近年、国内では空き家の戸数が増加を続けており、多くの自治体において政策上の課題の 1 つとなっています。空き家には一般にイメージされがちな老朽化が進んだ物件だけではなく、状態は良くとも利活用されていない物件など様々な状態の空き家が存在します。取るべき政策も防犯・防災上の対策や物件の再利用促進など空き家の状態によって様々です。そのため、どのような状態の空き家が、どの地域に、どの程度存在するかを把握することは、有効な政策を決定する上で重要なステップの 1 つとなります。
調査を開始する前に、空き家の老朽化の状態や再利用性を評価するための適切な調査項目を設定する必要があります。Survey123 for ArcGIS を使用して Excel 上で調査項目を設定し、現地調査用のアプリケーションに調査票として配布することができます。
調査員は配布された調査票に、Android や iPhone などの使い慣れたモバイル端末から調査結果を入力します。入力された情報は即座に ArcGIS Online のサービスに反映されるので、調査の進捗状況や結果を地図上で確認することができます。また、入力された項目から生成された集計結果のレポートを使用して調査結果の傾向を把握することができます。
調査結果の空き家のポイント データを使用して、空き家の空間的な傾向を理解することができます。たとえば空き家の数を使用したヒートマップを作成することで空き家の地域的な分布状況を可視化できます。また、特定の調査項目の値によってポイントのシンボルを色分けしたマップを作成することもできます (たとえば防犯・防災の対策が必要な空き家の分布状況や、逆に再利用性の高い空き家の分布状況など目的に応じた地図を作成することができます)。また空き家の現状をモニタリングするためのダッシュボード アプリケーションを作成することもできます。調査結果を効果的に可視化することで適切な政策のための意思決定や、実施した対策の効果のモニタリングが可能になります。