事例 > 北海道外来種データベース-北海道ブルーリスト-

事例

北海道外来種データベース-北海道ブルーリスト-

北海道庁環境生活部

 

北海道における外来種の実態をGIS で広く公開し、生物多様性への影響を最小化する。

豊かな自然に囲まれた北海道。今、この地で古来の生態系に対し、外来種による様々な影響が発生している。GISによるブルーリストの公開は、生態系の実態を如実に映し出す。

hokkaidoenv-1
アライグマ
画像提供者 / 神武海氏

希少野生生物のリストが「レッドリスト」であるのに対し、外来種のリストは「ブルーリスト」と呼んでいる。

近年、野生生物が本来の移動能力を超えて、国外又は国内の他地域から人為によって意図的・非意図的に導入された種が地域固有の生物相や生態系にとって大きな脅威となっている問題、いわゆる「外来種問題」がクローズアップされている。

地球上に存在する生物は約3,000万種とも言われるが、私たち人類の生存は、この生物多様性の上に成り立っているものであり、外来種によって地域固有の生物多様性が損なわれることは、人類の生存基盤が脅かされるということである。そして現在、外来種によって様々な影響が生じているのである。

hokkaidoenv-2
セイヨウオオマルハナバチ
画像提供者 / 東京大学保全生態学研究室

ペットとして導入されたアライグマが野生化して道央圏を中心に生息域を拡大し、農業被害の拡大や生態系への影響、アライグマ回虫等による人への健康被害が懸念されている。

ヨーロッパ原産のセイヨウオオマルハナバチは、主に栽培トマトの受粉昆虫として1992年より輸入が開始されたが、在来マルハナバチ類の餌や営巣場所を奪うことによって、在来マルハナバチ類に受粉を依存する植物種への影響も懸念されている。

北海道外来種データベース

北海道では、国に先駆けてブルーリストを作成し、インターネットを通じて広く情報の公開を行った。

hokkaidoenv-3

本データベースは、環境室自然環境課を中心に各分野の専門家、環境科学研究センター、NPO法人EnVision環境保全事務所によって構築された。

本データベースの目標は、外来種の移入・拡散を防ぐための基礎資料となることであり、外来種に関する情報を収集し生息・生育の実態を把握して、移入経過や分布実態等の情報をインターネットで公開し共有を図っている。はじめに、哺乳類(25種)、鳥類(8種)、爬虫類(7種)、両生類(16種)、魚類(35種)、昆虫(89種)、昆虫以外の無脊椎動物(28種)及び植物の各分類群(598種)毎に、全部で806種の生物を選定した。

ブルーリストは、北海道が国に先駆けて取組んだため、参考となる基礎資料が何もなかった。データベースを構築するには、元となるデータ収集が一番重要であるが、そもそも見つけた種が、外来種なのかどうかが分からない。専門家の方々の意見を参考にしながら、種の識別に始まり、その種に関連する各種情報の収集など試行錯誤の連続であった。

これら困難な調査・作業の結果、本道における外来種の実態を把握、対策の基礎資料となる「北海道の外来種リスト」(北海道ブルーリスト2004)が完成し、北海道外来種データベースとして、2004年5月にインターネットで公開した。

GISの有用性

「外来種の移入・拡散を防ぐためにまず何より重要なことは、一人ひとりが外来種によって引き起こされる問題をよく認識し、それを助長しないよう心がけることです。多くの人にそのことを理解してもらう入り口として、地図上で分布実態や拡大傾向をビジュアルに示すことはとても効果的で、そのためのツールとしてGISは非常に適していると思います。」と環境科学研究センターの高田科長。

hokkaidoenv-4

本データベースでは、外来種の詳細情報に合わせて、メッシュ地図を用いた分布図を公開している。この分布図を見ることでどこに外来種が分布しているかを把握することができる。
例えば「ブタナ」は、「タンポポモドキ」と言われるキク科の植物で道西に広く分布しているが、分布図を見れば一目瞭然である。

本データベースは、情報公開GISサーバとしてArcIMS4.0を利用している。

「環境分野では、インターネットGISとしてArcIMSが主流として利用されていますし、環境科学研究センターにも既に導入されていましたので、今回もArcIMSを利用しました。本システムでは、空間データベースサーバ製品であるArcSDEを使用しませんでしたが、地図の表示縮尺を工夫することで、かなり早いパフォーマンスを実現することができました。その他にもArcIMSは、URLクエリが充実していてホームページとの連動も簡単にできました。」とEnVision環境保全事務所の吉村氏。

今後の展開

「外来種による生態系への影響というのは、非常に分かりにくいのです。例えば農業被害であれば目に見えやすく、被害面積や金額など具体的な数字で被害の大きさを表すことができます。しかし、生態系への影響は見えづらく、影響がわかったときには、取り返しのつかない事態になっている可能性もあり、被害金額といった具体的な数字で表すことも困難です。
北海道の外来種問題でよく話題になるひとつにアライグマがありますが、アライグマは、非常に手先が器用で競争力が強ため、本道在来のタヌキやキツネは、アライグマに食べ物や住みかを奪われてしまうことがあります。

hokkaidoenv-5

このように外来種による被害は、至るところでジワジワと起きていることが予想されますが、それを示すデータが足りません。
しかし、本サイトオープン後、企業や個人の方々から多くの質問を頂き、皆様の関心が高まりつつあることを実感しています。個人一人ひとりが外来種による問題を直視して、情報を寄せ合い、その情報を公開することで外来種による被害を軽減していくことができると思っています。将来的には、ブルーリストの見直し検討を考えていますが、国をはじめ、他県と連携した情報収集・共有ができるようになっていること期待しています。さらに、地域住民からの情報を収集し、を整理・発信することができれば、人々の意識も向上し、外来種による被害が広がりづらい環境が作れるのではないかと思っています。」と最後に自然環境課の高野主任は語った。

北海道では、ブルーリストの他に希少野生生物のリストであるレッドデータブックも2003年5月より公開している。

プロフィール


環境室自然環境課
高野 恭子 主任



関連業種

資料

掲載日

  • 2006年1月1日

Copyright© 2002-2018 Esri Japan Corporation. All rights reserved.
トップへ戻る