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事例

情報の一元管理により職員の情報共有やデータ入力・更新の効率が向上、良好な景観形成に寄与

名古屋市 住宅都市局

 

名古屋市 都市景観管理システム

名古屋市ではデータベースによる都市景観管理システムを運用している。
データベース化による景観管理の利点とは。

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愛知県名古屋市

名古屋市は、良好な景観形成に関する取り組みを40年以上前より行っている。昭和36年には屋外広告物条例が施行され、現在では屋外広告物の許可業務を年間約6,000件取り扱っている。昭和62年からは都市景観条例に基づき、大規模な建築物の新築時等に必要な届出の受理及び指導業務を行っており、特に良好な景観の形成を進める地区として「都市景観整備地区」を指定するなど、地域の個性を生かした都市景観づくりを目指している。また、昭和59年からは市の景観アドバイザーによる相談受付・指導を行っている。

こうした中、平成16年に景観に関する総合的な法律である景観法が制定されたことから、これまでの施策を踏まえ、効果的な制度とするために景観法に基づく景観計画を策定した。

景観法の施行に伴い、これまで都市景観条例に基づいて提出されていた建築物等の届出は法に基づいて処理することとなった。また、屋外広告物の設置等については、屋外広告物条例に基づく許可申請の手続きに一本化するなどの制度変更があった。

GIS導入前の課題

「都市景観管理システム」は、届出の処理業務を支援する「景観届出管理システム」、景観に関する各種規制情報や写真などが管理できる「景観情報システム」、屋外広告物の許可情報を管理する「屋外広告物管理システム」の3つのサブシステムから構成されている。これらのシステムを一体的に運用することにより、データを一元的に管理し、入力・出力・閲覧・検索等の既存業務の迅速性・正確性を向上させることを目標とした。

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システム画面

都市景観管理システムはWebシステムとして構築し、ユーザ数に対してフレキシブルに対応できるようにした。また、台帳と地理情報を分けて設計することにより、台帳と図形の多対多の複雑なリンクが可能となり、ユーザの要望にこたえる自由度の高いリンク付けや検索が可能となった。
例をあげると、1つの敷地内に複数の建築が計画され、届出も建築物ごとにされた場合、従来は届出ごとの管理しかできなかったが、敷地という共通のキーを持たせることにより、関連付けて検索できるようになった。さらに、台帳と地理情報は別々に開発や機能拡張ができるようにしたため、地理情報部分は他システムとも共用できるなど拡張性が高いものとなっている。

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届出が時期を異なって提出された場合、台帳だけでは同一敷地に以前に届出されたか不明であった。図形情報と台帳情報をリンクさせることにより1つの敷地内で複数の建物の届出があったことがわかり、敷地をキーとして関連する届出の検索も可能となった。

導入効果

本システム導入により、下記のような効果がみられた。

情報が容易に引き出せることにより、担当者が変更した後も引き続き客観的かつ整合性のある助言や指導を行う事が可能となった。今後は無届物件や既存の不適格物件についての情報も収集、把握することにより、規制の徹底を図り、効果を検証できるようになることが期待されている。

おわりに

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作業風景

名古屋市で本システムを構築してから約5年になる。当時はArcGISServer 9.2のリリース直後で、情報を収集しながらの開発となり、苦労は多かったと開発担当である株式会社パスコの野口氏は語る。「使いながら逐次改善を行う」というポリシーのもと、リリース後から現在までに500項目以上の修正を行い、現在ではユーザのニーズが反映された、信頼性の高いシステムに仕上がったとことである。
最後に住宅都市局の多賀氏は「これからもさらなるシステムの改良、拡張を行い、信頼性の向上に努めていきたいと思っています」と今後の抱負を語った。

プロフィール


左から:多賀 氏、横山 氏、野々垣 氏



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資料

掲載日

  • 2010年1月1日