ビジネスにおける地図の活用事例集
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Case Studies Vol.17 バスプロショップスの店舗状況確認ダッシュボードウォルマートの顧客向け店舗状況公開ダッシュボード北米において新型コロナウイルスが猛威を振るい始めた2020年5月、現地の大規模小売事業者はロケーションインテリジェンスを活用し懸命に事業継続を実践していた。ロケーションインテリジェンスとは、人口統計、購買行動、交通状況、気象、本稿においては特に新型コロナウイルスの感染状況などのデータを地理情報システム(GIS)を介し分析、可視化することにより得られるビジネスインサイトのことである。大型のアウトドアショップを展開する「バスプロショップス」や小売り大手の「ウォルマート」は、ArcGIS Dashboardsにより全店舗のオペレーションを管理し、従業員の安全を確認するとともに、開店・閉店状況や店舗タイプなど、顧客が必要とする情報の提供をおこなっていた。次のセクションでは「バスプロショップス」の事業継続活動を振り返ってみる。米国45州とカナダ8州でアウトドアショップを展開し、北米で最も人気のある小売店ランキング第3位に選ばれた「バスプロショップス」は、新型コロナウイルスの感染拡大が拡がる2020年5月頃にロケーションインテリジェンスを活用した事業継続を実践していた。同社は危機対応プロトコルを整備していたが、国連事務総長が第二次世界大戦以来最大の試練と呼んだ混乱が起きることを社内の誰も予想していなかった。新型コロナウイルスに関するニュースが広まり始めると、キャンプ用品、食品加工用のツール、缶詰や長期保存が可能な食品、および安全を確保するための用品すべての需要が急激に増加した。しかし、大きな課題として、バスプロショップスが事業を行っている地域における地方自治体および州の対応、規制が異なるということがあった。バスプロショップスは、州、郡、地域のさまざまな制限に対応するためにロケーションインテリジェンスを活用した。たとえば、アラスカ州では、小売業者は州からは不可欠なビジネスであると見なされているものの、同社の2つの主要店舗が位置するアンカレッジ市は、同市のより厳しい制限の下で不可欠であるとは見なされておらず、営業活動ができず製品の出荷に専念するようになっていた。一方でカナダでは、製品の販売はドライブスルーに制限されていたり、米国バージニア州では10人以次のセクションでは、withコロナ期において製造業、小売業などで必要とされる対応についての考察を紹介する。市場とその顧客の理解は新型コロナウイルスによって著しく変化し、オンライン顧客と各店舗、レストランや、その他の地域の状況のより高度な分析が求められてきている。市場のダイナミクスに追いつくために、経営者は、顧客のタイプが変化している兆候がないか人流データを監視することから始める必要がある。多くの小売上の顧客が集まることが制限されたりしていた。このような条件下で、賢明な意思決定を迅速に導くために、各地域による規制情報、開店状況、地域の感染状況、従業員の健康状態および出勤、在宅状況などの情報を網羅的に把握する必要があった。「複雑で混とんとした状況をダッシュボードで整然と可視化し理解することは、状況を落ち着かせるのに役立ちます。社内のあらゆる階層とのコミュニケーションが円滑になるだけではなく、何が起こっているのか正確に理解するのにも役立ちます」と、バスプロショップスの最高セキュリティ責任者のジェイソン・ジャクソン氏は語った。■はじめに■ パンデミックにおける事業継続に向けた取組み■ withコロナ期に経済活動を継続するために必要な試み新型コロナウイルス感染拡大期の事業継続戦略策定~with変化に伴いサプライチェーン、売り場・職場環境で必要とされるビジネスにおける新型コロナウイルス対応海外事例と今後の課題

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