かぶ人工島・夢洲(大阪市此花区)に位置することから現地の状況を確認できる人は限られており、否定的なニュースだけが一人歩きしていた。こうした状況に対し、ありのままを読者に伝え判断材料としてもらうことが有意義と考え、地図と連動するサイト「Yumeshima-NOW」を開始した。
サイトには、① 読売新聞社が所有するヘリコプターによる空撮写真と 3DCG モデル、② 特別に許可をもらい毎月撮影したパビリオン建設現場の定点写真、などを掲載した。建設状況とマップの状況に乖離があったため、ヘリからの俯瞰写真をレイヤーとして貼付したベースマップに各パビリオンの状況を落とし込んでいった。
2025 年 4 月の万博開幕後は、パビリオンの展示などをカメラマンが独自の切り口で取材し、写真や動画を追加している。
S08"ひんぎゃの島"青ヶ島探訪!「死ぬまでに見るべき世界の絶景 13 選
伸栄開発株式会社 大阪支店
柳井 大貴 氏・西村 公志 氏
日本一上陸が困難といわれる東京都青ヶ島村に仕事を通じて訪れる機会を得ました。"ひんぎゃの島"と呼ばれる青ヶ島は、東京都心から南に 385km の位置にある孤島です。
島には手つかずの大自然に覆われた秘境の地、世界的にも珍しい二重カルデラ、息を吞むほど美しい星空がそのまま現存しています。そこで、ストーリーマップを活用して、島内を歩いて探索・収集した”ひんぎゃの島”の魅力を紹介することを試みました。
ストーリーは、「絶海の孤島"日本一小さい青ヶ島村"へ」の中で、八丈島底土港から青ヶ島三宝港への上陸までの船上から見る青ヶ島の風景を動画・ガイドで紹介し、「手つかずの大自然に覆われた秘境の地」の中で、島内の景勝地、日本一小さい村の風景を動画・ガイドで紹介しています。是非、「死ぬまでに見るべき世界の絶景13選」に選ばれた「ひんぎゃの島」をWEB体感して下さい。
「ひんぎゃ」とは、島言葉で地熱や噴気孔を意味し火の際(ひのきわ)が語源となっているそうです。
S09微地形表現図で見る青ヶ島の素顔
オルソ画像、赤色立体図、陰陽図を用いて青ヶ島の地形を各視点場で表現する
伸栄開発株式会社 大阪支店
田中 將敏 氏・木畑 有紀子 氏・
屋田 紘子 氏・西村 公志 氏
東京都心から南に 385km の位置にある絶海の孤島、青ヶ島は手つかずの大自然に覆われた秘境の地と呼ばれ、外輪山と内輪山(丸山)からなる世界的にも珍しい二重式カルデラをはじめ、大自然が創り出した造形美が現存しています。そこで、外輪山の最高地点の大凸部(おおとんぶ)、海の玄関口である三宝港、空の玄関口である青ヶ島ヘリポート等の各視点場において、3D シーンを活用して変化に富んだ微地形を立体的に表現することを試みました。ストーリーは、「微地形表現図とは?」の中で、オルソ画像(ひずみのない写真)と建物・樹木などの地物の高さを含まない地表面データである赤色立体図、陰陽図との違いを、スワイプを用いて視覚的に表現しています。また、「青ヶ島の素顔を知る!」の中では、これら微地形表現図を基に、外輪山、内輪山、景勝地から見る大自然が創り出した造形美を 3D シーンで立体的に表現し、マップツアーガイドで紹介しています。是非、絶海上の自然の造形美を、微地形表現を通して WEB 体感して下さい。
S10A map site to lead your prosperous life in the Kobe BIC Area
兵庫県立大学 情報科学研究科
川向 肇 氏
震災復興の一環として構想され,医療・医薬関係の企業誘致が行われてきた神戸医療産業都市には,医療機関・再生医療関係企業や創薬企業,医療機器製造業及びそれらに関連する多数の企業群・大学や各種研究機関などが立地して,様々な活動が行われています.しかし,現在もなお新規立地や医療産業都市域内でのオフィス移転が相次ぐなど,かなり広い範囲でオフィスの新規立地や事業所が激しく変化しています.
