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事例

河川GIS・河川アプリケーション標準インターフェース作成実証実験

河川GIS・アプリケーション標準インターフェース作成会協議会

 

効率的な河川行政と様々な機関でデータや機能を有効活用するための仕組み作り

河川に関するGIS等アプリケーションプログラムをインターネット/イントラネット環境で、相互利用するための標準インタフェース

本実証実験の背景と目的

国土交通省の河川関係の出先事務所等におけるGIS等アプリケーションプログラムの整備においては、業務で利用するアプリケーションプログラムの採用・開発は、各出先事務所等の裁量に委ねられてきた。しかし、それによって各地方整備局等が独自かつ排他的なシステムを持つ現状となり、結果として昨今発生する水害時に迅速な対応をしづらいシステム環境となってしまっていた。

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このことから、国土交通省河川局では、より効率的かつ効果的なデータ情報の相互流通を実現させる方策として、河川に関するGIS等アプリケーションプログラムをインターネット/イントラネット環境で相互利用するための標準インタフェースを定め、分散ネットワーク環境下での様々なデータや機能を相互に有効活用するための仕組み作りを行うこととした。

河川情報センターでは河川GIS・アプリケーション標準インタフェースを具体的に作成し、各河川事務所、地方整備局など国土交通省内で広く運用されることを目的として「河川GIS・アプリケーション標準インタフェース作成協議会」を平成17年1月に設立した。さらに、本協議会で得られた成果は、国土交通省のみなら京大学等の研究機関、NPOなどの河川に関わる様々な機関も含め、国全体として各機関が分散ネットワーク環境下で持つ様々なデータや機能を相互に有効活用でさることを目指すこととした。

標準インタフェースとは

標準インタフェース自体は関数を取りまとめた仕様である。これらの関数を、実際に地図を含めた様々な操作をアプリケーションに実装するための定義と仕様化を行い、「河川GIS・河川アプリケーション標準インタフェースガイドライン第1.0版」としてとりまとめた。

インタフェースを標準化することにより、ネットワーク(インターネット/イントラネット)を通じて、アプリケーションプログラムから一定の方式によりすでに蓄積管理されているデータ(一次データ)や解析等の処理を要求して得られるデータ(二次データ)が取得でき、それらのデータを自身が持っていなくても表示等の利用が可能となる。アプリケーションプログラムの開発者は、開発するアプリケーションプログラムが他のアプリケーションプログラムから接続できるよう、インタフェースを公開する。公開するインタフェースは、本ガイドラインにもとづき作成する。これらのガイドラインを6回の協議会で取りまとめた。最終の6回目を前に実証実験にて、これまで作成してきた関数群を用いて様々なアプリケーションでテス卜した。

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本実証実験の内容

実利用を意識し、地図データベース等に実装した標準インタフェースを利用して日常と緊急時に利用できるアプリケーションを開発し、以下で実証実験を実施した。

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本協議会に参加している建設コンサルタント会社やGISベンダが各データベースを担当したが、ESRI製品は、仙台河川国道事務所の「河川基盤地図河川基幹DBサーバ」での実証実験に使用した。サーバ側にはArcGISServer9.1、ArcSDE9.1、SQL Server2000、インタフェースの実装には.NET Framework1.1(C#)、ASP.NET1.1、IISを利用しSOAP版で実装を行った。サーバ側は以下の図のようにサービス層に河川GIS標準インタフェースを実装し、その後ろ側でArcGIS Server等が動作する。

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クライアントは「河川GIS・アプリケーション標準インタフェース作成協議会」事務局で作成したブラウザベースのアプリケーションを利用し、実際にガイドラインで準備した関数が動作し、データのやり取りが行えるかどうかの確認を行った。物理的に離れた東北地方整備局と各事務所の間の実際のネットワーク環境で行うことで、ガイドラインの仕様の精査と、実運用上の課題抽出とその対応を整理することができた。

今後の展開

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これまでのアプリケーションプログラムでは、プログラムとデータとが一体となっていた。そのため、せっかく整備したデータが他で利用できないということや、別のアプリケーションプログラムで同じデータを重複して管理するという非効率な状態となっていた。標準インタフェースの開発により、データへのアクセスが一定の方式で行なえるため、既存のアプリケーションプログラムを通じて、データの再利用性が高まる。その結果として、必要なデータや機能を全て整備・開発する必要がなくなり、より安価にアプリケーションプログラムの開発が行えるものと考えられる。
 

また、今回構築した標準インタフェースは、河川分野での利用に特化した機能(関数)はほんの一部であり、そのほとんどが河川分野以外でも利用可能なGISの一般的な機能となっている。また、利用環境も、一般的なインターネット/イントラネット環境で利用可能なHTTPプロトコルで利用できるものとなっている。したがって国土突通省河川局以外でも、GISを利用している研究機関や自治体等での今回の標準インタフェースの採用は可能である。標準インタフェースにより、各機関が保有する様々なデータが相互に利用できるようになることで、災害時等に迅速に対応できるようになることを期待している。

プロフィール


仙台河川国道事務所での実証実験の様子


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資料

掲載日

  • 2007年1月1日