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九州北部幹線プロジェクトでの施工情報の共有による生産性が向上

西部ガス株式会社

 

GISをクラウド利用することで、図示化された毎日の工事進捗を離れた場所から共有。プロジェクトの円滑な履行に活用

イントロダクション

ひびきLNG基地

日本四大都市ガス会社の一つである西部ガスは、北九州市若松区(ひびきLNG基地)~福岡県糟屋郡新宮町の全長約60㎞(4市5町を経由)を結ぶ「九州北部幹線」を2020年の完成を目指し、建設中である。
本ガス導管の建設目的は、既存の福北幹線を「複線化」することによる「セキュリティの強化」で、「環境性・供給安定性」に優れた天然ガスを「安心・安全」にお客様に供給することである。(高圧幹線の仕様:圧力7MPa、口径50㎝、管厚12.7㎜、材質 鋼管)

導入経緯

今回の九州北部幹線建設工事では、工事現場から離れた福岡市内(西部ガス本社内)に拠点が置かれた。少数精鋭で総延長約60㎞におよぶ大規模な建設工事を行うには、必然的に「IT機器を導入し生産性の向上を図る」ことが求められた。
そこで西部ガスでは、国内で最も実績のあるミルメーカー(JFEエンジニアリング(株))に協力を依頼し、JFEエンジニアリングで既に運用実績のある現場業務支援システム(GBR)と、施工管理システム(ArcGIS)の双方をクラウド内で連携させる仕組みを導入することとした。

システム構成

埋設状況
埋設状況

本システムでは、クラウド上に管理会社向けと各施工会社向けの仮想環境を構築し、ArcGIS for Desktopベースで開発した施工管理システムを設定した。この仮想環境に各社がリモート接続ソフトを使い接続しシステムを利用している。基本的には各事務所に設置されたデスクトップPCから接続・操作を行うが、タブレット端末等のデバイスからも可能で、機動性を発揮している。
また施工会社は、現場業務支援システム(GBR)を用いてタブレット端末から溶接記録や現場写真等の情報をクラウドへアップロードすると共に、管理者は施工会社から受けた報告に対する承認とフィードバック等を行っている。このデータを施工管理システムでも活用することで連携を図っている。
なお、本システム内では各種施工情報の他に車載カメラ(MMS)で作成されたオルソ画像や、施工図として作成された詳細なCADデータを背景図として活用している。

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導入効果

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左から柴田部長、宮城氏、肘井EM

西部ガスの宮城氏は「平成26年に延長約15㎞の工事を実施しましたが、その時は経済産業省の使用前検査資料作成に膨大な労力と時間を必要とし大変苦労しました。今回は60kmということもあり、初めはかなり懸念していましたが、本システムではクラウド内でGBRとArcGISが連携することで検査に必要な様々な情報が位置情報を基に随時蓄積され、出先からでもiPadなどで瞬時に確認できるので大変に重宝しています」 と語られた。
柴田部長は「社内には既存の面的マッピングシステムもありますが、今回のような線的なパイプラインの施工管理には、小回りの利くArcGIS導入が大変効果的でした」と語られた。JFEエンジニアリングの肘井エンジニアリングマネージャーは施工者の立場として、「今回のようにGISをクラウド内に入れて現場で活用することは、お客様との意思疎通を図るツールとして非常に活躍しています」と語られた。

まとめ

工事はスタートしたばかりだが、現場にGISなどのIT技術を持ち込むことは、効率的な施工管理を行なう上で非常に有効である。
一方で、「初期導入にあたり、施工者との運用ルール作りには大変苦労しました」と宮城氏が指摘されるように、施工者サイドの『理解と協力』は不可欠であることは言うまでもない。
さらに柴田部長は、「リアルタイムで現場の見える化を行いたい」とも述べ、管理者として現場の動きを常に把握しながら問題への対策を瞬時に打ち出せる仕組み作りと、維持管理システムへのスムーズな移行を今後に求められた。
今回の取り組みから明らかになったように、『管理者と施工者の信頼』に加え、今後は『施工段階からGISが活躍する局面』が益々増えていくことであろう。

プロフィール

西部ガス福岡本社

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掲載日

  • 2016年2月12日