ビジネスにおける地図の活用事例集
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DHLは、35年以上にわたり国際輸送物流業における革新的なリーダーであり続けています。同社は現在、郵政民営化により発足したドイツポスト社の傘下にあります。ドイツポストは2003年に米国第3位の急送便企業であるAirborne Express社を買収し、DHLに統合して、現在DHLエクスプレスとして知られている部門を作成しました。今日、DHL Expressは55万人の従業員を擁し、220カ国・地域での荷物や商品の輸送を管理しています。DHLは、業務効率の改善方法を常に考えています。2002年、テストプロジェクトの一環として、同社はスウェーデンで稼動するトラック1,400台の集配システムの合理化に取り組み始めました。集配関係のコストは、同社の日常業務における総コストの40パーセントを占めています。DHLのドライバーは、毎朝の勤務時間内に平均して30分、発送する荷物の仕分けに費やしていました。当時、発送物は郵便番号によって分けられていたため、山積になった荷物は4、5台の配送車によって手分けして運ばれていました。ドライバーは、貴重な時間を使って山積の荷物を一つ一つ確認し自分の配送ゲートに移動しなければならなかったのです。これは、探し物と積み込みに長時間かかる上に、人的ミスも起こりやすいということを意味していました。「荷物の発送準備や他業務についての改善点が見つかれば、当社の総生産性に非常に良い影響があると考えたのです。」DHL Expressのプロセス開発マネージャであるヘンリク・ダーリン氏は述べています。「解決策をみつけることが最重要でした。」このことを念頭に置き、DHLは、仕分け作業やロジスティクスの改善を支援するためのいくつかのソリューションを調査しました。同社が集荷場での仕分け作業や物流管理を改善するために選択したのはESRI社の地理情報システム(GIS)ソフトウェアでした。メインフレーム環境を使用することにより、DHLは、ArcGIS Serverソフトウェアを使用し端末同士をWebでつなげ、リソースを割り当てることができるようになりました。これによりスタッフは、ArcGIS Serverを使って配送ルートや集荷場所を管理するだけでなく、必要なときには地図データの編集もできるようになりました。GISがオペレーションの一部となることにより、今ではすべての配送準備を前日の夜までに完了できるようになりました。「ジオコーディング(住所から緯度経度に変換する機能)がこのソリューションの要なのです」ダーリン氏は説明します。「これがなければ、システム全体が機能しません。」まず、データ入力スタッフがメインコンピュータシステムに翌日の配達のための情報を入力します。その情報は自動的にArcGISサーバーにロードされ、そこで届け先住所がジオコーディングされて、マップと照合され、どの配送地区に属するか決定します。配送地区は、ルートやドライバーを基に作成されます。これらの配送地区はその後、割り当てルールとドライバー入力に基づき個々の一日の配送計画へと■課題■解決策GISで最適なルート計画と輸送車の移動距離の短縮が可能にドイツ DHL

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