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ICT を活用した情報共有による安全安心なまちづくり

千葉県 酒々井町

 

ArcGIS 自治体サイトライセンスを使い、コストを抑えながら住民と行政の情報共有庁内プラットフォームを構築

ArcGIS プラットフォームの特徴

  • 庁内型、公開型、業務アプリケーションに利用
  • 庁内ポータルサイトを使用した部署横断型の情報共有
  • 約 4 ヶ月間でシステムを構築し、庁内型・公開型の運用を開始

概要

酒々井(しすい)町は、千葉県の北部中央に位置する人口 21,144 人(平成 28 年 10 月 1 日現在)の町である。町名の由来は、親孝行の息子が父親のために井戸から汲んだ水がある日上質な酒に変わったという伝説に基づく。町としての歴史は日本で最も古く、明治 22 年に町制が施行されてから、酒々井町は一度も合併を行っていない。1978 年に成田国際空港が開港してからは、通勤客のベッドタウンとして人口は急増した。最近では酒々井プレミアム・アウトレットが開業し、町外からの買物客の影響で昼間人口は増加している。

今回、酒々井町は住民と行政の情報共有庁内プラットフォームを構築し、住む人・来る人へ酒々井町の情報を効果的に発信する「しすいマップ」を公開した。ArcGIS 自治体ライセンスを使い、コストを抑えながら住民サービスの向上を図るための取り組みを紹介する。

背景

酒々井町住民協働課の課長(当時)岡野氏はもともと IT への興味が深く、ICT (コンピューターやインターネット技術の総称)を活用し、行政の情報を共有・公開して安心安全なまちづくりができないか模索していた。2013 年 11 月に地方自治情報化推進フェアに参加し、ESRIジャパンの営業担当と話をした。

導入予算は「まち・ひと・しごとの創生に向けた『総合戦略』の先行的実施」に手を挙げて計画的に準備をすることにより、2015 年 11 月地方創生先行型交付金(内閣府所管地方版総合戦略先行策定分・タイプⅡ)の交付決定を受けることが出来た。

また、庁内の PC ・ハードウェアを管理していた地元企業の(株)創源に参画してもらい、3 者プロジェクトを発足して GIS のシステムとマップの公開を目指した。マップの公開までの準備期間は 2015 年 12 月から 2016 年 3 月末までのわずか約 4 ヶ月間と限られていたため、開発不要で構築が可能な ArcGIS Online の標準ウェブアプリケーションを活用したマップの公開を目指した。

ArcGIS採用の理由

庁内ポータルサイト:職員が業務目的別にマップにアクセスし簡単に利用することができる
庁内ポータルサイト:職員が業務目的別に
マップにアクセスし簡単に利用することができる

「1 年間無償で ArcGIS を使うことができて、操作研修も無償で受講できる自治体 GIS 利用支援プログラムの効果は大きかった」と岡野氏は振り返る。GIS プラットフォームの選定にあたり自治体 GIS 利用支援プログラムを利用することにより十分に ArcGIS の機能を評価する事ができた。

また GIS プラットフォームに使用するソフトウェアのライセンスに ArcGIS 自治体サイトライセンスを採用したことにより、コストを抑えて庁内GISプラットフォームの構築が可能になり、全職員の PC に ArcGIS をインストールすることもできた。

導入手法

庁内には「住民へ情報をどのように公開するか」、「部署間の情報連携をどう実現するか」という 2 つの課題があったが ArcGIS Online を軸にプラットフォームを構築することにより解決の目処が立った。

ArcGIS Online のアプリケーションを使用することで活用シーンに合わせた様々なマップを公開している。また、ArcGIS Online と庁内サーバー( ArcGISfor Server )を URL 連携させることで、機密性の高い情報は庁内のサーバーで管理する事が可能になり、セキュリティをより強化して利用できる仕組みを実現した。

部署間の情報連携にも ArcGIS Online を使い、庁内向けの GIS ポータルサイトを構築した。GIS ポータルサイトから、地理空間情報を含む行政情報を見ることができるようになり、GIS の専門知識を持たない職員もまずはここから情報を簡単に閲覧し、共有することが可能になっている。

システム構成図
システム構成図

導入効果

しすいマップ

しすいマップ
しすいマップ
しすいマップ

住民の安全安心のために公開している「しすいマップ」は、酒々井町ウェブサイトのトップページにバナーを設置して、ウェブサイトに訪れた人が素早くアクセスできるように工夫をしている。

緊急時に役立つハザードマップは、地震ハザードマップと洪水ハザードマップがある。地震ハザードマップは、想定される4つの地震別に(直下型地震・東京湾北部地震・千葉県東方沖地震・三浦半島断層群の地震)震度予測や避難場所の案内等を表示して、防災情報の一元化と配信を行っている。

平常時に利用できるマップには、「バス停と周辺施設マップ」「グルメマップ」、観光的要素を含んだ「酒々井町 推奨品マップ」がある。推奨品マップとは、酒々井町商工会が発行したパンフレットを元に作成されたもので、酒々井町ならではの名品の数々を販売場所の地図付きで紹介している。まさに、酒々井町に住む人・来る人に楽しんでもらえる情報が満載のマップに仕上がっている。

庁内 GIS ポータル

庁内 GIS ポータルでは、職員が地震ハザードマップや洪水ハザードマップ、酒々井町の推奨品マップ等の業務目的別のマップにアクセスして簡単に利用ができるように、ワンストップサービスを提供している。業務でマップを使用したいときには、この庁内 GIS ポータルを入り口に様々なマップやアプリをいつでも利用できるようになっている。

地震ハザードマップ
地震ハザードマップ

グルメマップ酒々井
グルメマップ酒々井

洪水ハザードマップ:標高マップ
洪水ハザードマップ:標高マップ

今後の展望

GIS が使えるプラットフォームは整ったので、今後はこのプラットフォームを活用して、さらなる利用者の拡大と、各課業務の情報共有化、業務の効率化、コスト削減を目指していく。

利用者の拡大では、既に実施済みの職員向けオンサイトトレーニングを今後も継続して行っていく予定である。導入年度では空き家調査等の業務利用に沿ったトレーニングを行った。

トレーニングに参加したメンバーを中心に GIS 推進部会(ワーキンググループ)を発足し、これまで GIS を知らなかった職員もさらに巻き込んだ ArcGIS の勉強会を予定している。「できるだけ多くの職員に GIS に関心を持ってもらいたい」と岡野氏は考えている。

GIS 活用の底上げを行うために、システムの導入に関わった(株)創源も加わり、ArcGIS for Desktop も使用して地域特性の可視化や分析を行い、施策検討に活用をしていきたいと考えている。また、しすいマップも最新のハザードマップやグルメマップ、古地図の公開など、住民サービスの向上につながるように公開マップの追加を予定している。

今後は、導入したばかりの ArcGIS 自治体サイトライセンスを最大限に活用していく。

プロフィール


酒々井町 企画財政課 課長 岡野 義広 氏(左から 2 番目)
酒々井町 総務課 危機管理室 河村 史人 氏(中央)
酒々井町 住民協働課 吉野 剛志 氏(左)
株式会社創源 取締役 坪井 誠 氏(右から 2 番目)
株式会社創源 営業推進チーム 主任 三橋 正和 氏(右)



関連業種

関連製品

導入協力企業

組織名株式会社創源
住所千葉県印旛郡酒々井町東酒々井1-1-358 第5宝生ビル2F
電話番号043-496-9587
FAX043-496-9541
Webを見る


資料

掲載日

  • 2017年3月30日