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政策形成や住民サービスの向上にGIS活用

新潟県 五泉市

 

ArcGISの導入と庁内データの整備、職員向け研修をきっかけにGIS活用が短期間に拡大。庁内横断のデータとGISの活用で、クマ出没情報の住民への迅速な伝達を実現

概要

新潟県五泉市は新潟県のほぼ中央に位置し、新潟市の東側に隣接する人口約52,000人の自治体である。緑豊かな山々と豊富で良質な水資源が織り成す環境は、米や里芋などの農作物や国内有数の生産量を誇るぼたん栽培を始めとした農業と、江戸時代から発展した織物技術を活かしたニット産業に適している。現在の五泉市は平成18年に北部の旧五泉市と南部の村松町が合併し、新五泉市となった。
五泉市では元々防災管理の目的でArcGISが導入されてはいたが、GISを利用できる職員が限られ、業務利用は限定的だった。平成26年の空き家調査業務でArcGISが新たに導入された際に行われた庁内でのGISの研修会をきっかけに、業務での積極的なGIS利用が広まり、6ヶ月という短期間でさまざまな業務でGISが活用されるようになった。

背景

庁内GISを積極的に活用する林氏
庁内GISを積極的に活用する林氏

五泉市でのGISの活用は平成20年に行われた新潟県との総合防災訓練での災害時安否確認の管理システムとして始まり、その後五泉市防災GISとしてArcGIS for Desktopを導入した。導入後は市独自の防災訓練でもGISを活用しており、庁内でGISが利用されたことで職員のGISに対する認知はあったが、GISを利用する職員は限られていた。
次にGISが利用されたのは、平成26年の環境保全課で実施した空き家調査である。地方創生交付金を利用し、新たに(株)中央グループ GIS事業部(以下中央グループ)の支援でArcGISを導入した。環境保全課の林 由修 主事は新潟大学在学中にArcGISを学んだこともあり、空き家調査でのGIS整備の担当となった。

導入手法

1月に実施した庁内GIS研修会の様子
1月に実施した庁内GIS研修会の様子

ArcGISの導入に向けて、林氏が空き家調査で必要となる空き家データだけなく、今後の業務で利用見込みのある浄化槽やごみステーションなど、環境保全課で管理している台帳にある約38,000件のデータに座標を付与し、すぐに業務で使える準備をした。
導入後すぐに、GIS未経験の職員が調査した空き家データの閲覧及び業務での利活用を図るため、ArcGISの操作方法を学ぶ研修会を庁内で実施した。この研修会には、空き家調査に関係する課の担当者に限らず、さまざまな課から職員が参加した。研修会では自治体でのGIS活用に実績が多い中央グループからGISの基礎的な活用方法の紹介もあった。
この研修会をきっかけに、参加した職員がArcGISが汎用性の高いツールでさまざまな業務に利用できるという認識を持つようになり、各々の課が持つ台帳管理の効率化や地域の分析にGISが使えるのではないかとの相談が林氏の元に届くようになった。林氏は、業務のヒアリングを行い、ArcGISの利用環境のセットアップやマップ作成のためのデータ投入などの支援を行った。
また、庁内の情報をGISで利用できるよう、継続して市内の登山道や町内会、地すべりなどの情報もArcGIS上でラインやポリゴンとして職員が独自に整備した。

導入効果

6ヶ月でGISが浸透

GIS未経験の職員が多い中、庁内向けのGIS研修会を実施してから約6ヶ月で、いくつかの業務を通してGISを利用できる職員が少しずつ増えてきた。
総務課では、元々GIS導入のきっかけとなった防災訓練や、平時には防災無線の管理に使用している。
学校教育課では、平成29年に予定している学校統合に向けた新しい通学手段区分やスクールバスのルート・停留所の計画をGISで設計した。これらの計画においては住民からの意見を取り入れ、バスルートなどの見直しが行われた。
商工観光課では、市内で開催される花火大会での安全対策として、危険エリアの指定マップをGISで作成した。また、市内に設置されている観光案内の看板の情報更新や、設置箇所の選定でGISの利用が検討されている。
環境保全課では、クマの出没位置の管理、狂犬病予防接種の管理などさまざまな業務に利用した。また、空き家調査の結果を基に、1940年代以降の航空写真から市内の土地利用が変化した地域を年代別で管理し、空き家が発生しやすい地区の特性の解析を行った。
政策形成や住民サービス向上に関連する各種地図をアウトプットとして作成していくことにより、業務におけるGISの認知度が高まり、庁内各課でGISの継続利用につながっている。

統合後のスクールバスルート等の計画図(案)
統合後のスクールバスルート等の計画図(案)
(内容は取材当時のもの)

クマ出没に迅速な対応

自然豊かな市内では、クマが住民の生活圏に出没し、農作物や施設などへの被害が発生することから、市民からはクマの出没情報の開示が求められた。
五泉市ではクマの出没情報は環境保全課に寄せられ、出没地点や被害の状況などを記録してきた。環境保全課が過去10年に及ぶクマ出没地点のデータをGISで整備したことで、クマの出没エリアや多頻出地域の正確な把握が可能となった。
さらに市民への伝達を向上させるため、町内会のエリアや防災無線の位置データ、住民への連絡の中継役となる町内会長の住所、登山道や林道などを加えて、GIS上で重ねて視覚化した。その結果、クマの出没付近のエリアに流す防災無線の抽出や、住民向けに注意喚起の文書を配布する地域の決定に迅速な判断と対応が可能となった。
また、今後は有害鳥獣による人身・農作物両方への被害対策のため、環境保全課が管理するクマの出没情報だけでなく、農林課が管理するサルによる農作物被害を始めとして、イノシシやハクビシンといった各課が所有する出没データの共有を図る予定である。

市内でのクマ出没箇所のヒートマップ
市内でのクマ出没箇所のヒートマップ

今後の展望

庁内にGISが使える職員が増えてきたことで、これまでExcelや紙で管理されていたデータをGISで管理できる環境が短期間で整備されてきた。今後はGIS上でより多くの課が持つデータを統合的に管理し、いつでもGISが使える環境を整えるために、自治体ソリューションライセンスの導入や、さらなるGISユーザーを増やす取り組みが検討されている。
環境保全課から始まったGISの活用がGISユーザーを増やしながら、五泉市庁内に広がりつつある。これからさらに多くの業務でGISが活用され、多くの職員がGISを使えるような五泉市GISプラットフォームへと進化していくだろう。

プロフィール

五泉市 庁内GIS利用者の皆様

五泉市 庁内GIS利用者の皆様



関連業種

関連製品

導入協力企業

組織名株式会社中央グループ GIS事業部
住所新潟県新潟市中央区美咲町1-4-15
電話番号025-282-2600
FAX025-285-6699
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資料

掲載日

  • 2017年1月30日

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