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事例

地球環境モニタリングから住民サービスまで

東京情報大学

 

リモートセンシング、GISの2つのコアテクノロジをもとに一般住民ヘ環境保全のメッセージを配信

MODISのアジア最初の定常受信並びに配信、住民向け自然環境WebGISサービス等、マクロレベルからミクロレベルまで幅広い研究に取り組んでいる。

概要

東京情報大学環境情報学科地理情報システム研究室では、リモートセンシングとGISの2つのテクノロジを基盤として、マクロレベルからミクロレベルまでの様々な研究を進められている。例えば、MODISデータを中心としたアジア圏の地球環境モニタリング、千葉県内を対象とした希少植物のメッシュ解析、また千葉県佐倉市を対象とした住民向けWebGISサービスの試験提供など、研究内容は多岐に渡るが、研究室の目的は一つ、「一般の住民に成果が伝わる研究」である。一般住民への環境保全に対するメッセージの発信を通して、様々な研究と人材育成に取り組んでいる。

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地球環境情報システムの構築

東京情報大学では2000年に研究プロジェクト「アジアの環境・文化と情報に関する総合研究」が文部科学省学術フロンティア推進事業(以後「学術フロンティア」)に採択(2005年からは継続採択)を受けた。同時に、学内に1999年NASAが打ち上げた人工衛星Terra(EOSAM-1)に搭載されているセンサの一つMODISを定常受信するための受信局をアジア圏では初めて、2000年11月に設置した。

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学術フロンティアではMODISを研究の核とした地球環境情報システムの構築を行っている。現在まで、1年365日、継続的に衛星データを受信すると共に、受信データは自動的に学内に設置されているサーバシステム内にアーカイブされ、即座にWebを通して受信データの配布を行っている。また受信データを研究室内にて解析し、その結果(地表面温度、海表面温度、植生指数)もWebGISを通して、一般に広く公開している。Web公開用のGISエンジンとして、ArcIMSを採用し、運用頂いている。

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長江流域の土地被覆解析

2005年度から継続研究が始まった第二期学術フロンティアでは、「東アジアにおける陸圏・水圏を統合した環境情報システムの研究」というテーマのもと、中国長江(揚子江)流域-東シナ海、とアムール川流域-オホーツク海をフィールドとして、2000年から蓄積されたMODISデータと現地調査とで研究を進めている。長江では三峡ダムの建設にともなう大規模な環境改変が進行中であり、流域及び東シナ海への影響が表出し始めている。MODISをはじめLandsat/ETM+やIKONOSなどを用いた土地被覆の解析と、東シナ海での環境解析を進めている。

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千葉県の生物多様性保全に関する研究

千葉県を対象に、GISを用いた生物多様性の保全に関する研究を進めている。千葉県中央博物館から提供を受けた絶滅危慎植物の分布データをGISデータとして整備し、県が指定している保全地域と重ね合わせ、GAP分析を行った。絶滅危慎種が分布しているにも関わら式保全地域になっておらず、緊急に保全策が必要な場所が特定できる。

その結果、保全地域、非保全地域のそれぞれで、保全を強化していかなければならない場所を、GISを利用することにより視覚的に表現することができた。今後は、土地利用のデータを重ね合わせることにより、絶滅危慎植物が分布している傾向の抽出や、自治体に対して解析結果をもとに新たな保全地域候補の提言を行っていくことを検討している。

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佐倉市を対象としたWebGIS構築

地理情報システム研究室では、千葉県佐倉市を対象とした自然環境及び自然環境に関する情報整備を進めている。既存の調査報告や地元のNPOと共同で進めている現地調査結果をGISデータ化し、空中写真や衛星リモートセンシングデータを解析して土地被覆変遷のデータを作成している。それらの佐倉市に関するさまざまな空間情報、数値情報を「社会環境」と「自然環境」の2つカテゴリに分け、WebGISを通じて試験的に配信している。

環境問題は、行政や研究者だけでは解決できず、住民をまきこんだ取り組みが不可欠であるという原教授の思いがそこに見える。公開しているデータには次のようなものがある。

【社会環境】
土地利用情報、統計情報、医療・福祉施設、文化財など
【自然環境】
ほ乳類、両生類、湧水、景観分類図、地形・土地利用など

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今後の展開

「環境の研究には鳥の目と虫の目の両方をもつことが重要である。」現象を俯瞰してとらえるとともに、問題が起きている現地を自らの目でみて、自らの足でデータをとる。そしてその結果をひろく社会に向けて発信し、多数の人々と問題解決を目指す。研究の成果はWebGISを通して公開し、住民や行政、企業、農林業従事者など多くのセクターの聞で情報を共有することで問題解決の糸口を見出す-それが原教授のシナリオだ。
新しく始まった千葉の生物多様性保全のプロジェクトでそれが実証されることを期待したい。

プロフィール


東京情報大学 総合情報学部 環境情報学科
地理情報システム研究室(自然環境系)
原慶太郎ゼミメンバー



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資料

掲載日

  • 2007年1月1日

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