事例 > ArcGIS 自治体サイトライセンスで全庁的に土地データの管理・共有

事例

ArcGIS 自治体サイトライセンスで全庁的に土地データの管理・共有

北海道 湧別町

 

ArcGIS プラットフォームを活用した情報共有

ArcGIS プラットフォームの特徴

  • ポータルを通じて、職員が土地データを共有
  • 共有データはブラウザーベースの業務アプリで利用可能

概要

湧別町役場
湧別町役場

湧別町は北海道の北東部、オホーツク沿岸に位置する人口約 9,000 人、面積約 505 km2に広がる自然豊かな町である。沿岸部では、オホーツク海の漁業、内陸部では、酪農が盛んである。 湧別町は 2009 年に湧別町と上湧別町の 2 つの自治体が合併して誕生した。両町では、それぞれ異なる方法で町有財産を管理しており、合併後、町有財産がどこに存在するのか地図と連携する仕組みが求められてきた。そこで ArcGIS を用いた管理システムが構築された。湧別町では、システムの導入を足掛かりに、全庁で使用可能な GIS ポータルサイトを構築し、さまざまな部署で ArcGIS の活用が始まっている。

課題

湧別町企画財政課では、町の所有する土地や建物などの町有財産の管理を行っている。町有財産を確認するために使用されるのが、土地台帳である。旧湧別町と旧上湧別町では、この土地台帳の管理方法が異なり、合併にあたり、管理方法の統一は大きな課題であった。 旧湧別町では、Excel を使用して表で管理しており、地図上でどこにどのような土地があるのか、という管理は行っていなかった。一方、旧上湧別町ではデータベース ソフトウェア Microsoft Access を使用した管理に加え、 地積測量図をもとに町有地を調べ、紙地図に色を塗る、という手法で土地の場所を把握していた。また、両町とも登記所のデータと管理している土地データの定期的な確認作業を行っておらず、データの精度にも問題があった。 合併後、土地の整理を行うにあたり、どこになにがあるのか、という地図ベースの情報がない中での作業は多大な労力を要した。作業を進める中で、地図をベースにしたツールの必要性を感じ、土地の地番図と背景データを重ね合わせ、土地の突合作業を行う方法がないか検討していたところ、網走市を中心に GIS の導入支援を行っている益村測量設計株式会社からの ArcGIS の提案を受け、導入を決めた。

ArcGIS プラットフォームの採用

ArcGIS の導入にあたり、土地に関連するデータはすべての部署の業務に利用価値があるため、当初から企画財政課だけでの利用ではなく、他の部署でも利用できることを要件として考えていた。 そこで組織内で保有する空間データの利用、共有、管理を支援する Portal for ArcGIS を使用して、土地に関連する GIS データやアプリケーションを組織内で共有することにした。このポータルサイトへは全職員が庁内ネットワークを介して Web ブラウザーからアクセスすることができ、簡単に土地データを参照可能だ。 また、以前からさまざまな部署で GIS の必要性が訴えられていたこともあり、企画財政課でも、全庁的にすべての職員が ArcGIS を使用できる環境を構築する必要があると感じていた。いくつかのライセンスを検討したうえで、ArcGIS 製品使い放題の ArcGIS 自治体サイトライセンスの導入を決定した。

湧別町 GIS ポータルサイト
湧別町 GIS ポータルサイト

課題解決手法

現在ポータルサイトには、町有地管理、町有建物管理、町道路線図、地番図、そして洪水と津波のハザードマップの 5 つのアプリケーションが公開されている。各アプリケーションから、町有地や町有建物、町道などを一目で確認可能だ。 これらアプリケーションのベースとなるのが、町有地と建物、そして地番図データである。町有地と建物データは企画財政課が、地番データは税務課がとりまとめ、 1 年に 1 度更新し、常に最新のデータを利用できる環境を整えている。

システム構成図
システム構成図

効果

ArcGIS の導入により、土地に関連する業務の劇的な変化を実感している。 湧別町では、さまざまな業務で土地や建物の確認を行っている。例えば、道路改良では周辺地権者の確認が必要となったり、施設管理を行う部署では、施設の維持管理や環境整備のために現地確認を行ったりする。また、最近話題になることも多い空き家問題では、どこにどのような建物が建っているのか判定しなければならない。このような業務では、これまで土地や建物の確認だけで膨大な時間を要していたが、利用開始後はアプリケーションを活用して瞬時に把握することが可能だ。 さらに、災害時での活用も期待されている。大雨で河川の水量が増加した際に、地図上で河川の流れや決壊地点をすぐに確認し、全職員が共有できる。素早い状況確認と情報共有は、非常時には重要な要素である。 ポータルサイトならではの利点として、スタンドアローンのアプリケーションと比べて、起動する時間を待つ必要がないこともあげられる。ブラウザーを立ち上げるだけで、すぐにデータを表示することが可能だ。

町有地管理アプリ
町有地管理アプリ

今後の展望

Web アプリケーションだけではなく、ArcGIS Desktop の利用にも積極的だ。特定の機能に特化した Web アプリケーションと比べて ArcGIS Desktop は汎用性が高い分、操作に慣れるまで時間を要する。操作を習得するため ArcGIS 導入を支援した益村測量設計株式会社に依頼し、講習会を開催しており、庁内での ArcGIS の理解は確実に進んでいる。ArcGIS は Word や Excel と同じように、庁内ではなくてはならないツールとなった。今後は、各担当課でやりたいことを自ら考え、アプリケーションを作成し、業務に活かしていく予定である。

プロフィール


湧別町 企画財政課 尾山 弘 氏(中央)
湧別町 企画財政課 峯田 実 氏(左)
益村測量設計株式会社 技術部 企画室(GIS)
関山 泰臣 氏(右)



関連業種

関連製品

導入協力企業

組織名益村測量設計株式会社
住所北海道網走市新町1-7-14
電話番号0152-44-7335
Webを見る


資料

掲載日

  • 2018年2月16日