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事例

過疎化・高齢化の著しい地域の買物難民問題をGISで把握

鹿屋体育大学スポーツ経営学研究室

 

過疎化・高齢化の著しい地方自治体住民の生活実態に注目(その2)

中山間地や離島を中心に過疎化・高齢化が及ぼす市民生活における影響を解析

背景

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南大隅町全体図
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南大隅町の地形・集落・河川

都市に人口が集中し、中山間地や離島では過疎化・高齢化が急速に進行している。過疎化や高齢化が進んでいる地域では、集落機能の維持が困難な集落が急増している。
過疎化が進んだ地域では、過疎・高齢化を前提とした集落維持の仕組みづくりや集落の再編を含む幅広い政策の検討が求められている。

こうした問題は鹿児島県でも例外ではない。同県内でも高齢化率が最も高く、人口減少が著しい南大隅町の佐多地区(旧佐多町)において、過疎化・高齢化が進む中で、地域住人の生活支援サービスの充実をめざしたモデル事業(「大隅地域生活機能集約化モデル事業」として国土交通省の「2009年度地域経営推進事業の採択」の実施)にあたり、佐多地区の住民に世帯を対象とした日常生活に関するアンケート調査を行った。

本研究では、南大隅町の佐多地区を対象地域として、人口統計データと住民への生活実態アンケート調査をもとに、GISを利用して住民の生活実態を把握し、現状の問題点や課題を明らかにすることを目的とし調査を行った。本調査では、住民の買物行動(特に生鮮食料品)、医療機関の受診状況、移動手段、路線及びコミュニティバスの利用状況を聞いた。調査結果をGISを利用して校区・集落単位で分析し、住民に対する行政の生活支援のあり方を探り、今後の地域における生活支援のあり方に関する基礎資料を作成した。

 

研究方法

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買い物頻度_生鮮食料品
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買い物先の市町_生鮮食料品
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バスルート_佐多地区
(コミュニティバス、定期路線バス)

佐多地区の全世帯を対象に平成21年8月、全戸に対して生活実態の聞き取りでアンケート調査を行った。

アンケート内容は、家族構成、買い物行動、医療機関の利用状況、移動手段、運転免許及び自動車の保有状況、公共交通の利用状況、居住の状況、地域活動への参加状況、現在地に住み続けるために必要なことから成る。

町の職員が佐多地区の全所帯(1440戸)を訪問して聞き取り調査を行った。その結果、全戸数の72.4%に当たる1042戸から有効回答が得られた。

結果

以上の結果から、日々の買い物(特に生鮮食料品を初めとする最寄り品の買い物に苦労する「買物難民」の問題が過疎地でも深刻化していることがわかった。

鹿児島地域でのGISの取り組み

山﨑教授は、鹿児島地域の高齢化・過疎化に注目するほか、NPO法人かごしまGIS・GPS技術研究所(KINGGT)の理事として、産官学で連携したGIS・GPSの普及に努めている。KINGGTは、平成17年に設立され、教育・行政・民間企業等の幅広い分野に対し、GIS・GPSへの理解を深め、それらの知識・技術を普及・向上させ、住民に安心して豊かな生活を営むことが出来ることを目的とする。KINGGTはGISを教えられる人を増やす「GIS活用人材育成プログラム」の活動にも力を注いでいる。GISを教える人間が増えればもっとGISに興味を持ってくれ、GISの広がりが高まるのではないかと期待している。多くのGISシンポジウムや講習会が首都圏で開催され、鹿児島での開催は少ないので、KINGGTが中心となって地元に根ざした普及活動を行っている。21年度後半から、国土交通省の支援を受けて、KINGGTは鹿児島県内自治体のGIS普及促進のため、自治体等との「連携・ネットワークの強化」に取り組んでいる。
同教授は、現在、一般社団法人 地理情報システム学会(GIS学会)九州支部長を務め、2007年と2008年に鹿児島大学においてKINGGTと連携してGIS DAYin九州を開催している。
2011年秋には九州地区で初めて、GIS学会の研究発表大会が開催予定などますます鹿児島地域でのGISの取り組みは熱くなっている。

 

おわりに

「過疎化・高齢化の著しい地域住民の生活実態を、GISで視覚的に把握できた。こうした地域は、少子高齢化・人口減に加え、生活の不便などを抱える地域が多い。特に、高齢者が増え、運転免許があっても運転が困難な高齢者の増加、日々の買い物に苦労する「買い物難民」の問題が深刻化するなど路線バスやコミュニティバスの充実といった移送サービスの充実を求めている住民が多い。
今後は、過疎地の要支援者(高齢者世帯や独居老人世帯)に対して、買物支援や移動交通手段の確保といった、住民が安心かつ安全に生活できる環境や街づくりの提案もGISを利用して行いたい。」と、山﨑教授は語る。

プロフィール


山﨑 利夫 教授



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掲載日

  • 2011年1月1日

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