ビジネスにおける地図の活用事例集
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フィールドで利用するスマホアプリ 店舗施策情報と気象情報を重ねたダッシュボードCase Studies Vol.18「このような社内ニーズに迅速に取り組むため、自社業務に習熟しているが専門家ではない社員でも開発できるローコードやノーコードのGIS開発環境を整備したかった」と語る情報システム部長の坪井氏。この点でArcGISはGISそのものの基本機能の充実はもとより、機能拡張に対応するさまざまなインターフェースが準備されており、他システムとの連携が容易であるところが評価され選ばれた。データ互換性も良く、社外の共同研究機関とGISデータのやりとりやオープンデータの活用が容易に行えるのも良い点だ。また、将来の海外店舗への展開も見据えたGIS基盤の構築を検討していたので、海外の地図情報にも対応しているEsri製品に魅力を感じた。軽に検索し閲覧したいという要望も上がっていた。今回のシステム導入を検討した2020年(令和2年)5月は、社内における新型コロナウイルス感染症対策会議内でジョンズ・ホプキンス大学の感染状況ダッシュボードを参照しながら感染の広がりを確認する機会が増えていた時期であった。このことは図らずも社内でGISへの理解を早める追い風となり、機運の高まりに乗じてGISシステムを同年11月に導入した。運用面においては、業務が多岐にわたり相互に関係するシステムが多いため、データ連携などのシステム作りは自動化を基本としている。今回構築したシステムも、データウェアハウスに蓄積した会社全体のデータをArcGIS Enterpriseへ自動で取り込み、経営管理部門から店舗運営部門まであらゆる部門の社員が手間なく使えるように、あえて機能やデータを部門業務に特化させず、あらゆるデータを盛り込み分析できるようにした。具体的には、全店舗の売上、来客数、商品の出数傾向などを時間軸で期間設定し、過去比も出しながら店舗、エリア、販売形態などでフィルタリングして地理的相関を参照することを可能とした。会社全体に蓄積するデータを各部署の視点で地理的に可視化・分析できる環境を整えることにより、・ 地図上で俯瞰的に店舗情報を閲覧でき、専門部署以外からの気づきも増えた。この結果、参照のみならず、同業他社の開業状況など地域情報も共有したいという声が現場から上がってきた。・ スマートフォンで出先でも特定の店舗情報を時代や環境の変化とともに変わり続ける顧客の要望は、社員が“見たい”と思うデータと重ね合わせることで顕在化してくる。従来把握できていなかった地理的要素を加味した傾向と気づきは、GIS基盤の情報活用プラットフォームで即座に共有でき、各部門担当者の行動に繋がり始めている。今後は、海外店舗への展開をはじめ、AIやIoTを利用した店舗環境データなどの情報追加、食材の陸上・海上輸送など物流領域への拡大管理、コーポレートサステナビリティなど多方面への活用に期待が高まっている。 迅速に検索でき、情報取得のスピードがアップした。・ 気象・防災データをレイヤーで追加でき、物流部門の配送計画などにも役立てられている。・ 地図利用が浸透したため同業他社出店アプリも追加で作製でき、周辺の同業他社との関係性などが見えてきた。・ 柔軟なGIS基盤により、圧倒的なデータ互換性で見たいデータを加えることも容易に行えた。> ビジネス > 外食■ArcGIS採用の理由■課題解決手法■導入効果■今後の展望活用事例店舗所在地と基幹データで読み解く地理的相関国内1,000を超える店舗からの気づきの声

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