ビジネスにおける地図の活用事例集
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これにより、周辺のどのエリアが店舗の売上に寄与しそうかという単純化されたマップが表示される。ハロー予測は地理空間クラウド上で、地域の人口統計と消費者の購買嗜好を分析する。これらの情報に基づき、出店した際の周辺地域単位の購入予想額をGISを使って予測する。ハロー予測の次のステップは、この初期分析を市場全体に拡大し、ミネアポリス・セントポールエリアで高収益を見込めるいくつかの場所を経営陣に示すことだ。GISテクノロジはAIの処理能力と地理空間クラウドを使い、アップルバレーだけでなく、その周辺地域の実店舗売上も予測する。この予測の精度は通常90パーセントを超える。それでも、分析を行ったのは実店舗での売上の予測のみだ。ハロー予測を完全なものにするために非常に重要なデジタル販売の分析にとりかかる。ミネアポリス・セントポール都市圏は、多くの都市圏と同様、消費者がより密集している都市部を中心に、オンライン販売による多大な売り上げが見込まれている。デジタル支出のパターンを予測するために、AIエンジンを使って同様の分析を行う。最新のGISインテリジェンスを使用して、地域の顧客グループの支出習慣を解析し、信頼性の高いデジタル売上の予測を作成する。GISを使ったスマートマップで結果が表示される。緑色で表示されたエリアは、中心地に実店舗を設置した場合、ハロー効果で140万ドルを超えるデジタル売上が見込まれる地域だ。この新たな予測方法により、かつてないレベルの事業計画の見通しが可能になった。一言で言えば、一部の幹部しか把握できなかった販売チャネル全体を見渡せる力だ。ハロー予測を使えば、店舗計画担当役員は不動産ブローカーと調整し、候補地の中から適格な区画を特定できる。GISはこうした分析に何十年も使われている。ハロー予測が割り出した潜在的可能性のある地域に商業用区画地のフィルタリングを行うだけで、出店可能な候補地(濃い青色の箇所)をすぐに絞り込むことができる。GISを利用すれば、プランナーは適地選択に不可欠な他の要因も分析できる。今回は、交通量の多い交差点に近い場所という条件を加え、検索をさらに絞り込んだ。詳細な消費者人口統計データや小売企業が所有するデータ、地理空間クラウドの力をハロー予測で組み合わせることで、経営陣は長年求めていた洞察力を得ることができる。顧客の希望が次々に変化し、販売チャネルが急増するこの時代に、チャネル全体の事業成果を確信を持って予測することができれば、企業は揺るぎない競争力を得るだろう。今世界で最も成功している企業の一部は、ロケーションインテリジェンス、AI、そして消費者インサイトという新しい組み合わせを使い、まさにそれをし始めているのだ。Advanced Analytics分野■オンライン販売■店舗設置場所の選択活用事例

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