事例 > 都市部での家屋経年変化を、GISを用いて管理する

事例

都市部での家屋経年変化を、GISを用いて管理する

福岡県北九州市

 

航空写真を利用した家屋経年異動判読システム。
その導入は、都市部における業務効率化のモデルとなる。

政令指定都市である北九州市。家屋数の多い都市部において、家屋経年異動判読システムは、経年の異動家屋の抽出、業務効率化、さらには職員の健康まで効果が期待される。

概要

kitakyushuzaisei-1.2

北九州市は誕生してから約45年になる。その歴史としては、門司・小倉・戸畑・八幡・若松の旧五市が合併してできた、その当時としては世界的にも珍しい都市であり、現在においても、それぞれ個性のあるまちづくりを行っている。

GIS導入までの足取り

固定資産税課では、適正・公平な課税を行うため昭和53年から在来家屋に係る異動家屋調査を行っている。
従来の現地調査は、図面台帳及びマイラー(家屋配置図)を携行し、すべての家屋を一棟ずつ調査するもので、多大な労力と時間を要し、また主として夏季(7~9月)に行うため、職員の健康管理に各区とも苦慮していた。

航空写真からの異動家屋調査の歴史は、大規模工場地区の調査にさかのぼる。大規模工場地区については、時間的制約と安全性確保の面から一棟ごとの確認調査が困難であるため、昭和58年度から競争入札で航空写真による家屋の異動判読調査を行っていた。これは、撮影した航空写真と前年の写真を比較し、新増築及び滅失家屋等の異動を判読し、写真図の該当の家屋に異動分の印をつける。この写真をもとに異動分の印のついた家屋について現地調査を行うものであった。

このような背景のもと、より正確な家屋調査と業務の効率化を図るため、平成14年度より市内全域(山間部を除く)を撮影して家屋の異動判読を行い、差分の家屋のみ現地調査を行うこととした。航空写真の撮影周期は3年ごととし、撮影した航空写真を前回撮影分と比較して、新増築や滅失等の異動を判読し、写真図の該当の家屋に異動の種類ごとに印をつける。職員はこの写真をもとに異動分の印のついた家屋について3年一巡で現地調査を行った。

さらに、平成18年度からは航空写真をデジタルデータとして作成することとした。この方法は画像自体がデジタルであるため、現像処理やスキャニングなどが必要なく、工程やコストを削減することができる。また、航空写真をデジタル撮影することにより、今まで航空写真図を比較し一棟ずつ目視により行っていた異動判読を判読アプリケーションで半自動により行うことが出来るようになった。

固定資産税課での活用システムについて

kitakyushuzaisei-4.5.6

固定資産税課では、開発用キット「ArCGIS Engine9」を使用して家屋経年異動判読アプリケーションを開発した。本アプリケーションは、動作ライセンス「ArcGIS Engine Runtime」をPCにインストールすることにより作動し、航空写真図をパソコン上で閲覧したり、町丁目名での図画検索が可能になるため、必要箇所を迅速に探し出すことができる。

さらに、他部署が所管するデジタルマッピングデータを航空写真データに取り込み、町丁目名及び境界線など必要な地図情報を成果品に反映させ、より精度の高い航空写真データを作成出来る。このため、家屋の所在等が確認しやすく異動の把握をより効率的に行うことができるようになる。

その他の機能として、時期の異なる航空写真を並べて表示させることが可能である。立ち入りが困難な地区や家屋密集地区において、状況をより詳細に、より正確に把握することが出来る。北九州市では、全部で67ライセンスを各庁舎にインストールし、家屋の異動を正確に把握し、正しく賦課するために使用している。

  

導入の効果

北九州市では、約34万戸の家屋があり、そのすべてを現地調査により行ってきたが、家屋経年異動判読アプリケーションを導入することで、差分を2万戸まで減らすことが出来た。さらに、機械では判読不可能な箇所を目視で確認し、5千戸まで現地調査対象家屋を絞り込むことが出来た。平成14年度以前の手法から、大幅な業務の効率化が図られた。

さらに、今までは調査地区ごとの家屋配置図と図面台帳を持ち出し、異動のチェックを家屋配置図に記載してきたが、画像データとして管理される本システムであれば、保管場所の確保も必要なく、劣化、破損の恐臨れがない。また、パソコン上でデータを閲覧することで印刷物の低減にもつながる。

  

おわりに

北九州市での取り組みは、今後、その他の都市のモデルになる。適切な家屋の管理が適正な賦課につながり、ひいては市民への充実したサービスにつながる。

新旧の状況を考慮したよで、「以前までの手法で業務を続けていたなら、人員削減や予算削減に対応することが出来なかった。さらには、GISを利用することで、現在庁舎内で紙データとして占領されているスペースもなくなる日がくるかもしれません。また、今後は庁内ネットワークを用いることで、他局との連携を図り、共通データを一元管理することで、さらなる業務の効率化が図られる可能性があります。」と小濱氏、江口氏は語った。

プロフィール


北九州市財務局 税務部固定資産税課 小濱氏



関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2008年1月1日

Copyright© 2002-2019 Esri Japan Corporation. All rights reserved.
トップへ戻る