ビジネスにおける地図の活用事例集
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洪水ハザードマップシステム構成 土砂災害ハザードマップCase Studies Vol.17するビューアーやグラフ、数値を同時に表示するダッシュボードなどがあり、Webブラウザーで利用することができる。また、クラウドGISサービスであるArcGIS Onlineが配信するマップをWebマップの背景地図として利用している。システムで利用されるデータは、社内で管理する拠点情報(本支店位置、施工中物件位置、竣工物件位置)と社外のハザード情報(主に公開情報)から構成される。拠点情報については、毎朝自動的に情報が更新されるようになっており、マップ上で各拠点をクリックすることでその最新情報を見ることができる。ハザード情報については、雨・風・台風などの気象情報、土砂災害、河川氾濫、地震発生時の地震被害情報などのリアルタイム情報と、事前確認用の情報(想定地震の震度、液状化想定、浸水想定など)がある。これら情報をWebマップ上で重ね合わせて見ることで、平時は各拠点でどのようなリスクが想定されるのかを、発災後は各拠点の被害状況を一目で把握することが可能になっている。このようなハザード情報の確認およびリスク把握の目的以外にも、発災時に現場から入る速報の集約・可視化、台風進路予測の表示、拠点から本店への物資搬送ルートの検索、発生時に拠点に参集できる従業員の抽出など、BCPにおける意思決定を支援するためのさまざまな用途でWebマップが活用されている。物資搬送ルートの検索については、Pythonでプログラムを組んでいるが、これ以外のWebマップの作成や機能の実装については、標準機能の組み合わせや設定変更で実現できている。災害情報共有システムの導入により、全社的にWeb GISを活用できる環境が確立され、全社員がいつでもどこでも拠点に関係する災害情報を把握できるようになった。つまり、オフィスにいなくても社内ネットワークにアクセスできる環境さえあれば、スマートフォンやタブレット端末からでもWebマップを利用することができる。また、各種情報が集約、一元化されたことも大きなメリットである。現代は情報が氾濫しており、どこに必要な情報があるのかがわかりづらい状況であるが、このシステムが稼働したことで、ワンストップで必要な情報に簡単にアクセスできるようになった。さらに、リアルタイムで情報の自動取得・更新ができるようになったことにより、迅速な状況把握と判断ができるようになった。今後は、SNS情報をリアルタイムで取得・可視化する機能の追加を計画しており、より迅速な意思決定に役立つことが期待されている。*本稿は2021年1月に作成されたものですRisk Management分野■効果■今後の展望活用事例全社員がいつでもどこでもワンストップで最新の災害情報や被災リスクを確認できるWeb GIS

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