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ArcGIS プラットフォームで利用できる衛星画像オープンデータ

 

広域性と同時性に優れる衛星画像データは、災害監視・農林水産業・地図作成など様々な分野への活用が期待されています。海外では衛星データのオープン化が進んでいますが、日本でも政府衛星データのオープン&フリー化事業が開始され、新たなビジネスへの機運が高まっています。本稿では、ArcGIS ユーザー向けに Living Atlas から提供されている代表的な衛星画像オープンデータである Sentinel-2、Landsat、MODIS について概要と活用例を紹介します。

Sentinel-2

Sentinel-2 は、ESA (欧州宇宙機関) により開発・運用されている Sentinel 衛星シリーズの 2 号機 (光学衛星) です。欧州では長期にわたる Sentinel 衛星シリーズの運用を明確化しており、安定的に観測データが提供されることから従来の宇宙関連事業者だけでなく新たに宇宙産業に参入しやすい環境整備が進められています。
Living Atlas では、① Sentinel-2 イメージ サービス② Sentinel Explorer App (Sentinel-2 イメージ サービスの閲覧・簡易な解析が可能な Web アプリ) の 2 つのコンテンツが提供されます。豊富なバンド構成のラスター関数テンプレートが設定されたイメージ サービスが提供されており、速やかに目的のレイヤーを利用することができます。

① Sentinel-2 イメージ サービス

Sentinel-2 イメージ サービスを利用することでデータをダウンロードすることなく Sentinel-2 の画像データにアクセスすることができます。ArcGIS Online では、Web マップに付加価値を与える時系列画像コンテンツとして追加することができ、ArcGIS Pro では、ラスター関数や Spatial Analyst などのラスター解析機能の入力データとしての利用が可能です。

ArcGIS Proなど

② Sentinel Explorer App

Sentinel Explorer App は、Sentinel-2 対応版 Web アプリです。この Web アプリでは、時系列に蓄積された観測データの検索、ピクセル値によるマスク、2 時期の画像ペアによる変化抽出など、イメージ サービスの利用を支援するツールが提供されます。さらに、ArcGIS Online ユーザーでサインインしておくことで、マスクされたエリアを ArcGIS Online コンテンツとして保存することができ、他の Web アプリで活用することもできます。
下図は、ハワイ島のキラウェア火山の爆発的噴火による溶岩流の状況を捉えた貴重な画像 (観測日:2018 年 5 月 24 日) です。たとえば、熱に感度を持つ指標にマスクを適用して溶岩流の範囲を抽出し、建物や道路などの GIS データと組合せて流出範囲内への影響評価などの活用が考えられます。

Sentinel Explorer App

Landsat

Landsat は、NASA が打上げ、現在は NOAA が運用する地球観測衛星です。Esri は、USGS がオープンデータとして公開する Landsat データを ArcGIS プラットフォーム上で容易にアクセスできるようサービスを提供しています。Landsat データは、Sentinel-2 と同様に Living Atlas からイメージサービスの利用や、Sentinel-2 Explorer と同等の機能を提供する Landsat Explorer を通じて利用することができます。Landsat のイメージサービスの最大の利点は、1972 年以降に蓄積されたアーカイブデータにアクセスできることです。膨大なアーカイブデータを利用して、広域の土地被覆の経年変化の評価や、農作物の生育ステージ推定など、GIS での分析の源泉データとして活用することができます。

Landsat Explorer

ラスター関数を使用した指標の計算

MODIS

MODIS は、NASA が開発し運用している可視・赤外域の放射計センサーであり、Terra 衛星および Aqua 衛星に搭載され観測を行っています。Landsat や Sentinel-2 が中・高分解能で地表を観測するのに対し、MODIS は広域(低分解能)かつ高頻度に地表・海面・雲分布などの物理量を観測していることが特徴です。Living Atlas や ArcGIS Online で MODIS を検索すると、MODIS の観測データやプロダクトが解説付きでリストアップされ、目的の物理量データをマップに追加することができます。

MODIS の可視光データです。気象衛星画像に近いイメージで、雲の状況が良くわかります。

MODISの可視光データ

可視光データのバンドの組合せを変更し、雲の成分によって色調の差が出るように表現したデータです。オレンジ系の部分は氷の成分を含み、肌色から白色系の部分は氷の成分が少ない雲域を表します。

雲の成分によって色調の差が出るように表現したデータ

林野火災などの検知を目的として MODIS データから作成されたプロダクトです。(源泉は EARTHDATA から公開されている Active Fire Data を用いています)

MODIS データから作成

上記の基盤技術には、画像データプラットフォームとして ArcGIS Enterprise および ArcGIS Image Server のテクノロジーが活用されています。これらの製品を活用することにより、Web サービスとして提供される画像データを利用するだけでなく、組織自身に最適化された画像データプラットフォームを構築することが可能です。

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掲載種別

  • 活用法

掲載日

  • 2018年8月30日