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事例

有明・八代海 環境情報システムで情報収集・共有を効率化

国土交通省九州地方整備局

 

有明海・八代海における海域環境情報を発信!関係機関との情報共有・情報収集効率化を図る

GISで環境整備船「海輝」の取得データ及び様々な機関の調査情報を発信し、「誰も」が「公平」かつ「容易」に環境情報を取得でき、環境保全活動に参画できる社会を目指す。

近年、有明海・八代海において、漁獲量の減少や水質の悪化、浮泥の堆積といった様々な環境異変が生じている。

有明・八代海 環境情報システム
有明・八代海 環境情報システム
http://www.ariake-yatsushiro-system.jp/ay_kankyo/

平成14年には「有明海及び八代海を再生するための特別措置に関する法律(有明特措法)」が制定されるなど、総合的な海域環境に関する調査や保全・施策の推進が求められている。これらを実現するために、国、関係機関等の連携をさらに進めるとともに、海域環境の保全に関する市民の関心を一層高めることが重要となっている。

このような背景から、平成15年11月に熊本港湾・空港整備事務所に配備された環境整備船「海輝」の調査結果や当該海域における海域環境の把握・評価に必要な情報を発信することを目的とした「有明・八代海環境情報システム」を下関港湾空港技術調査事務所にて構築し、平成17年4月に公開した。

システム概要

本システムは、3つの柱である「海輝調査観測情報」「クリアリングシステム」「海域環境学習」に加え、「コミュニケーション」「リンク集」の5つのサイトから構成されている。

GISソフトウェアには、世界的な実績、情報の早期公表を念頭においたシステムの安定性及び世界標準(ISO/TC211)準拠などの広い観点からArcIMS(Web配信)、ArcSDE(データベース)、ArcView(データ管理支援)が採用された。

システムの3つの柱

海輝調査観測情報

本サイトでは、環境整備船「海輝」で実施している定期環境調査により取得された水質・底質等の調査結果(速報値)や調査ポイントをWebGISで公開している。

背景地図には、国土地理院数値地図、国土交通省河川局「川の防災情報」のGISデータ及び海上保安庁電子海図を利用している。

本システムでは、調査結果(速報値)のラベル表示やグラフ表示など、閲覧者が視覚的に、より分かり易く利用できるような工夫が随所に施されている。

メイン画面
メイン画面

時系列表示機能
時系列表示機能

表形式表示機能
表形式表示機能

クリアリングシステム

有明海・八代海では、これまでに多くの関係機関が調査研究を行っており、それぞれの環境情報が独自のアプリケーションや報告書、電子データ等の異なるフォーマットで蓄積していた。

本サイトでは、各機関に分散して整備・公開されている様々な環境情報に対し、ISO/TC211に準拠したメタデータを整備・登録した。これにより、各情報のフォーマットを変えることなく流通させることを可能にした。現在、九州地方整備局や関係機関を中心に約40件のメタデータを格納している。また、登録されたメタデータを用いて、地図からの範囲指定、カテゴリ指定、種類指定、日付指定などの検索手法を提供している。

検索結果表示画面
検索結果表示画面

メイン画面
メイン画面

海域環境学習

本サイトは、有明特措法に関する趣旨を踏まえ、一般市民や学生を中心とした幅広い層への啓蒙を図るとともに、当該海域に興味を持っている方々が、海洋環境を考えるためのツールとして活用できるように構築した。

コミュニケーション
コミュニケーション

海域環境学習
海域環境学習

終わりに

本システムを構築するにあたり、関係機関がどのようなデータを持っているかを把握し、協力体制を築いていくことが重要であった。今後、本システムにおいてGISデータ及びメタデータを拡充し、有明海・八代海の海洋環境に関するポータルサイトとして更なる成長を続けていく予定である。

プロフィール


環境整備船「海輝」
「海輝」は浮遊ごみの回収機能に加え、水質・底質調査、潮流
観測等の広域的海洋環境調査が行える多目的機能を有した
調査観測兼清掃船である。



関連業種

関連製品

資料

掲載日

  • 2006年1月1日