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NHKスペシャル番組の制作における利用事例

NHK/慶應義塾大学

 

GISデータマップが、地域再生の現況を伝える。

各地の新鮮なデータが、GIS担当から番組制作班内アート部門、そしてCG部門の手に渡り、放送内容の理解をより深める美しい地図として視聴者の目に届く。

  

全体説明

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2004年NNHスペシャル「データマップ63億人の地図」(1月~ 11月、9回シリーズで放送)において、世界に暮らす63億人の人たち、一人一人の営みを統計データと地図により分かりやすく視聴者に伝える手段としてArcGISが活用された(ArcGIS事例集Vol.1にて掲載)。番組で使用されたデータマップは、好評を得て、「いのちの地図帳」「経済の地図帳」という2冊が書籍化されるまでに至った。

この番組を通して、世界全体の情報を分かりやすく伝え、他国との比較によりその国の状況を詳しく伝える一つの手段として、地図、そしてGISの重要性が再認識された。そして、最近では、簡単に地理情報を表現できるGoogle Earthなどの影響もあり、テレビ画面で以前よりも地図をよく目にするようになった。また、近年の社会状況を反映し、地域格差や地方の特色を伝えるといったテレビ番組もかなり頻繁に目にするようになった。

そのような中、2007年の1月1目、お正月NHKスペシャル「ふるさとからのメッセージ2007」が放送された。

  

「ふるさとからのメッセージ2007」

番組は、「元気な日本の地域の姿」を映し出しながら、再生への手がかりを探すというテーマで放送された。65歳以上が人口の半分以上を占める「限界集落」、病院の統廃合で拡大する「無医地域」など、地域格差を切り口に各地域社会が抱える様々な課題について取り上げた。また、それと同時に、お金がないならと住民が手作りの「もうひとつの役場」を立ち上げた山村、都会でフリーターをしていた若者たちと力を合わせ、特産物を作ろうとしている町など、住民達や自治体が知恵を寄せ合い、元気に再生しようとしている様を取り上げた。

そして、この番組において、詳細データを元に日本全国各地域の現況を、視覚を通じてより分かりやすく表現する手段の一つとして選ばれたのが、GISによって作成されたデータマップである。データマップは、主に以下のような情報を伝える手段としての役割を果たした。

各地域からのデータが新鮮な情報を伝達する地図に生まれ変わる

  

1月1日の放送に向け、100分のスペシャル番組の制作は、わずか1ヶ月半前の11月半ばに始まった。最終的に番組で放送されるCGにより放送用に加工されたデータマップも、この短い日数の中で作成されていく。
冒頭で紹介した「データマップ63億人の地図」などこれまで、NHKにおけるスペシャル番組用GISマップの制作を数多くこなしてきた慶應大学福井研究室の山田氏は、最終成果として番組で放送されるCG地図画像のベースとなるデータマップをArcGISを使い作成した。

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市町村合併が活発な時期を対象としたため、
正確なチェックが欠かせない。

12月初旬、山田氏は、番組プ口デューサーの指示の下、リサーチャーによって収集された全国地方自治体の社会経済的な統計情報を、表形式の紙資料として受け取る。この中から、番組の内容に合わせ、どのデータをどのように集計し、どう表現するかということに全力を注ぐ。そして、短い期間の中で様々なデータマップを作り、最終的にブロデューサーが納得するものだけがテレビで放送される。今回の番組用におよそ15の地図を作成したが、実際に放送に使われたのは、わずか5つであった。

さらに、GIS担当の山田氏によって作成されたデータマップは、局のアート部門、そして、CG制作のスタッフの手によって、より表現力を増した地図へと形を変えていく。微調整を繰り返し、データマップをめぐる各担当者とプロデューサー聞のやり取りは、放送日2日前の12月30日まで続いた。

テレビ放送用の配色とカートグラフィ

  

テレビ番組で使われる地図では、特にその色使いに細心の注意が払われる。それは、必ずしも地図(力一トグラフィ)のルールとは一致しない。例えば、通常統計値をグラデーションで表すとしたら属性の値が多い方を暖色、少ない方を寒色に使用することが多いが、テレビでは見る人の関心を引きたければ、全く逆の色使いをする場合もある。また、色弱の人などを考慮し、特に緑と赤の使い方に配慮がなされる。このように、通常の地図作成のルールと異なることもあるが、紙やインターネットと言った媒体とは異なる地図ノウハウが蓄積される制作プロセスでもあった。

「ふるさとからのメッセージ2007」における地図の役割

  

冒頭で紹介した「データマップ63億人の地図」では、番組においてデータマップが、情報を伝達する表現として主役的な役割を果たした。一方、「ふるさとからのメッセージ 2007」におけるデータマップは、あくまでも番組による情報伝達の補助的な役割として使用された。この脇役としてのデータマップには、番組を通して視聴者の興昧を高め、理解を深める重要な役割が与えられていた。

各自治体の姿を「統計」という真実で映し出したデータマップは、お正月をふるさとで過ごす全国各地の視聴者の地元意識に語り掛け、そして番組への興味を引いた。さらに、周辺地域との比較や日本全国の傾向との比較を可能とすることで、一地域の特質をより明確に映し出し、視聴者の特定地域に関する理解を深めるものとなった。

以上の役割によりデータマップは、番組において「地域」をテーマとする性質上、とても重要な素材として活用され、大きな役割を果たした。

  

おわりに

GISで管理された素材は、環境を整えれば他のスタッフがそれを共有し、見たり、加工したり二次的な有効活用が可能である。実際、「63億人の地図」で使われた地図は、現在も教育番組 (例「NHK教育 地球データマップ」) に利用され、学校をはじめとした新たな活躍の場を得ている。

今後も、そうしたデータの共有、利活用、新たなアイディアの展開が生まれて行く可能性は大きいであろう。

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掲載日

  • 2008年1月1日

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