そこで,神戸医療産業都市内での企業や各種団体の業種や名称などを含むマップを英語・中国語(簡体字・繁体字)ハングル・アラビア語・タイ語の外国語対応で構築しました.神戸医療産業都市内の生活環境をより彩り豊かなものにするために,地域での生活に必要なレストランやコンビニ等の生活に関する施設の立地と営業時間などを含む地域での生活環境に関する諸施設のマップや公的統計を利用した地域特性を表現したマップ(英語版のみ)も ArcGIS Onlineを利用し作成しました.これらの多数のマップを整理し,一元的に提供することで,神戸医療産業都市内の生活環境を多面的に表現することを試みたストーリーマップを構築しました.
S11過去の街並みを 3D で見る―Landscape Time Machine―
京都産業大学 文化学部
桐村 喬 氏
Google マップを使うことで、世界各地のさまざまな都市の景色を、空を飛ぶ鳥のような視点から 3D で表示することができるようになりました。しかし、昔の街並みはどうだったのかはわかりません。新しくできたお店の場所に、以前どんな建物があり、どんな街並みであったのかを思い出せないのと同じように、Google マップは知らないうちに上書きされていき、以前の景色を思い出せないようにしてしまいます。そこで、日本のいくつかの都市の過去の街並みを 3Dマップ として見えるようにしよう、というアプリ、Landscape Time Machine を作成しました。このストーリーマップでは、大阪や神戸を例に、Landscape Time Machine を使って過去の街並みを 3D で観察するとともに、Landscape Time Machine の機能を紹介します。
S12学ぶ 探険!一宮
株式会社アイ・シー・シー
メディアソリューション部
コンテンツ制作グループ
虫鹿 里佳 氏
私たちは愛知県一宮市のケーブルテレビです。市内の小学校低学年を対象としたデジタル教材を制作しました。市内にある施設の場所を地図を通して知り、学校から施設までの経路を調べる、産業や地元で有名なお祭りなどをクイズを通して学んでいきます。
S13だいちシリーズによる浸水被害推定の自動解析手法
国立研究開発法人 宇宙航空研究開発機構
第一宇宙技術部門 衛星利用運用センター
上田 夏実 氏
「人工衛星 × 防災」の取り組みを多くの方に知っていただきたく、今回は、すでに定常運用の中で関係機関へ情報提供を行っている"人工衛星を用いた被害域自動抽出情報(浸水域)の解析手法"について、実際の災害データを用いてご紹介します。人工衛星や衛星データの解析にあまりなじみのない方にも「こんな技術があるんだ!」、「人工衛星って防災に役立っているんだ!」と感じてもらえたら嬉しいです。
S14大正区の津波避難場所巡り
奈良大学 地理学科 GIS 勉強会
阿野 翔斗 氏
大阪府大阪市大正区の津波の被害について、現在の避難情報を元にルート化しました。近年起こると推定されている南海トラフ巨大地震が発生した際、速やかに避難できる場所の確認が重要だと考えられる。今回作成したストーリーマップでは、避難場所が表示される地図に、実際に足を運び撮影した写真の付加と周囲の特徴を説明することで、一般の方にもわかりやすくしました。
1707 年の宝永地震と 1854 年の安政東海地震による津波ではたくさんの犠牲者を出しました。その災害の記録は、大正区に石碑として残されています。
大正区の面積は 9.43km² であり、北側は南側に比べて標高が低いです。北側は海抜 0m 地帯の範囲が広いことから 0.5m から 1.0m 以上の津波では甚大な被害になることが想定できます。現在、南海トラフ巨大地震によって起こる大正区の津波では、5m と予想されています。大正区の北側には木津川水門があります。その水門を完全に閉め終わるまでの時間と津波の到達時間によっては北側の避難所が限られてしまうことが考えられます。
その際、どのような場所に避難するかと、避難経路を検討していく必要があります。今回は大正区を対象として津波による被害とその際に避難する避難所をルート化しました。
S15ストーリーマップでめぐる伊藤整の「幽鬼の街」展(ArcGIS StoryMaps デジタル図録)
小樽市総合博物館・北海学園大学・
立命館大学・佛教大学
蟬塚 咲衣 氏・武田 佑希子 氏・鈴木 博子 氏・
谷端 郷 氏・手塚 薫 氏・
塚本 章宏 氏・
村中 亮夫 氏・花岡 和聖 氏・石川 直章 氏
このストーリーマップは、2024 年 8 月 10 日 ~ 10 月 20 日まで小樽市総合博物館で開催した本館企画展「幽鬼の街・小樽とその時代を歩く」と、運河館トピック展「小樽の今昔風景」 を、ArcGIS StoryMaps を用いて制作したデジタル図録です。小樽出身の文学者・伊藤整の小説『幽鬼の街』(昭和 12 年)で描かれた場所を、当時の写真や関連する資料とともに多くの地図を用いて解説し、文学と地図を組み合わせることの面白さと、小説世界と実際の小樽の街との繋がりを伝えることを意図しています。展示会は終了しましたが、博物館では定番の紙の図録に代わる本デジタル図録は、いつでもどこでもスマートフォンで簡単にアクセスできます。博物館が所蔵している各時代の写真や地図を手掛かりに、小説の舞台を実際に歩きながら小樽の街並みの変遷を感じていただければ幸いです。企画展の関連事業の様子やイベントで作成したデジタルマップ、来場者アンケートの結果も紹介しています。
S16南大東島のこどもたちとダイトウオオコウモリ大調査!
