ビジネスにおける地図の活用事例集
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Case Studies Vol.16組織名:General Motors CompanyURL:https://www.gm.com/本稿は、2018年11月の米国Esri社発表事例「How GM Maps and Manages Supply Chain Risk」をもとに作成した使用製品ArcGIS Enterprise課題・サプライヤーでの異常事態発生による部品導入効果・異常事態の素早い検知と、その影響を軽減戦略的リスク管理チームポール・ロッシ氏PROFILE供給不足するための迅速なアクション・保険料の年間支払額の削減・市場優位性の促進ゼネラル・モーターズ(以下、GM)は100か国以上で年間1,000万台以上の自動車を生産しており、10万以上もある専用の部品を、世界5,500か所の供給元から調達している。GMは世界的規模の生産管理をきわめて順調に効率よく行っていると言えよう。だが他の自動車メーカーと同様、時には異例の事態が発生することもある。GMの自動車生産は、政治的暴動や異常気象、ストライキや供給不足などの幅広いリスクにさらされている。問題が発生した際、GMのサプライチェーン・リスク管理(以下、SCRM)チームがグローバル危機管理者に情報を届けるのが早ければ早いほど、こうした問題を素早く解決し、顧客への影響を未然に防ぐことができる。そのため戦略的リスク管理チームのロッシ氏は、GISを活用し、GMと取引のある数千もの一次、二次、三次サプライヤーの相互関係を明らかにすることにした。ある工場が火災や嵐などで被害を受けた場合、チームはGISを使い、特定の部品だけを注視し、それがどこで作られているのか、次にどこの工場に運ばれるのか、どの車種に使われるのかを把握することができるのだ。部品不足により生産が滞る可能性が出てきた場合、リスク管理のスタッフは、危機管理計画を直ちに実行することができ、それは異常事態に関するデータを手動で収集していた頃と比べると格段に早い。「地震や工場火災などの災害や事件が世界中どこで発生しても迅速に対応し、回復できるということが最も重要です。トラブルがわかった時には、すでに復旧状態に入っている、というように」ロッシ氏は言う。システムが配置された2017年、ロッシ氏のチームは700の異常事態を調査し、その内の3分の1のケースにおいて措置を講じた。海外事例■概要■課題解決手法データの整備GISを使いGMの供給基地をマップに落とし込む作業(下画像参照)は、特に二次、三次サプライヤーに関してかなりの先行努力と継続的なメンテナンスを必要とした。「GMに直接出荷する一次サプライヤーの倉庫位置情報とデータはすべて揃っています」とロッシ氏は言う。しかし下層供給業者の一部は倉GMによるサプライチェーンのリスク調査・管理手法ゼネラル・モーターズ

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