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森林管理業務をWebGISで実現。データ整備・作業負荷を大幅低減

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森林管理業務をWebGISで実現。データ整備・作業負荷を大幅低減

岐阜県森林組合連合会

森林組合職員によるデータ整備作業負荷を大幅低減

いつでもどこでも図面ベースでの業務情報の共有が可能
履歴情報などのデジタル化が林業経営の基盤に

岐阜県は、全国第 5 位の森林面積を保有し、森林面積率全国第 2 位の森林県である。岐阜県森林組合連合会は、岐阜県内 20 森林組合の上部組織にあたり、県下森林組合の指導と林業事業の取りまとめを行っている。

同連合会は、林野庁による森林情報の ICT 化推進の動きを受け、平成 18 年に GIS を導入した。当時はカスタムアプリケーションにより森林所有者情報の整備を行っていたが、平成 22 年には、より汎用的な GIS の活用を推進し、森林簿、道路網などの基盤情報に、森林所有者情報と背景図などを重ね合わせ組合職員に提供し、伐採計画に必要な情報として提供するまでに至った。更に、平成 24 年には ArcGIS Online 組織向けプランを導入し組合職員への情報共有を強化した。これにより、同連合会が集中的にデータ整備とデータ共有を行い、組合職員はその情報を基に立てた伐採計画により効率的に森林管理業務を行うことが可能になった。

林業における効率化とコストダウンは、安価で大量供給が可能な輸入材に対抗するために必要不可欠である。将来的には、GIS を活用したトレーサビリティ情報の木材流通現場への提供や、更には一般消費者への情報提供により国産材のブランド力向上を図り輸入材に対抗していく。

安価な輸入材に対抗するため、同連合会は様々な対応を迫られていた。大型製材工場などによる大量の注文に迅速に対応が可能な輸入材に比べ、国産材は質では勝るものの、小ロットを分散した地域から供給する仕組みが故に供給量と納期において大きなハンデキャップを抱えている。このハンデキャップを克服するために GIS を活用した山林地における木材の、言わば「生ける在庫」の管理が必要だった。どこにどのぐらいの伐採可能な木があるかを常に把握し、注文に応じ伐採計画を即座に立てて供給する仕組みの構築に迫られていた。それには、まず判明している山林の所有者情報を境界線のデジタル情報として整備する必要があった。平成 22 年までには県内で判明した境界線を GIS 上におよそ 100 %取り込む事に成功した。

更に同年、境界線情報などを組合職員に提供するためのシステム導入に踏み切った。同連合会は、情報の整備と共有化の仕組みを受け持ち、各組合はその情報を基に現場で伐採作業に専念することにより業務の効率化を図る狙いがあった。これを安価に実現したのが ArcGIS Online の導入だった。ArcGIS Online をベースとした WebGIS、FMS(Forestry Map Station)が構築され、森林境界線、路網、森林簿などが背景図と重ね合わせられインターネット経由で組合職員により閲覧が可能となった。

平成 18 年にカスタムアプリケーションを導入して以来、今に至るまで GIS の活用を進化させてきた。デスクトップ GIS 上で解析処理を自動的に行う“モデルビルダー”を活用してツールの構築を積極的に行ってきた江川主任は言う、「ワンクリックで処理が実行され結果が ArcGIS Online にアップされるようにしたいですね。組合職員の方が誰でも使える機能を提供できたらと思いツールの作成を行ってきました。」

「ArcGIS Online を起点に業務を組み立てる必要があると思います。デスクトップ上で整備したデータを ArcGIS Online にアップする。江川主任が作ったツールも共有する。情報やツールが欲しい人は関係者のみのクローズしたインターネット環境で情報を取得する。この仕組みを独自のサーバーをセットアップすることなく安価に出来合いのプラットフォーム上に構築することができる仕組みは我々のニーズにどんぴしゃりだったのではないかと思います」と廣田課長補佐は語った。

岐阜県森連のWebGISサービス概念図
岐阜県森連のWebGISサービス概念図

「組合職員のみなさんは業務が効率的になったのではないかと思います。それまでは情報の整備に手が回らず、かと言って整備しないと伐採計画が立てられないわけで、我々が情報を整備して提供することにより、本来の組合職員の仕事である森林管理業務へかけられる時間が大幅に増えたのではないかと思います」と、廣田課長補佐は語る。「図面ベースで業務情報の共有をいつでもどこでも図れるようになったことが本当に大きいです。以前は紙にペンでマークしてFAXで送ったりしていましたが、ArcGIS Online のデータ共有機能を使えば図面に残した情報
を指示できるばかりか履歴としてもデジタル情報として残すことができる。この仕組みは作業の効率化、のみならず林業経営の基盤として必要不可欠なのではないかと思います」と続けた。

森林再生プラン推進室にて
森林再生プラン推進室にて

判明している境界線の情報はほぼ GIS に取り込み組合職員と共有する事が出来た。それによりデータ整備に係る作業負荷が低減され森林管理業務を効率的に行えるようになった。

そこで次なるステップをお聞きした。「木材流通へのダイレクトな接続ですね。例えば住宅の施主が自分で自分の家の柱になる材木を指定する、組合、製材工場、プレカット工場、住宅メーカがその情報を共有し工事の状況まで施主に情報提供することができる。こんな仕組みが出来たら国産材のブランド化につながるのではないでしょうか。農作物のトレーサビリティは進んでいますがそれを木材にも適用したらというアイデアです」と廣田課長補佐は夢を語る。「それと同時に GIS の本来的な活用という意味で解析も行っていきたいです。林道の設計や伐採の手法、権利情報や地形など様々な情報を重ね合わせ解析し利益率を算出する。こんな仕組みが出来たらより一層の経営効率化が図れると思います。」

直近の課題もお聞きした。「我々が試行してきた施策をまずは中部圏域で展開していきたいと思います。それには組合職員向けの教育研修が必要ですが、GIS は効果を実感してもらうのがなかなか難しい。どうしたらこの有益なツールの実効性を伝えることができるのかが悩みどころです。」インタビューに応じていただいた廣田課長補佐の物言いには国内の森林 GIS をリードしていく意気込みが感じられる。全国の森林組合における GIS 活用を推進する意気込みをESRIジャパンとしても支援していきたい。

プロフィール

業務部 森林再生プラン推進室 課長補佐 廣田 智行 氏(左) 主任 江川 修平 氏(右)

業務部 森林再生プラン推進室
課長補佐 廣田 智行 氏(左)
主任 江川 修平 氏(右)

岐阜県森林組合連合会
掲載日

2013年12月9日

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