ビジネスにおける地図の活用事例集
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到達圏と人口統計や消費習慣を重ね合わせたインフォグラフィックス既存顧客やさまざまな可能性を表示したダッシュボードアプリCase Studies Vol.18する際には、信頼できるデータを用いて、視覚的かつ対話的なリスク評価を行うことができます」と語る。販売データをより深く分析することで、あるチャネルでの収益増加が消費者の習慣の変化を表しているのか、それとも単に別のチャネルから移動しただけなのかを理解することができた。かつては有望と思われていた1つのチャネルでの収益増加は、現在では全く異なるストーリーに変わった。豊富なデータをマッピングして1つの明解な絵を描くことは、大きな変化をもたらした。販売・ビジネス分析担当部長であるスティーブ・サパルダニス氏は、BAによる強力な視覚化がこの発見の中心にあると強調する。「増加、減少といった数字や色分けを、ほとんど言葉を使わずに見ることができるのです。これまでにない方法です」。同社は消費者ニーズの理解を深めるため、BAを利用している。到達圏分析ツールを使用し、指定された範囲内の市場ポテンシャルを分析し、Esri社のデモグラフィックデータから得られる人口統計や消費習慣を重ね合わせることで、市場評価を精緻化することができる。また、デモグラフィックデータを同社のPOSデータと組み合わせることで、消費者をセグメント化し、最も細かいレベルまで需要を満たすプロダクトミックスを構築することができる。これにより、人口統計、消費パターン、さらにはアウトドア系の趣味がどの地域で人気があるかなどに基づいて、どこに製品を配置すべきかをより意図的に決定することができる。その結果、需要と供給の間に重要な関係を築くことができるのである。これらのデータをパートナーと共有し、彼らが競合他社から売上を取り戻す支援をする。データチームはデモグラフィックデータを使って、特定の市場に関する独自の消費者データを厳密に調査し、裏付けを取ることで、分析の精度を最大限に高める。詳細で視覚的なレポートは、特定の市場で特定の製品に対する需要があるかどうかを証明する。未開拓の市場への参入を検討する際には、この反復可能なワークフローをより大規模に使うことができる。また、過去の販売データを他の要素と組み合わせて可視化することもできる。「ライバル店との距離が近く、市場が過飽和の状態を示す情報が得られれば、新たな戦略を検討する機会にできます」とブレナン氏は説明する。データエンジニア部長であるドウェイン・ニューサム氏は、BAによって国全体の概要を視覚的に把握することができ、これまで見過ごされていた見込み客に焦点を当て、これらの市場に参入するための強力なレポートを作成することができると話す。BA、そしてデータに対するより厳密なアプローチを採用して以来、営業部長から経営層までのあらゆるレベルで、よりスマートな意思決定へと明らかに前向きな変化が見られるようになった。統合されたデータに基づいて作業することで、データ中心の統一された戦略の下に、すべてのチャネルをまとめることができた。「小売業には小売業の、卸売業には卸売業の、eコマースにはeコマースの、それぞれのリーダーシップがあるからです。1つの可視化されたデータを持つことで、マクロレベルでより良い意思決定を行うことができます」とニューサム氏は述べる。地図、対話的なWebアプリ、インフォグラフィックスは、同社の歴史の中でかつてないほど議論に不可欠な要素となっている。ブレナン氏は「市場がどのようになっているか、その市場を最大限に活用するための最善の方法をデータが示します」と語る。BAは実店舗やeコマースのパートナーとそのビジネスに力を与え、顧客が望む商品を、望む場所に、望む方法で提供する拡張戦略を成功させた。ニューサム氏とBIアーキテクトであるエリック・アイザック氏は、社内関係者のニーズに合わせた対話的なWebアプリを構築し、営業チーム全体がGISとデータの力を自ら活用できる未来を描いている。それまでの間、両氏は営業チームに、Microsoft Excelや静的なPDFの代わりに、リアルタイムで更新されるインフォグラフィックスを提供することができる。サパルダニス氏は、営業チームが顧客のすべての店舗のレイアウトとマーチャンダイジングを把握できるようなワークフローを開発したいと考えている。「営業チームがスマートフォンを持って店内に入り、Webアプリから店舗の状態をクリックで選択すると、その情報が本部のシステムに届き、それを地図に反映させることができるとしたらどうでしょう。これこそが、私が望んでいることであり、まさに我々が進む方向だと思います」。このデータが販売プラットフォームに直接接続され、GISとシームレスに統合される可能性もあると考えている。> ビジネス > 製造・小売■今後の展望活用事例日本進出のワークウェアブランド「カーハート」のデータとGISを活用した事業拡大

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