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事例

建設コンサルタント企業における人材育成にGISを活用

株式会社ドーコン

 

技術者の誰もがGISを普通に使いこなすために

総合建設コンサルタントとしてのGISに対する取り組み

はじめに

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ドーコン本社ビル

株式会社ドーコンは、昭和35年の設立以来、北海道を中心に日本国内の社会基盤の整備に広範に関わり、総合建設コンサルタントとして活動を続け、平成22年6月に設立50周年を迎える。ドーコンは、豊かな人間環境の創造に貢献することを目的に、北の大地で培ってきた技術と経験を基に豊かな発想で独創性、総合性に優れた技術を提案し、さまざまな地域で、人々が暮らしやすい環境や社会基盤づくりの実現に向け取り組んできた。
建設コンサルタントとは、様々な地理空間情報に基づき、社会基盤整備における企画・調査・計画・設計を行う企業であることから、ドーコンではこれまでにも道路分野や河川分野等、それぞれの分野に特化したシステムを構築し対応してきた。
しかし、近年では、社会問題や環境問題を背景とした業務の多様化に伴い、特定分野における専門技術のみではなく、様々な知識・知見、技術に基づいた課題解決対応が求められている。
このような要求に対して、GISは非常に有効なツールであり、ドーコンでは、GIS活用の取り組みを様々な方面から行っている。その一端として、今回は、企業における人材育成の観点からドーコンにおける取り組みを紹介する。

ArcGISの導入と人材育成

ドーコンでの本格的なGISソフトの導入は1997年頃に始まるが、道路、水工、環境、都市・地域など多種の専門分野に対応した部署となっていることから、各部署が個別に必要な時期、必要な種類のGISソフトを導入してきた経緯がある。しかし、その後、GISの発展や業務の多様化等により、部門間のデータ受け渡しや、他部署との連携が多くなったことから、GISデータの共有化の必要性などが高まってきた。そこで、全社的に知識と技術を蓄積し共有を図ることを目的に、技術情報部に全部門に対応するGISチームが組織された。GISチームは、社内の多くの専門技術者がGISを駆使し、さらなる業務提案に結び付けることができるようになることを目標に、「GISデータの整備」、「GIS技術力向上・技術者養成」、「業務応用支援」を中心に活動している。

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ドーコンGISチームの取り組み概念図

  

GISチームの2009年度活動のひとつとして、社内で推奨するGISソフトを検討した。GISソフトの多くがシェープファイル形式に対応していることや、建設コンサルタントとして必須要素である、解析に強いGISソフトであることを考慮し、各部署が個別に導入していたArcViewをフローティングライセンス化し、全社で統合運用を開始した。これまでGISは「一部の人が扱うもの」という属人化傾向にあったが、フローティングライセンス化により、社内の誰もがGISにチャレンジできる環境となり、ライセンス管理も容易になっている。
GISソフトウェア導入の次に課題となるのが、それを扱うことができる人材の育成である。
ドーコンでは、これまでも新入社員研修をはじめとする社員研修やCALSなどの共通技術の研修については、体系的な取り組みを実施してきたが、各専門技術の研修については、その部署の方針にて行われてきた。今後のGIS研修に関しては、各部が対応してきたものを、社内の共通技術として十分に活用するために体系的に取り組んで行くべく、改善を図っている。
GISはワープロソフトや表計算ソフトのように自助努力による習得が難しいことから、GISチームでは、初級レベルの講習をはじめ、GISとGPS・CADの連携など、幅広い要求に対応し、複数のプログラムを組み合わせ実施している。
さらに、2009年度からは新入社員向けGIS教育カリキュラムを作成し講習会を実施した。今後、さらに増加するGIS関連技術の要求に対して、技術者として当然の技術・知識を会得してもらうべく、独自に組み立てた内容としている。この講習会ではArcViewを利用している。ArcViewは、GISで一般的に使われる解析機能がわかりやすく整理されていることから、初学者向けGIS教育にも利用しやすい利点がある。加えて、大学研究所などでも利用者が多いことから産学連携の取り組みも行いやすいことも挙げられる。

GISの啓発活動

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碓井教授 社内講演会の様子

また、ドーコンでは、GIS活用の啓発活動として随時GIS社内セミナーを実施してきた。これは技術的な面だけではなく、社内外を取り巻く情勢の周知なども目的としている。
2009年度は、これまでの活動をより充実させた内容で行った。特に、奈良大学の碓井教授をドーコンに招いて行った10月の社内セミナーでは、地方では得ることが難しい、地理空間情報基本法に関する最新動向や政府のGISにおける取り組み状況の解説などを講演して頂き、非常に有益な知見を得ることができた。
また、同時開催したESRIジャパンをはじめとするGIS企業の協力による最新情報の解説等は、各自専門分野におけるGIS活用のヒントを入手する絶好の機会となった。

  

成果

以上のような人材育成やArcViewのフローティングライセンス化などの取り組みにより、社内横断的なGIS技術の蓄積・共有を図ることが以前より容易となった。
これらの結果、着実にGISを取り扱う人材が増加しており、全社的なGIS技術の共有意識が高まっている。さらに、GISを利用した提案、データ構築の社内要望も活発になり、今後の営業活動にも貢献するものと期待している。
GISソフトの効率的かつ有効活用という視点からは、コスト面においても効果が見られた。これまでは部署毎にシングルユースライセンスを導入していたため、部署内での利用に限定され、購入コストや保守コストに対して、ソフトウェアの稼働率が低い状況であった。これに対し、フローティングライセンス化により、全社で無駄なくGISソフトを活用でき、稼働率も高くなった。更に保守コストにおいてもライセンスサーバの集約などにより、低減を図ることができた。

  

今後の課題

このように社内のGIS普及に積極的に取り組んでいるドーコンGISチームであるが、課題もある。それは、GISデータの集積という大きな課題で、顧客に適切な提案をするには、解析技術もさることながら、データの集約が重要である。報告書等の設計業務成果についてのデータベース化という意味では、国土交通省等の電子納品に対応して既に対応済みであるが、社内外に存在する膨大な地理空間情報を空間データベース化し、いかにこれを活用して今後の業務提案に結び付けていくかが今後の課題となっている。
空間データベースの構築には、膨大なコストと時間がかかるため容易ではないものの、堅実かつ地道な取り組みで社内のGIS普及に向けて貢献していきたいと考えている。
また、人材育成に関しては、建設コンサルタント技術者は地理空間情報を取り扱うスペシャリストであることから、「技術者の誰もがGISを普通に使いこなせる」ことを目標にドーコン職員のGIS教育等の支援活動を継続して実施して行く予定である。

プロフィール


技術情報部 技術企画室 GIS担当者



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掲載日

  • 2010年1月1日

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