ビジネスにおける地図の活用事例集
41/70

・ 各種ハザードデータ:地震、津波、浸水、土砂災害、台風、積雪、落雷等のデータを公的機関等から収集 ・ 交通事故多発地点データ:同社が持つ交通事故データに含まれる住所情報をジオコーディングし、多発地点を抽出したデータを作成 ・ 保険金支払いデータ:同社の保険金支払い実績データを自然災害の種類別に用意地震発生リスクのマップ(左)と液状化リスクのマップ(右)Case Studies Vol.16これらのデータをArcGIS Enterpriseに取り込み、ArcGIS Onlineの背景地図上に重ねることで、Webアプリケーション「THEがあるなど、自宅周辺の複数の災害リスクをピンポイントで把握するには難易度が高いことが多い。そこで損保ジャパン日本興亜は、各種災害データを一元化し、さらに同社の保険金支払い実績データを統合することにより、想定リスクと実際の災害データを融合することを検討した。搭載した主なデータは以下のとおり。損害保険ジャパン日本興亜株式会社は、本記事公開時の2020年1月時点の名称です。本ebook公開の2021年4月時点では、「損害保険ジャパン株式会社」に社名変更をしています。すまいのハザードマップ」を構築した。また、リスク度合いが一目でわかるよう、ビジュアルにも工夫を凝らした。リスクの高さを瞬時に判断できるようリスク度合いを「高」「中」「低」の3段階で表現し、段階によって色分けも行った。さらに、過去の自然災害で発生した実際の被害写真も表示することで、お客様が自然災害をよりイメージしやすい内容とした。こうして構想から約1年の期間を経て、 「THE すまいのハザードマップ」は、2018年4月に全代理店向けに公開された。リリース前に一部の代理店向けに実施したトライアル版に関するアンケートでは、95%以上から「お客様からの反応が良い」との回答を得た。お客様の住所入力のみで瞬時に複数の災害リスクを判定できることから、操作の簡易性も評価されている。また、2018年4月のリリース後は大阪府北部地震や平成30年7月豪雨をはじめ、平成30年台風第21号・24号等の大規模な自然災害が続いた未曽有の年となり、代理店の情報提供に対する使命感とお客様の関心度合いがマッチした結果、利用状況を表すログイン数が4ヶ月で約3倍に急増した。お客様からも、「リスクの度合いや発生確率が数字で確認でき、この地域の危険性を実感することができた」、「被害の写真を見たことで説得力が増した」、「マップで説明を受けて、火災保険は火事のみの補償と思っていたが、様々な補償があることを知ることができた」 といった声があり、「THE すまいのハザードマップ」によって損害保険商品への理解を深めるとともに、それ以上の価値・サービスを提供することにつながった。今後は、各種災害リスクデータをさらに精緻化していくことや、搭載データの種類を増やすなど、提供情報の拡充によりさらなるサービス向上につなげることを検討している。*本稿は2020年1月に作成されたものですRisk Management分野■効果■今後の展望活用事例 お客様の地域の災害リスクを可視化した 「THE すまいのハザードマップ」を構築

元のページ  ../index.html#41

このブックを見る