ビジネスにおける地図の活用事例集
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PROFILECase Studies Vol.14デジタル開発推進室 CISブロック濱野 幸喜 研究員組織名:株式会社本田技術研究所 四輪R&Dセンター住所:〒321-3393 栃木県芳賀郡芳賀町下高根沢4630電話番号:028-677-3311Email:Koki_Hamano@n.t.rd.honda.co.jp使用製品ArcGIS DesktopArcGIS Enterprise課題   ・開発テスト効率化・テスト車両を探すのにかかる時間の削減導入効果・車両を探す時間の劇的な短縮四輪R&Dセンター社屋四輪R&Dセンターでは開発中の車両のテストを行うため、車両はもちろんのこと、施設の構造や、運営の方法において多くの機密情報を持つ。そのためさまざまなテストを渡り歩くテスト車両の引き渡し時に、担当者が車両を探すのに非常に時間がかかっていた。それを解消するため、GPS、準天頂衛星、IMES(屋内測位:Indoor MEssaging System)の3つの信号を受信する端末を独自開発し各車両に搭載。そこで測位した位置情報をオンプレミスのArcGISのマップ上に屋内外をシームレスに表示し、ユーザーがテスト車両の位置を検索できるシステムを開発し、車を探す時間が大幅に短縮された。HONDAの研究開発機関である本田技術研究所。栃木県にある四輪R&Dセンターは四輪自動車の研究開発を行う施設で、テストコースと数々のテスト棟がその広大な敷地内に立ち並ぶ。R&Dの名の通り、新たな車を開発するための先進リサーチと量産化に向けた設計開発を行っているが、研究所が進めている手戻りを減らし開発効率を高め先行開発から量産開発までの期間を縮めるには、テストの効率化は避けては通れない。中でも「テスト車両を探すのに時間がかかる」という問題は長年の課題であった。それは機密情報が厳守された研究開発機関ならではの事情がある。テスト車両は衝突安全や走行性能や環境試験などさまざまな試験が行われる。それぞれが専用の建屋で専門のチームによって行われるため、テスト車両は数々の施設を渡り歩くことになる。テストを行うには前の担当者から都度テスト車両の場所をメールや電話などで聞くことになるのだが、機密保持のため建屋ごとに完全に仕切られている構造で、入室できる人も制限されている。さらに秘密を守るためテスト車には幌をかぶせてあり、毎回、大量のテスト車両の幌を一台ずつめくって探さなければならず、車両を見つけるのに半日かかることもあったという。テスト車の位置を可視化するためのプロジェクトが始まったのは2014年である。屋外の位置情報を取るためにはGPS情報を使うが、さらに測位精度を上げるため、まだ新技術であった準天頂衛星の信号の受信も取り入れることとした。屋内の測位は実験を繰り返しながら何度か方針転換があったが、最終的にはIMES技術を採用。これら3つの信号により、十分な精度と建物内の階数の判別も可能に■概要■課題■課題解決手法屋内・屋外をシームレスに位置特定し車両を探す時間を劇的に削減四輪R&Dセンター株式会社本田技術研究所

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