株式会社地域科学研究所 沖縄事務所
西田 稔彦 氏
沖縄県の太平洋に浮かぶ南大東島。たぐいまれなる島の成り立ち、島の固有の動植物、地質、海洋環境等を有し、僅か 125 年前に人が上陸し、短期間で開拓・発展をしてきた歴史のある島です。
その南大東島の「宝」を島の子供たち、島の人たちが主体的に見つめなおすことで、「島」全体をミュージアムに見立てた展示だけではない体感型の「島まるごとミュージアム」を実現していくプロジェクトが進行しています。
本企画では、南大東島の教育委員会と協働し、島まるごとミュージアムのコンセプトに基いた南大東に生息する固有種「ダイトウオオコウモリ大調査!」を島の子どもたちと実施し、南大東島への理解促進、愛着の醸成を目的として実施しました。調査への主体性向上と、研究者との情報共有、継続的取り組みとアーカイブ化を狙いとして、調査アプリ(サーベイ)、ストーリマップを活用しました。観察対象となるコウモリと手がかりの撮影と地図上へのプロットを通じ、地理的・視覚的な共有を行えるよう設計しました。発見したダイトウオオコウモリは15頭を超え、参加した子ども達全員がその姿を発見することができました。またフィールドワーク後にストーリマップで振り返りができたことで、「さっき私が撮った写真だ!」などと、活動の成果を見ることにより、活動の記憶を思い起こす作業が簡素化されました。
S17思い出のマレーシア
酪農学園大学 環境共生学類
実践 GIS 研究室
岩崎 浩明 氏
Z 世代の私たちが、大学の講義において実習としてマレーシアへ渡り、感じたことおすすめの場所などをまとめたストーリーマップです。私たちの世代はデジタルネイティブとも呼ばれ、幼いころからインターネットやスマートフォンが身近にある環境で育ってきました。
外の世界を見るという点でも、海外へ赴き主に学んでいる分野である環境問題に実際に触れ見えてきたものなどをまとめました。私たちの世代が感じたことをより多くの人に伝えられれば良いなという想いで作成したストーリーマップです。ぜひご覧ください。
S18知られざる 100 年砂防事業
松嶋建設 株式会社
代表取締役専務 松嶋 幸治 氏
1858 年に発生した「安政の大地震」から崩れ続けている富山県の立山カルデラ。標高 1000m の工事関係者以外は立入れないここでの砂防工事の仕事は、地元民にも知られていないという課題があります。また工事関係者である弊社にとって、年々崩れ続け変化する広範囲な「現場の記録」をどのように管理運用するかも課題です。それらの解決策として、今回は工事関係者自らが撮影した写真やドローン動画をデジタル地図と連携し、工事に活用する取組みにチャレンジしました。「知ってもらう」きっかけや防災減災の記録となる「デジタルアーカイブ」として、また「デジタルインフラツーリズム」として、様々な可能性をこのストーリーマップから探っていきたいと考えています。
たくさんのご応募ありがとうございました。