平成16年3月1日に10市町村の合併により誕生した佐渡市。従前4暑で管轄していた地域を統一本部で一元管轄し、119番通報一括受信構想に向け、消防地図情報のシステム化を図る。
かつて佐渡島には10の市町村があった。
平成の大合併により両津市をはじめとする10市町村が合併し、平成16年3月1日に「佐渡市」が誕生した。この合併により佐渡消防本部、両津市消防本部、相川町消防本部、南佐渡消防本部の4つに分かれていた消防本部が「佐渡市消防本部」として統合され、佐渡島内全域を管轄することになった。
「119番です。火事ですか?救急ですか?」日々前触れなくかかってくる119番通報に対し、隊員はただちに現場に急行しなければならない。消防・救急活動において災害現場を迅速に特定し、最小限の被害で食い止めることは何にも増して重要である。通信指令室ではいつかかってくるか分からない通報に対し、いつでも迅速に対応できるように、日々緊張感を持って対応している。
佐渡市消防本部では、平成20年に向けて新本部庁舎建設計画を進めている。
新本部庁舎移転時には現在旧本部ごとに受信している119番通報を一括受信する計画である。このことを実現するには、データ統合をはじめとする消防地図情報のシステム化は避けて通れない方策であった。そのため、平成17年度に新庁舎建設に先駆けて消防地図情報のシステム化を行った。
平成17年度に構築した消防地図情報システムは、各署担当部署で利用する「支援業務系システム」と通信指令室で独立して利用する「通信指令室地図検索システム」の2系統のシステムで構成されている。
これらのシステムのクライアントソフトウェアには、ともにMapObjectsをベースに開発された「MapCallRescue」が採用されている。表示・検索・入力などの基本機能に加え、アドレスマッチングの機能も標準装備されている。
また、背景地図データには新潟県を網羅した住宅地図である「BreathDigital-Map」が採用され、その上に以下の消防本部所有の各種データコンテンツを重ねて利用している。
行政組織の情報系ネットワークで運用されている。
本システムでは通信指令業務を円滑かつ効率的に運用するため、各署担当部署で分散管理している災害支援情報を位置情報とレて統合データベース化し、本署通信指令室のスタンドアロン機(ネットワーク接続なし)において住民情報とを融合させ、シームレス地図上で複合管理している。
通信指令室で独立して運用されている。
本システムは、住所情報に位置情報を付加しての管理が可能である。住所照合機能には、サーパクライアントシステムと互換のあるアプリケーションが導入され、さらにサーパクライアント支援情報と互換機能でデータ流通・融合管理を実現している。
『GISがインフラのベースにあると情報が融合され、新たな価値が生み出されます。消防本部にとっては、, 19番通報を受けてからどれだけ迅速に災害現場を特定し、到着することができるかが鍵です。そのためには、地図を信じて現場に向かったのに車が通れないなど絶対にあってはならないことです。そのため、データの正確性を高めるために隊員自らデータ収集、修正を行っています。」と中央消防署のメンバー。
本システムには、災害が起こった際に非番の陳員や市長をはじめとする市上層部へ災害情報をメール配信する機能を備えている。「こんな機能あったら良いな。」と軽い気持ちで機能を装備したところ、マスコミをはじめ本メールを希望する人々か続出したとのこと。うれしい誤算であったらしい。
前部で述べたとおり、平成20年に新本部庁舎建設計画が進行中である。この計画に向け本部システム一元化の他に一般行政業務等との連動も視野に入れている。
「GISは、目的を具現化するための手段です。消防に限らずGISはあらゆる分野で利用できるものです。佐渡市も様々な部署で誰でもGISが利用できる統合型GISになっていくのが望ましいと思います。GISは間違いなく情報インフラですからね。」と大平氏。
これからもGISが佐渡市の災害救済の中核システムとして発展していくことであろう。