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事例

森林資源情報管理システムの構築で森林行政支援と気候変動対策の推進

パプアニューギニア森林公社

 

持続可能な森林管理と気候変動対策の推進に向けた、森林情報の継続的な更新と国家森林資源情報管理システムの構築・運用及び活用のための能力強化の取組み

概要

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パプアニューギニアの森林(提供 JICA)

パプアニューギニア独立国(以下、「パプアニューギニア」)は、世界有数の熱帯雨林保有国で、その森林は国民経済に重要な役割を果たす木材生産の場であるとともに、豊かな生物多様性を有している。また、その広大な森林は気候変動の緩和に果たす役割も期待されている。一方で、近年の急速な森林減少・劣化が課題となっており、持続可能な森林経営に向けた仕組みが必要となっている。しかし、森林行政担当機関であるパプアニューギニア森林公社(以下、「森林公社」)における森林モニタリング体制は、人材や予算の不足により森林情報の管理や更新が十分に行われておらず、その強化・改善が強く望まれていた。

そこで、日本政府の無償資金協力による資機材の供与と連携し、森林公社をカウンターパートとした国際協力機構(以下、「JICA」)プロジェクト「気候変動対策のための森林資源モニタリングに関する能力向上プロジェクト」が2011年3月から3年間実施された。現在は、その後継プロジェクトの「気候変動対策のためのパプアニューギニア森林資源情報管理システムの活用に関する能力向上プロジェクト」が2014年8月から5年間の予定で実施されている。
このプロジェクトの成果となる国家森林資源情報管理システム(以下、「PNGFRIMS」)の構築と、PNG-FRIMSを用いた森林の持続的な保全及び経営に向けた技術協力を、国際航業株式会社が実施している。
PNG-FRIMSは、ArcGIS製品をベースに構築されており、一元管理された各種森林情報の整備・更新機能、森林資源量の推定・レポート作成機能、WebGISによる森林情報の配信機能などの森林行政支援機能を提供している。

背景

プロジェクト開始以前の森林公社では、森林材積推定機能をもつスタンドアロンのGISが運用され、地図編集・主題図作成などの運用が行われていた。ただし、全国の森林被覆図は1970年代の航空写真を基に作成されたものであり、また、森林に関する地図データの利用は特定の職員に限定されていた。そこで、全国の森林被覆図を含む森林資源データベースの改良と共に、森林資源量(材積・炭素量)の把握、森林計画策定、森林施業管理などの森林公社の実務で広く活用可能な仕組みをArcGIS製品の導入によって再構築することになった。

システム構成

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伐採現場の様子

森林被覆図、伐採履歴及び衛星画像などの各種森林情報は、エンタープライズジオデータベースに一元管理され、森林公社のイントラネット上で共有されている。
この一元管理された森林情報を4つのアプリケーションで使用している。

①FIMS(森林インベントリ地図システム)は、森林被覆図に含まれる植生情報に設定された標準材積量を基準に、全国の伐採許可範囲(伐採コンセッション)と伐採履歴情報との空間解析によって、伐採可能な森林材積量を推定するアプリケーションである。また約30種類の帳票出力機能があり、森林計画の立案に使用されている。

②FIPS(森林インベントリ処理システム)は、現地調査で取得した樹木の樹種・胸高直径・樹高・GPS座標などを格納し、森林材積量を推定するアプリケーションである。このアプリケーションも約15種類の帳票出力機能をもち、約300種類の樹種ごとに推定材積量の内訳を確認できる。また、現地で取得したGPS座標から調査箇所を地図上に表示することができる。

③FRIMS-LANは、森林情報の共有とその利活用を目的に、ArcGIS Viewer forFlexを使い森林公社のイントラネット上に構築されている。森林情報の使用目的に合わせ、カスタマイズした簡易機能(検索・編集・解析等)を提供している。GISに馴染みのない森林公社職員であっても、簡単な操作で関心地点の森林状況の把握や地図印刷を行うことができる。森林伐採/REDDプロジェクトの適地選定・計画審査などの場面で空間的な視点を提供する。

④ArcGIS for Desktopは、各種森林情報の整備・更新、主題図の作成と印刷に使用されている。GISに関する専門技術を持つ地図製作者チームが、衛星画像判読や森林伐採企業が提出する図面等に基づき、森林資源データベースの維持・更新・管理を行っている。

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PNG-FRIMSの構成

導入効果

現在、先行プロジェクト3年、後継プロジェクト5年の計8年にわたるプロジェクトの折り返し地点に掛かったところである。ここまでの主な導入効果を記す。

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改良された全国の森林被覆図

①全国森林被覆図の改良
GIS/リモートセンシング技術を用いた全国の森林被覆図の改良が完了した。これまでの実際の植生・土地利用状況と森林被覆図との違いが解消され、適切な森林計画・施業管理、森林資源量の正確な把握に資する森林基盤図としての運用が開始された。

②伐採履歴情報の更新
伐採履歴の情報は、森林資源量の推定だけでなく、森林減少・劣化のモニタリングにも有効な情報となる。森林資源データベースに一元化された森林情報を、WebGISを通じ共有する仕組みができたことにより、実際の伐採現場に精通した伐採計画審査部署と地図製作部署間でのコミュニケーションが円滑に図れるようになり、データベースの鮮度向上につながっている。

③人材育成
GIS/リモートセンシング技術の能力開発だけでなく、PNG-FRIMSを活用した日常業務の改善(課題抽出・解決策の検討)、システムの維持管理に関する能力開発も行っている。また、Application BuilderによるFRIMS-LANの機能拡充は、高度なプログラミングスキルが不要であり、カウンターパート自身による継続的な業務改善への取組みが期待できる。

今後の展望

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森林モニタリング研修の様子

PNG-FRIMSの試行運用が開始され、森林行政・計画支援機能を用いた森林行政の改善とREDDプラスへの活用検討が本格化し始めたところである。JICA長期専門家2名とカウンターパートとの協働を通じて、PNG-FRIMSの更なる拡充・強化を進めている。

プロフィール

技術協力を実施している 国際航業のプロジェクトメンバー

技術協力を実施している 国際航業のプロジェクトメンバー


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関連製品

資料

掲載日

  • 2016年7月15日

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