ビジネスにおける地図の活用事例集
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ArcGISのWebシーンに描かれたスキポール空港のターミナルスキポール空港の全建物を見ると、特定のエリアに必要な消火器があることがわかるCase Studies Vol.17超える空港敷地内では、ネットワークや滑走路、照明システムから案内所や消火器まで、屋内外で80,000以上の資産を追跡および維持管理している。同空港の建設業者は、IFC(Industry Foundation Classes)フォーマットで建設データを提出している。これはBIMに使用されるデータを標準化するための、プラットフォームに依存しないオープンなファイルフォーマットである。幾何学的および非幾何学的な設計要素、ならびに建設情報など、建物のすべての詳細がBIMに取り込まれる。 この情報豊富なモデルは、設計オプションの分析やビジュアルの作成に使用される。BIMデータは、ArcGIS Data Interoperabilityエクステンションを使用して処理される。これは、Safe Software社のFME(データ変換エンジン)を利用したジオプロセシングフレームワーク内で実行される統合空間ETL(抽出、変換、ロード)ツールセットである。 この処理により、BIM データはWebシーンレイヤーに変換され、ArcGIS API for JavaScript で表示できるようになる。 Webシーンレイヤーとは、大量の3Dデータをブラウザーで表示するために最適にキャッシュされたWebレイヤーである。3Dスキポール・アーバンビューは、このプロセスを通じて生成されたWebシーンであり、マネージャー、技術者、建設業者、およびその他の利害関係者に現在の建設状況を詳細に表示する。 このWebシーンは、資産管理プロセスのダッシュボードとしても機能する。 スキポール空港のCDEの一部として、他システムの属性データを使用し、リアルタイムの資産データを表示することができる。 将来的には、スキポール空港の開発運用チームは、利害関係者が空港の開発プロセス全体を見ることができるように、過去の建設ビューと今後の建設ビューを作成したいと考えている。この施設にはスマートコンポーネントが組み込まれており、相互作用によってリアルタイムに動作状況を把握できるため、1つの部品の変化が他の部品に影響を及ぼしたり、他の部品がそれを検知したりすることができる。 エスカレーター、コンベヤーベルト、発券機など、空港の自動化された旅客/貨物システムは、スキポール空港の監視制御およびデータ収集(SCADA)システム内の資産管理モニター(ACSM)によって監視されている。 ACSMは、旅客/貨物システムを構成する多数のサーボモーターや回路基板、および機械装置の状態を継続的にチェックしながら、メンテナンス履歴を維持し、システムのプログラマブルロジックコントローラーを監視する。 また、スキポール空港では、資産の登録と保守のためにIBM Maximo資産管理ソフトウェアも使用している。「ACSMを使用すると、これらのシステムを構成するすべての資産をダッシュボードからリアルタイムで監視および管理できます」とファン・フーグ氏は述べる。 「ベルトやモーターなど、これらのシステムを構成する部品の1つが正常に動作していない場合は、機器の電源を切り、自動的に作業指示書を作成し、メンテナンススタッフを割り当てて直ちに修理を開始することができます」スキポール空港は、屋内交通監視システムとしてVeovo社のBlipTrackを導入した。 BlipTrackセンサーは乗客のワイヤレスデバイスを検知し、そのユニークなIDにはタイムスタンプが付与され、暗号化される。 デバイスが複数のセンサーの前を通過すると、システムは移動時間と移動パターンを測定する。 待ち時間、占有率、流動パターンに関するリアルタイムと履歴情報の両方を空港管理者に提供し、安心で安全な環境の維持に役立っている。「スキポール空港のデジタルツインの開発が進むにつれ、ArcGIS GeoEvent Serverを活用して、センサーからのストリーミングデータを分析できることを楽しみにしています」とファン・フーグ氏は話す。「たとえば、大規模なデータセットをリアルタイムで処理して分析するように設計されているので、鳥衝突防止アプリの強化に非常に有益である可能性があります」と締めくくった。*本稿は2021年1月に作成されたものですFacility Management分野■今後の展望活用事例BIMとGISの一元管理による設計管理業務の効率化

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