ビジネスにおける地図の活用事例集
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社内サーバーとArcGIS Onlineの連携図各シェアモビリティステーションの利用実績や人口等の基礎情報・周辺情報を、社員が誰でも一目で確認できるダッシュボードを構築外出先からもさまざまなデータを確認することが できると評判する場合を考慮して、背景地図をOpenStreetMapや地理院地図などにカスタマイズできることも嬉しいポイントです」と付け加える。最新のデータの取得と更新同部は、まずArcGIS Onlineのノートブック機能の一つであるArcGIS API for Python(以下、Python API)を使い外部から必要なデータを取り込み、データの解析処理を行った。Python API上でマップの作成や更新ができるだけでなく、コードを数行つなぐだけで、決まった時間に解析処理を行うタスク設定も実現できた。その上で、同部はシェアサイクルのステーション設置場所の検討に必要な、昼・夜間人口データや地価データ、公園や学校情報などを国土数値情報や、政府統計の総合窓口「e-Stat」などから取得し、ArcGIS Online上へデータのアップロードを行った。データ活用の柔軟性向上分析した結果はArcGIS Dashboards上で可視化した。シェアサイクルの利用の軌跡やステーションの配置を見ながら、売上順にデータを並び替えることや時間軸で表示を変えるなど、営業メンバーでも直感的に操作ができるため、必要に応じてデータの加工をすることが可能となった。また、スマートフォンアプリにインストールしたArcGIS ExplorerからもArcGIS Online上のデータにアクセスできるため、外出先でもサービス利用状況を確認し新たなステーション設置候補のデータ確認ができるようになった。ArcGIS Onlineの素早い処理機能により、容量が重いためにこれまで処理に時間がかかっていたさまざまな種類のデータの可視化と社内共有を簡単に行うことができた。ステーションの展開状況や走行軌跡のデータなどを誰もが閲覧できる環境を構築することを可能にしただけでなく、データチームの作業工数の削減にも大きく貢献した。従来は都度行っていたデータ取得作業や、レポート作成作業に充てる時間が短縮され、その分新しいデータの分析作業に充てることができた。さらに、商談時には地図上に可視化したデータを見せながらお客様と会話することができたため、シェアサイクルサービスの利用状況や、同社の有するデータの有用性についてお客様側の理解度もあがり、実際に契約につながった事例もある。ArcGIS Online導入以降、ステーション数は4,700箇所から5,600箇所に増え、会員数も180万人を超えるサービスに成長している。(2022年(令和4年)11月現在)。2022年2月には、ESRIジャパン主催のウェビナーにて同社の事例が紹介され、さらには、メンバーが対外的な情報発信サイト上でGISデータの活用について投稿した記事へ問い合わせがあり、社内だけでなく社外からの反響もあったという。同部では、今後ビッグデータやリアルタイム解析処理でより迅速に意思決定をすることや、ネットワーク解析によるシェアサイクルの修理点検の効率化も視野に入れている。「これからもAWS (Amazon Web Services) など社内で使用しているツールとArcGIS Onlineを連携し、さらにデータ活用の幅を広げていきたいと思っております」と氏は期待を込めて述べた。> ビジネス > 地域政策■課題解決手法■効果■今後の展望活用事例シェアサイクルステーション網の拡大位置情報データを多面的に分析

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