ビジネスにおける地図の活用事例集
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1. 複数のソースから正確なデータを収集する機能2. データ分析や関連性のあるパターンを見つけ出す計算機能3. 算出した結果を他の車両やシステム、ユーザーと効率的に共有ロケーションアナリティクスの活用は、スマートモビリティをどのように変化させるのだろうか。ドライブ旅行を例に説明しよう。ある家族が冬休みを家族で過ごすため、祖母を車で迎えに行く途中、霧が立ち込める地域に入り込んでしまった。ドライバーは速度を落としたが、霧のため路面の凍結に気が付かなかった。そのため車はコントロールを失いスピン。歩道にあったがれきに乗り上げ、前輪が破損してしまった。一家は携帯電話を取り出し、近くにあるタイヤ交換可能な施設の検索を始めた。2時間後、一家は近くのレストランでタイヤ交換が終わるのを待っていた。ロケーションアナリシスとスマートモビリティの活用が進むと、物語は次のような内容になる。1. 他の車両ががれきのある道路を通過した時点で、センサーが自2. 道路センサーが氷点下に達している路面温度をオンラインでレ3. リアルタイム気象情報サービスから霧発生の可能性がある地域が報告され、幹線道路情報システムと同地域内の車両に通知を送信4. 道路標示で最新の道路凍結や霧の情報を示し、該当するエリ5. 道路局が車両を派遣し、除氷剤を散布。気象と道路状況を元する機能データソースには、路面での速度や温度センサー、オンライン気象予報、高速道路管理システムが含まれる。全てのモバイル端末および固定端末は位置情報で結び付けられるため、スマートモビリティはロケーションアナリティクスに依存すると言える。道中、車に積まれたナビゲーションシステムがリアルタイムに気象情報、交通情報などにアクセス。霧と路面凍結が発生している地域に到達する前に危険の回避が図られる。動的に撤去の依頼を道路管理局に連絡ポートし、車載システムに危険な状態であることを通知アを通過予定の車両に注意喚起情報を発信に除氷剤の散布量を調節6. 同じような状況化で同区域を通過した何千台もの車両から送信された交通・道路状況に関する情報やテレマティクスデータをもとにリスク要因を計算7. 車が自動的に安全速度まで減速し、ドライバーに選択肢を提起: 別の選択肢やリスクを知ることで最善の選択が可能に a. 45分遠回りのルートを進む b. 1時間休憩を取り状態の改善を待つ c. 当初の計画通りに進む8.「自宅→祖母宅→目的地」というルート設定になっているため、新たな到着時間をテキストメッセージで祖母宛てに自動で送信スマートモビリティ テクノロジーは既に実用化されている。ハイエンドな車にはセンサーが搭載され、駐車や安全な車間距離を保つなどに利用されている。IoTは、インターネットを介して何十万ものセンサーをつなげるものだ。集積された情報は、安全性、利便性、効率性において変革を起こす可能性を秘める。一方で、既存システムでは処理しきれないデータの洪水も生み出している。例えば、2020年モデルの車載センサーは1秒間に最大350MBのデータを生み出すと言われており、これは今日のモバイルテクノロジーで扱える数百倍のデータ量に値する。ここで課題となるのは、「ビッグデータ」の巨大な流れを分析し、ユーザーが必要とするデータだけを抽出することである。GISは、GPSの地点や車両のスピードといった大量の位置データを処理するための鍵となるテクノロジーである。現在、GISで構築された新世代のビッグデータ向けリアルタイムプロセッシングツールのテストが実施されている。将来のIoTニーズを満たすために、位置の関連性を元にした何十万ものデータセットを1秒間で処理することを目指す。このように、自動車業界ではドライバーにとって有益なロケーションアナリティクスとスマートモビリティを活用し、より速く、より賢い車載システムの開発に取り組んでいる。Advanced Analytics分野■ ロケーションアナリティクスと スマートモビリティで未来はこう変わる■今後の課題と展望活用事例

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